北海道テレビ:HTB online 医TV

2023年06月12日 0時00分

著者名:HTB医pedia編集部

感染法上新型コロナが「5類」に移行して ① 新型コロナ感染症の現状とワクチン接種

  

<今回のテーマ>

「医TV」は今回から3回シリーズで、感染法上5類に移行した「新型コロナ感染症」についてスポットをあて、大阪大学大学院医学系研究科感染制御医学講座の忽那賢志先生にお話しを伺います。第1回は、新型コロナ感染症の現状とワクチン接種について、忽那先生に解説して頂きます。

<感染法上「5類」となった新型コロナを季節性インフルエンザと同じように考えてよいのか>

「新型コロナ」は分類上、季節性インフルエンザと同じ「5類」の感染症となったわけですが、「新型コロナ」は新たな変異株がでてくると、また大きな流行が起きる可能性があるので、引き続き注意が必要な感染症の一つです。

<新型コロナが「5類」に移行したことで注意すべきことは>

「5類」に移行する前は、「新型コロナ」は診療にあたった全ての医療機関が、感染者数と志望者数を報告し、各都道府県もそれらを毎日発表する「全数報告」が行われていました。「5類」移行後の現在は、特定の医療機関の感染者数を国立感染症研究所が集計したものを週1回発表することに変わり、死亡者数は1~2か月後に発表するという「定点報告」になりましたので、その「定点報告」で新型コロナの流行状況を把握しながら、適切な感染対策を行うことが重要とされています。

<日本で感染を広げる変異株と変異による影響>

2023年4月に発表された、東京都によるゲノム解析の報告では、日本も諸外国と同じように、オミクロン株による「新型コロナ」の感染者のうち、XBB系統といわれる変異株が71.7%(BA.5系は12.6%)を占めており、その変異による影響として、感染性、重症度やワクチンの効果にも変化が見られることが判明しています。

<国がワクチン接種を勧奨する対象と接種率>

国は高齢者や基礎疾患がある方に対しては、「新型コロナ」に感染した場合、重症化リスクの高いとされているので、ワクチンの接種が望ましいとしています。現時点の3回目以降のワクチン接種では、従来の変異株に加えて、オミクロン株に対応したワクチンの接種が行われていますが、ワクチン接種の回数が2回目から3回目となるにしたがって、接種率が低くなっている傾向があります。

<新型コロナワクチンの効果>

様々な事情で、ワクチンの接種をされていない方々がおられますが、ワクチン接種による発症予防効果は接種後、時間の経過とともに低下しますが、重症化予防の効果は持続しますので、高齢者や基礎疾患を持っている方に対しては、国はワクチンの接種を勧奨しています。(ワクチンの接種には副反応などを伴うことがあります)


新型コロナに対応するワクチンを接種しても、発症を完全に予防できるわけではありません。
状況に応じて、「マスクの着用」・「3密の会議」・「換気」・「手洗い(手指消毒)」など、適切な感染対策を行ってください。

ワクチン接種の予約などの相談は、お住まいの市町村、また、ワクチンに関する質問は以下のコールセンターで受け付けています。
厚生労働省・新型コロナワクチンコールセンター
0120-761-770(フリーダイヤル)
受付時間:毎日午前9時00分~午後9時00分まで

取材協力:
大阪大学大学院 医学系研究科・医学部
大阪府吹田市山田丘2番2号
TEL  06-6879-5111
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