北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年05月07日16時39分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「結核」②「結核」の診断と治療

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、近年、集団感染が報告される「結核」について、その診断と治療について、「札幌市保健福祉局保健所」の感染症担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<北海道内の結核の感染状況>

北海道内での「結核」の感染は、2019年4月1日から4月14日までの2週間で既に、結核菌が体内にあっても発病していない「潜在性結核感染症」と、体内の結核菌によって発病している「活動性結核感染症」も含め、32件の感染が報告されています。

<結核とは>

「結核」は、「結核菌」という細菌に感染して起こる感染症で、感染しますと、最も高い頻度で肺に発症しますが、その他の部位としても、「骨(特に背骨)」や、「リンパ節」・「腸管」・「腎臓」・「脳」など、全身のあらゆる部位で発症する可能性のある感染症です。

<結核の感染経路>

「結核」の感染経路は、①「結核」に感染している方が、咳やくしゃみをすることで、唾液に含まれる結核菌が感染する「飛まつ感染」は勿論ですが、それ以上に、②咳やくしゃみをした「結核」の感染者が、その場からいなくなっても、結核菌が含まれる唾液の水分が蒸発して、結核菌だけが一定の時間、空気中を浮遊していることから感染する「空気感染」のほうが、感染しやすいという事実があります。

<結核の生涯発病確率>

「結核」は感染していても、「免疫細胞」が「結核菌」の活動を抑えている為、多くの方々が発病せずに生涯を終えるケースが多く、「結核」の生涯における発病率も、10人のうち、1人~2人の方が発病するという確率になっています。

<結核の注意すべき症状>

「結核」の症状は、「発熱」・「咳」・「たん」・「倦怠感」など「風邪」の症状によく似ていますが、このような症状のうち、「微熱」・「咳」・「たん」などが二週間以上続くようでしたら、「結核」の疑いがあります。

<結核の診断と治療>

「結核菌」の感染の有無は、「胸部レントゲン検査」、「かくたん検査(痰の検査)」、「血液検査」などの複合的な検査によって診断されます。これらの検査結果によって、「活動性結核感染症」と診断された方のうち、「痰」などに結核菌があり、「飛まつ感染」をさせるおそれの有る方は、入院による薬物療法が行われますが、それ以外の「活動性結核感染症」の方、及び、「潜在性結核感染症」と診断された方は、通院での薬物療法が行われます。但し、この通院での薬物療法は6か月間と長期に渡るため、一時的に病状が良くなることで投薬をやめたり、つい投薬を忘れてしまったりすると、薬物に対する耐性が生まれ、根治が難しくなるという側面がありますので、6カ月間の投薬は必ず継続させていくということが大事です。

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