北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年04月16日15時50分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「風しん」①感染拡大の原因と対策

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、2018年から感染が拡大している「風しん」の原因と対策について、「札幌市保健福祉局保健所」の医療担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<風しんの感染状況>

「風しん」は2018年後半から全国的に感染が増加し、2019年に入っても、1月から3月末の段階で、全国で1,000人、北海道内でも21名の感染が報告されています。

<風しんの感染経路>

「風しん」は、「風しんウィルス」が、"人から人からにうつる"ことによって起こる「発疹性の感染症」です。
「風しん」の感染経路は、①「風しんウィルス」に感染している方が、咳やくしゃみをすることで感染する「飛まつ感染」と、②「風しんウィルス」に感染している方との接触による「接触感染」と、二つの感染ルートがあります。

<風しんの感染拡大の原因>

平成2年(1990年)4月2日以降生まれの、現在、満29歳以下の方は、「乳児期」と「小児期」の2回にわたって、男性、女性を問わず、「風しん」の予防接種を受けているため、「風しん」の感染リスクはほとんどありません。しかし、現在、満40歳から57歳の男性(昭和37年(1962年)4月2日から昭和54年(1979年)4月2日までに生まれた男性)は、(個人的に予防接種を受けていない限り)1回も「風しん」」の予防接種を受けていないため、感染リスクも高く、現在の「風しん」感染拡大の原因の一つと考えられています。
※男性・女性別での「風しん」の予防接種状況は、(個人的に「風しん」の予防接種を受けた方を除くと)昭和54年(1979年)以前に生まれた男性は、1回も「風しん」の予防接種を受けておらず、昭和62年(1987年)以前に生まれた方々は、男性、女性ともに中学生のときに、予防接種を1回しか受けていない、というのが実情で、1回だけの予防接種では、時間の経過と共に、その効果が低減していきます。

<風しんの症状>

「風しん」の特徴的な症状として、「発熱」・「皮膚が腫れる発疹」・「耳の後ろのリンパ節などの腫れ」が
有り、子供より、大人が罹る「風しん」のほうが、症状が重くなるという傾向があります。

<胎児の「先天性風しん症候群」を予防するために>

妊娠の初期、特に妊娠20週より前の妊婦の方が感染しますと、胎児にも「風しんウィルス」が感染し、「先天性風しん症候群」と呼ばれる「白内障」・「心疾患」・「難聴」・「精神運動発達遅滞」などの先天異常が生じるリスクがあります。妊娠の初期では、妊娠の事実に気づいていないことがよくありますので、過去、「風しん」に罹っていない方は、男性、女性を問わず、「風しん」の予防接種を2回受けて、妊娠初期の女性への「風しん」感染を予防することが、社会的にも必要とされています。

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