北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年04月22日17時01分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「風しん」②「風しん」の予防

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、2018年から感染が拡大している「風しん」の予防について、「札幌市保健福祉局保健所」の医療担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<風しんの感染状況>

「風しん」は2018年後半から全国的に感染が増加し、2019年に入っても、1月から3月末の段階で、全国で1,000人、北海道内でも、小樽、札幌、室蘭の三都市で、計21名の感染が報告されています。

<風しんの感染経路>

「風しん」は、「風しんウィルス」が、"人から人からにうつる"ことによって起こる「発疹性の感染症」です。
「風しん」の感染経路は、①「風しんウィルス」に感染している方が、咳やくしゃみをすることで感染する「飛まつ感染」と、②「風しんウィルス」に感染している方との接触による「接触感染」と、二つの感染ルートがあります。

<風しんの感染拡大の原因>

平成2年(1990年)4月2日以降生まれの、現在、満29歳以下の方は、「乳児期」と「小児期」の2回にわたって、男性、女性を問わず、「風しん」の予防接種を受けているため、「風しん」の感染リスクはほとんどありません。しかし、現在、満40歳から57歳の男性(昭和37年/1962年4月2日から昭和54年/1979年4月2日までに生まれた男性)は、1回も「風しん」」の予防接種を受ける機会が無かったため、過去「風しん」に罹ったことのある方(抗体をもっている方)以外の方(全体の2割程度)は、感染リスクを抱えたままですので、現在の「風しん」感染拡大の原因の一つと考えられています。


<風しんの症状>

「風しん」の特徴的な症状として、「発熱」・「皮膚が腫れる発疹」・「耳の後ろのリンパ節などの腫れ」が
有り、子供より、大人が罹る「風しん」のほうが、症状が重くなるという傾向があります。

<妊娠を希望する女性の風しん予防>

妊娠の初期、特に妊娠20週より前の妊婦の方が感染しますと、胎児にも「風しんウィルス」が感染し、「先天性風しん症候群」と呼ばれる「白内障」・「心疾患」・「難聴」・「精神運動発達遅滞」などの先天異常が生じるリスクがあります。
女性が、「風しん」の予防接種を受けているかどうかの確認の方法のひとつとして、「母子手帳」の確認がありますが、妊娠を希望する女性で、予防接種を過去1回しか受けていない場合、抗体検査を受けて、「風しん」の抗体保有状況を確認し、保有状況が低ければ、2回目の予防接種を受けることが推奨されています。但し、「風しん」の予防接種は、生ワクチンの接種になるため、接種後2カ月の間は、妊活を控えるか、避妊をする必要があります。

<1回も予防接種を受けていない男性の風しんの予防>

国は、「風しん」の感染拡大を防ぐために、今年4月1日から2022年3月31日までの3年間、過去1回も予防接種を受けていない、満40歳から57歳の男性(昭和37年/1962年4月2日から昭和54年/1979年4月2日までに生まれた男性)を対象に、その対策を始めています。
「風しん」の抗体検査を受けたうえで、抗体が陰性だった場合、原則的に無料で予防接種を受けることが出来ますので、お住いの地域を管轄する保健所にご相談ください。

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