北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年05月27日10時24分

著者名:HTB医pedia編集部

北広島おぎの眼科②「糖尿病網膜症」

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、「糖尿病網膜症」の患者さんに対して、負担の少ない低侵襲治療を行っている「北広島おぎの眼科」の院長・荻野哲男さんにお話を伺います。

<糖尿病網膜症とは>

「糖尿病網膜症」は、「糖尿病」により血糖値が高い状態が続くことで、血管障害を引き起こし、網膜の毛細血管が詰まることで出血、網膜の剥離や視力が低下する病気で、日本人の中途失明原因の第3位とされています。

<糖尿病網膜症の進行段階>

「糖尿病網膜症」の進行は、「単純網膜症」から「前増殖網膜症」」、そして「増殖網膜症」という三段階で移行していきます。
「単純網膜症」は、自覚症状がほとんど無い初期の段階です。しかし、眼底検査を行いますと、①眼の中の毛細血管に小さな点状出血が見られ、②血管が膨らんでできる毛細血管瘤や、③脂肪やたんぱく質が沈着してできたシミ(硬性白斑)、また、④血管がつまってできたシミ(軟性白斑)などが見られます。
しかし、「単純網膜症」の段階では、視力には全く影響がなく、血糖値のコントロールをよくしていると自然に改善することもあります。
「前増殖網膜症」は、「単純網膜症」より一段階、病状が進行した状態です。上述の「単純網膜症」による①~④の症状のいずれかがが更に進むことで、毛細血管が広い範囲で閉塞して、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために、正常ではないはずの新しい血管(新生血管)が出てきます。新生血管が出てくることで、静脈が異常に腫れ上がり、毛細血管の形も不規則になります。この段階になりますと、眼のかすみを自覚することも多くなりますが、全く自覚症状がないこともあります。
「増殖網膜症」は、「前増殖網膜症」より更に進行した重症の段階です。上述の正常ではないはずの新生血管が、網膜や硝子体に向かって伸びていく過程で、その新生血管の壁が破れ、眼内の硝子体に出血が起こります。硝子体が出血しますと、視野に黒い虫のようなものが動いて見える「飛蚊症」という症状を自覚するようになり、急激な視力低下も起こります。また、眼内に増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離を起こすことがあります。この段階になりますと、なかなか自然に治ることは少なくなります。

<糖尿病網膜症の診断>

「糖尿病網膜症」の診断は、眼内の①眼底の血管の状態、②出血の有無、③増殖膜の有無、④網膜剥離の有無、⑤黄斑浮腫(黄斑のむくみ)等の有無などを、精細に検査していきます。
「北広島おぎの眼科」では、薬剤で瞳孔を開かずに広角に眼底を見ることができる「超広角・無散瞳レーザー検眼鏡」や、網膜の状態を立体的に見ることで、広角で精細な画像が得られる「広角OCT(光干渉断層計)」を導入し、「糖尿病網膜症」に対して、迅速で的確な診断を行っています。

<糖尿病網膜症の治療>

上述の検査によって、新生血管の発生が認められた場合、「増殖網膜症」としての「出血」や「網膜剥離」、「急激な視力低下」といった症状を引き起こすおそれがありますので、進行の予防として、「レーザー治療」が行われます。但し、硝子体に大きな出血が見られ、網膜剥離の進行によって視力の低下が著しいような場合は、早い段階で「硝子体手術」を行います。

<硝子体手術とは>

「北広島おぎの眼科」で行っている「硝子体手術」は、眼球をおよそ0.5mm以下で小さく切開し、その切開創(切開した孔)から手術器具を挿入する、という患者さんの負担の少ない低侵襲手術です。手術中は、OCT(光干渉断層計)顕微鏡によって、立体的に網膜の状態を確認しながら、精密で安全な手術を行っています(2018年手術実績251件)。また、最近増加している「糖尿病黄斑浮腫」に対しても、新生血管の成長を活性化させる「VEGF(血管内皮増殖因子)」の働きを抑える「VEGF阻害剤」による眼内注射療法を行っています(2018年手術実績112件)。

<糖尿病網膜症を進行させないために>

「糖尿病網膜症」は早期発見、早期治療が非常に重要です。自覚症状が無い状態から治療を受ければ、視力低下や失明のリスクを防げる可能性が大いにあります。健康診断などで「糖尿病」を指摘されたことのある方は、「内科での血糖値の管理」、「生活習慣の改善」に加えて、「糖尿病網膜症」の重症化を防ぐためにも、眼科を定期的に受診し、眼底の状態確認を行うことが必要です。

<「北広島おぎの眼科」へのアクセス>

「北広島おぎの眼科」
北広島市北進町1丁目2-2 北広島ターミナルビル1階(JR北広島駅から徒歩1分)
TEL:011-370-1010
HP:http://www.oginoganka.com/

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