北海道テレビ:HTB online 医TV

2017年07月26日20時38分

著者名:HTB医pedia編集部

乳がんの診断と治療~北海道がんセンター~

  

女性のがんで最も罹患者が多い「乳がん」の発症年齢のピークは、子育てや仕事に充実している40~50歳。乳がんの中でも、乳管や小葉の基底膜を超える「浸潤性乳がん」は長期間にわたって治療を継続する必要があります。
「乳がん」は主に乳腺組織の乳管や小葉に発生します。乳管や小葉の基底膜の中にがんが止まっているものを「非浸潤性乳がん」、基底膜を超えて目に見えない「がん細胞」が血管内に入って血行性転移が疑われるものを「浸潤性乳がん」といいます。「乳がん」の治療はがん組織の切除が基本となり、がん組織の大きさによって「乳房温存術」と「乳房全切除術」のいずれかを選択します。しかし、女性にとって乳房を失うことは、心にも大きな傷となることから、がん組織が大きい場合には、「術前化学療法」でがん組織の縮小を図ってから「乳房温存術」を行うことも可能です。
手術後は局所再発を予防するための「放射線治療」と、全身に広がっている可能性のある血行性転移に対して、「抗がん剤」や「分子標的治療薬」による「化学療法」を併せて行い、更に、がん組織の病理検査でホルモン感受性が陽性と診断された場合には、「ホルモン療法」を5~10年間継続する必要があります。治療期間は長くなりますが、こうした治療を組み合わせることで、治療成績は格段に向上しており、「乳房全切除術」を行った場合でも、乳房の喪失感が大きいことから「人工乳房」を用いた乳房再建を同時に行うことも可能です。

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