北海道テレビ:HTB online 医TV

2018年09月19日11時11分

著者名:HTB医pedia編集部

~本当は怖い脂肪肝~

  

<今回のテーマ>
今回は、脂肪肝の検査方法や治療方法について、「肝臓クリニック札幌 川西輝明医師」にお話を伺いました。
お酒は飲まない、肥満体型でもない・・・そんな人でも、脂肪肝になる可能性はあるのです。
そして、自覚症状がないというのも、脂肪肝の恐ろしいポイントです。命に関わる前に、対策が必要です。

<気づかぬうちに忍び寄る脂肪肝>
札幌市在住の栗澤裕美さん59歳。
去年の健康診断で、肝臓の異常を指摘されました。
以前からコレステロール値は高めでしたが、肥満体型ではありませんでした。
その後、肝臓の専門病院で「脂肪肝」と診断されました。
■栗澤さん
「お酒は全く飲まないし、肝臓が悪くなったこともなかった。どこも痛くも痒くもないので、気が付かないうちに恐ろしいことになっていた。」
■川西先生
Q脂肪肝はアルコールをよく飲まれる方がなるのですか?
「これまでは、脂肪肝=お酒を飲んでいる方と言われてきたが、いまは酒を飲まない脂肪肝患者も増えてきていて、非アルコール性の脂肪肝ということで、注目されています。」


<脂肪肝とは>
肝臓は食べ物からとった糖や脂肪などを蓄え、必要な時にエネルギーとして体内に
供給したり、アルコールを分解したりします。しかし、食べすぎや飲みすぎが続くと、肝臓の組織に中性脂肪がたまっていき、肝臓の細胞の5%以上に脂肪がたまった状態が脂肪肝といわれます。
【非アルコール性脂肪肝】
近年注目されているのは、お酒を飲まない人がなる脂肪肝。
その患者数はアルコール性の脂肪肝よりも多く、国内に推定1000万人はいるとされています。非アルコール性の脂肪肝が日本で注目されるようになったのは2000年代に入ってからで、一般にはあまり知られていないのが現状です。
非アルコール性の脂肪肝を放っておくと、10年間で最大40パーセントが脂肪肝炎に発展。そのうち20パーセントが肝硬変へ進行するおそれがあると言います。
さらに・・・沈黙の臓器と呼ばれる肝臓。肝硬変が画像で診断できる状態になっても、患者さんに症状が出ないというのも、恐ろしい点です。


<肝硬変を発見するには...?>
腹部に当てるだけで、脂肪肝かどうかの確認ができるのが、エコー検査。この検査は多くの医療機関で実施しているということで、異常が見つかれば、専門の病院で炎症が起きていないか検査をする必要があるといいます。


<治療薬がない脂肪肝>
脂肪肝はウイルス性の肝炎と異なり、治療薬がありません。60歳を前に初めて脂肪肝と診断された栗澤さんは「食事療法」に取り組んでいます。去年までは両親の介護に追われ、手軽に食べられるおにぎりやパンで食事を済ますことが多かったという栗澤さん。野菜中心の食事に変えたことで、9カ月で6キロの減量に成功し、最新の検査では、肝臓の値を正常に戻すことができました。
■栗澤さん
「私も全く自覚がなく、このままいくと危険な状態だというのは全く分からないままでいました。健康診断の結果で肝臓に数値が出た方は、即座に食事療法に取り組んで、早めに対処していかれるといいと思う」


<非アルコール性脂肪肝になりやすい人は...?>
非アルコール性の脂肪肝と診断される人の特徴として、コレステロールが高い方、糖尿病の方、睡眠時無呼吸症候群の方、高血圧の方などが挙げられます。
実は、川西先生もかつて脂肪肝だったそうです。これではまずいと、食事に導入したのが野菜スープ。キャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャを煮込むだけというもので、食事の前に飲むだけで満腹感が得られる上、野菜の様々な成分が溶け込んで肝臓によい作用をもたらすということでした。
先生はこの野菜スープで自分の脂肪肝が解消したことから、患者さんにも勧めているということです。
学会でもでんぷん質を減らした野菜中心の食事が脂肪肝に効果的だとされています。参考にしてみてはいかがでしょうか。