北海道テレビ:HTB online 医TV

2022年07月26日13時22分

著者名:HTB医pedia編集部

日本人の約2,000万人が罹っているアレルギー性結膜疾患 愛心メモリアル病院 眼科③

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は日本人の約2,000万人が罹っていると推計されている「アレルギー性結膜疾患」について、愛心メモリアル病院・眼科の名誉顧問 大野重昭先生に解説して頂きます。

<アレルギー性結膜疾患とは>

「アレルギー性結膜疾患」は、体の外から進入した異物を排除する「免疫反応」によって起こる病気です。眼の中に花粉やハウスダスト、ペットのフケやコンタクトレンズに付着した汚れなどが入ると、体の中の免疫細胞がアレルギーを引き起こす物質を排除しようとヒスタミンなどを大量に放出し、眼の中の神経や血管を刺激してしまいます。この眼の中の神経や血管が刺激されることで、眼のかゆみ、充血や涙、そして眼がゴロゴロするような異物感を生じるのが「アレルギー性結膜疾患」という病気になります。

<アレルギー性結膜疾患の分類>

「アレルギー性結膜疾患」の中で最も多いのは「アレルギー性結膜炎」で、花粉などによる季節性のものと、ハウスダストによる通年性のものの二つに分類され、「アレルギー性結膜疾患」の患者さん全体の約70%を占めています。その他の注意すべき「アレルギー性結膜疾患」には、アトピー性皮膚炎に合併して発症する「アトピー性角結膜炎」、学童期に発症し慢性化する傾向のある「春季カタル」、また、コンタクトレンズの汚れや義眼などによる刺激で発症する「巨大乳頭結膜炎」があります。この中では特に、ソフトコンタクトレンズを使用されている方は、「巨大乳頭結膜炎」を発症しないためにも、コンタクトレンズの使用上の注意事項に従い、レンズの消毒などを適切に行う必要があります。

<アレルギー性結膜疾患の診断>

「アレルギー性結膜疾患」の診断は、特有の症状である「かゆみ」や「充血」などを確認したうえで、涙に含まれるIgE抗体(身体の中に入ってきたアレルギーの原因物質に対して働きかけ、身体を守る機能を持つ抗体)の量を検査します。また、皮膚に対するテストによってアレルギーを引き起こす物質の特定も行います。

<アレルギー性結膜疾患の治療>

「アレルギー性結膜疾患」の治療は、症状などに応じて抗アレルギー薬、ステロイド薬、免疫抑制薬などによる点眼治療を中心に行います。このうち、ステロイド薬を長期間使用する場合は「白内障」などの合併症を引き起こすことがあるので、医師による定期的なチェックが必要となります。

<アレルギー性結膜疾患の生活上の注意点>

「アレルギー性結膜疾患」の患者さんの多くが、「アレルギー性鼻炎」や「アトピー性皮膚炎」に罹っていると推計されています。そこで、患者さんの生活においては、アレルギーを引き起こす物質(花粉や雑草など)に出来るだけ接触しないことや、室内の換気を徹底することでお引き起こす物質(ハウスダストなど)を排除することが大切で、アレルギーの症状が出れば、早期に医師の診断を受けることが重要です。

取材協力:
社会医療法人社団 愛心館 愛心メモリアル病院
札幌市東区北27条東1丁目1-15
Tel: 011-752-3535
https://aishinmemorial-hp.or.jp/