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2018年08月20日11時46分

著者名:HTB医pedia編集部

「医療のミカタ」脳梗塞

  

<今回のテーマ>
今回の「医療のミカタ」は、暑い夏の夜に危ない「脳梗塞」について紹介します。


【脳梗塞とは】
「脳梗塞」は「脳卒中」の一種で、脳の血管障害のうち、「脳出血」、「くも膜下出血」などのような"出血"ではなく、"血管が詰まった状態"で起こる障害を「脳梗塞」といい、「脳卒中」のおよそ7割を占め、国内でも100万人以上の方々が罹患しています。


「脳梗塞」で倒れ、今はリハビリ中の札幌市在住の三沢俊子さん(77歳)。
三沢さんには、右半身の軽いまひと、発音がしづらい構音障害が残っています。
三沢さんは、暑い夜が続いた6月1日の未明、トイレに行く際に、右に体が倒れ、立とうとしてもどうしても立てない状態に陥り、受診することとなりました。


「脳梗塞」には大きく二つのパターンが有ります。「動脈硬化」で、脳の血管が厚く固くなることで、狭くなった血管(血のかたまり)が詰まってしまう「動脈硬化」によるケース。
そして、心臓でできた血栓が、脳の血管の細い部分や枝分かれした部分に詰まってしまう「心疾患」によるケースです。


三沢さんのケースは「動脈硬化」による「脳梗塞」でしたが、受診が早かったため、手術を行わず、入院して2週間ほどでリハビリを始めることが出来ました。まひも徐々に良くなり、日常生活を送れるまでに快復しています。


夏は特に、脱水になりやすく、それによって血液が固まりやすくなる為、「脳梗塞」のリスクが高まるといわれています。「脳梗塞」は、寝ている間に血圧が下がることから、血液の循環が悪くなり、血液も固まりやすくなることから、夜中に発症することが少なくありません。


【脳梗塞の最新治療】
「脳梗塞」の治療は劇的な進化を遂げ、ここ数年、死亡率が減ったといわれています。
発症から4時間半以内であれば、「t-PA」という点滴薬により、脳の血管に詰まった血栓を溶かし、血流を戻すことが出来ます。
但し、脳の太い血管に詰まるような大きな血栓の場合、「t-PA」でも溶かすことが出来ない為、5年前ほど前から、血管の中に詰まっている血栓を、直接、機械的に取り除き、回収する「カテーテル血栓回収療法」という療法が行われるようになりました。
「カテーテル血栓回収療法」は、先に、カテーテルと呼ばれる細い管を脳の血管に入れ、その管に、「ステント」と呼ばれる、長さ約3㎝、直径3㎜~6㎜の金属製の網状の器具が付いたワイヤーを挿し込みます。この「ステント」が血栓を捕らえ、血管内を慎重に引き抜くということで、血栓を回収します。この「カテーテル血栓回収療法」は、「脳梗塞」の発症から8時間以内であれば、実施可能ですが、少しでも早い段階で実施すれば、「脳梗塞」の拡がりを少しでも抑えることが出来ますので、「t-PA」という点滴薬療法と同様に、こちらも早期治療が大変重要となります。


【脳梗塞の症状】
2011年のデータでは、「脳梗塞」を発症した方のうち、全体の11%の方が亡くなられ、発症後に介助が必要となった方は46%と、元通りの生活に戻ることが出来た方は、全体の半分以下という結果になっています。また、介助が必要となった疾患のうち、「脳梗塞」はその原因の第1位となっています。


・片側の手足に力が入らない。
・顔の片側のまひ、しびれ。
・ろれつが回らない、言葉が出ない。
・足元がふらついて歩けない。
・めまい、片方の目が見えづらい、視野が半分欠ける。


こういった症状が出たら、早期発見、早期治療の為、すぐに病院に行くようしてください。