北海道テレビ:HTB online 医TV

2021年12月13日 9時33分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」

  

<今回のテーマ>

今回は手のひらや足の裏に治りにくい膿を持った、小さな水ぶくれ(膿疱)ができる「掌蹠膿疱症」について、福島県立医科大学医学部の主任教授、山本俊幸先生にお話を伺っていきます。

<「掌蹠膿疱症」とは>

「掌蹠膿疱症」は手のひら(掌)や足の裏(蹠))に、無菌性の膿疱や水ぶくれなどができる難治性の皮膚の病気です。「掌蹠膿疱症」にかかる原因は、いまだに明確になっているわけではありませんが、扁桃炎や歯周病などがある方に発症しやすい傾向があります。また、「掌蹠膿疱症」を悪化させる要因(悪化因子)として、喫煙や金属アレルギーなどがあるといわれています。
厚生労働省のレセプトデータを基にした調査によると、「掌蹠膿疱症」の患者数は全国で約13.6万人、平均発症年齢は55.5歳、男女比別では約1:2の割合で女性の患者さんが多いとされています。

<「掌蹠膿疱症」の症状と日常生活への影響>

手や爪に膿疱ができる「掌蹠膿疱症」の症状が出ると、他人の目が気になることから、患者さんによっては精神的な苦痛を伴うこともあり、足の裏に「掌蹠膿疱症」の症状が出れば、歩く時に痛みを感じることになります。また、「掌蹠膿疱症」の患者さんのうち、約10%から35%の割合で、胸骨、鎖骨や肋骨に起こる関節痛を伴う骨関節炎を発症することもありますので、「掌蹠膿疱症」にかかると、患者さんの日常生活の質を大きく低下させることになります。

<「掌蹠膿疱症」の治療>

「掌蹠膿疱症」の治療は、主治医が患者さんと詳しく対話を行っていく中で、患者さん自身がどのような肉体的、精神的苦痛を被っているか、医師自身も具体的に理解することに加えて、患者さん自身も治療に参加する意識を高めて、喫煙などの悪化因子を除去することが必要になります。そこで、患者さんは主治医との対話を通して、症状などについての説明に同意したうえで、薬物療法(内服薬・外用薬・注射薬)や、光線(紫外線)療法を適切に受けることになります。

<患者さんの痛みや辛さを医療者が理解するために>

医療者が「掌蹠膿疱症」の患者さんが抱える痛みや苦しみを具体的に理解するために、最近では医療者が、「掌蹠膿疱症」の患者さんの抱える日常生活の辛さを、患者さん目線で疑似的に体験することができるVRコンテンツも有り、一部の医療者の治療において生かされています。

<手のひらや足の裏の膿疱で悩まれている方へ>

見た目で「掌蹠膿疱症」に似た疾患は他にも多くありますが、手のひらや足の裏になかなか治らなくい膿疱がある場合には皮膚科を受診し、相談することをお勧めします。
また、「掌蹠膿疱症」については、ご覧のホームページでも解説されていますのでご確認ください。
掌蹠膿疱症ネットHP:https://www.kansennet.jp/ppp/

取材協力:
福島県立医科大学医学部 
福島県福島市光が丘1番地
TEL 024-547-1111
https://www.fmu.ac.jp/univ/igakubu/index.php