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2022年09月15日17時01分

著者名:HTB医pedia編集部

膠原病に伴う間質性肺疾患について

  

<今回のテーマ>

今日は、膠原病に伴って肺に起こる「間質性肺疾患」について、北海道大学病院 病院長 リウマチ・腎臓内科教授の渥美達也先生に解説していただきました。

<肺の機能>

肺は、呼吸することで気管支を通って入ってきた空気を、肺胞の血液中に酸素として取り込むと同時に、肺胞の血液中の二酸化炭素を排出するように、ガス交換を行っています

<間質性肺疾患とは>

「間質性肺疾患」は、肺胞の壁になっている間質が炎症により線維化し硬くなることで、呼吸機能が損なわれてしまう疾患です。発症すると活動時に息が苦しくなったり、乾いた咳が出るようになります。
「間質性肺疾患」の要因には、環境などによる「過敏性肺炎」や、原因不明の特発性のもの、サルコイドーシス、肺胞蛋白症や血管炎など様々ですが、一つの基礎疾患として自己免疫疾患である「膠原病」も要因の一つとされています。

<膠原病に伴う間質性肺疾患の病態>

膠原病に伴う「間質性肺疾患」は、体に備わる免疫細胞が間違えて、炎症により線維化し硬くなった、肺の間質を攻撃してしまうために、間質の線維化が更に進み、肺そのものが硬くなってしまう病態です。

<間質性肺疾患の診断・治療>

「間質性肺疾患」の診断は、最初に「バリバリ」という捻髪音を確認するための聴診と、血液中の酸素飽和度を測定する検査が行われます。次に、胸部レントゲン検査、呼吸機能検査(肺活量などの検査)、胸部CT検査が行われ、それら全ての検査結果を以て、「間質性肺疾患」と診断されます。
※膠原病の患者さんには別途、全身状態の精査と免疫機能を確認する抗体検査が必要となります。
「間質性肺疾患」は、治療が難しく難病とされていますが、早期に発見し、早期に治療を開始すれば、呼吸機能の低下を抑えることが出来る可能性があります。

<膠原病に伴う間質性肺疾患を早期に発見するために>

「膠原病」の患者さんが、息切れがする、咳が続くという症状があった場合は、「間質性肺疾患」の疑いが有りますので、まずは主治医の先生に相談してください。また、「間質性肺疾患」については、ご自身で確認出来る「セルフチェックシート」というものがありますので、下記のアドレスよりご覧ください。
https://medicalnote.jp/features/interstitial_lung_disease/check_sheet/campaign/

取材協力:
北海道大学病院
札幌市北区北14条西5丁目
TEL 011-716-1161
https://www.huhp.hokudai.ac.jp/