北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年07月25日11時21分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「梅毒」②治療と予防

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、性感染症として近年、感染者数が増加している「梅毒」の治療と予防について、「札幌市保健福祉局保健所」の感染症担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<梅毒の感染経路>

「梅毒」は、「梅毒トレポネーマ」という病原体による性感染症です。「梅毒トレポネーマ」の感染は、性的接触のうち、粘膜と粘膜の接触によるものですが、性器と性器の接触のみならず、口から口、性器から口、口から性器へ、という経路でも感染しますので、性行為活動が活発であればあるほど、感染リスクは高まります。

<梅毒の感染者数>

「梅毒」は、2012年から全国的に感染が増加しており、札幌市でも2018年の感染届出数は、2012年から約6.3倍にまで膨れ上がっています。中でも札幌市では、10代後半から20代の女性の感染者数が多いという特徴があります。

<梅毒の感染者数が増加した理由>

「梅毒」の感染者数が増加した理由として、避妊の方法が粘膜と粘膜の接触を避けるコンドームの使用に加えて、2011年に、粘膜の直接的な接触が発生するリスクのある、緊急避妊用ピルが解禁され、普及していったことも、増加原因と一つといわれています。

<梅毒の特徴的な症状>

「梅毒」に感染すると、感染から3週間の潜伏期間を経て、重症までに三段階の経過をたどります。
3週間の潜伏期間を経た、第1期では、痛みを伴わない形で、くちびるや性器にしこり、リンパ節が腫れるようになりますが、治療を怠っても、しこりや腫れは約1ヵ月で消失してしまいます。しかし、消失したからといって、自然治癒したわけではなく、感染力は残ります。第1期を経た、感染の3か月後には、第2期として、手のひらや全身に赤い発疹が現れます。これも治療を怠っていても、約6カ月で消失していまいますが、感染力は維持されたままです。この第2期まで、何ら治療を行わず、放置してしまうと、感染から3年の長い期間を経て、第3期として、皮膚にゴムのような腫瘍が広がり、神経や心臓、脳などにも後遺症が残るような障害を与えてしまい、場合によっては死に至るケースもありますので、早い段階での発見、治療を受けることが大変重要です。
また、妊娠されている方が「梅毒」に感染して、治療をせずに放置してしまうと、胎盤を通して、胎児に感染することがあります。この場合、「先天梅毒」や、死産、流産のリスクも高まりますので、パートナーに「梅毒」の感染の疑いがあれば、二人で検査を受けて、適切な指導と治療を受けることが大切です。

<梅毒の治療>

「梅毒」は、早期に発見し、適切な治療を行えば、後遺症や合併症も防ぐことが出来る感染症です。「梅毒」の治療にあたっては、薬が良く効きますので、ペニシリン系の抗菌薬(抗生物質)を、医師に指示された期間、一日三回、服用することで完治させることが可能です。但し、医師に指示された期間内に、自己判断で服用をやめてしまうと、「梅毒」は完治せず、進行しまうのでご注意ください。

<梅毒の予防と早期発見>

「梅毒」は完治した後でも、保菌者と性交渉を行えば再感染してしまうリスクが有ります。そこで「梅毒」の予防としては、性交渉の際に「コンドームを使用する(確実に予防できるわけではありませんが、一定の効果があります)」、「性交渉のパートナーを限定する」ということを心がけてください。
また、「梅毒」の早期発見としましては、「札幌市保健所(各区保健センター)」でエイズ検査と共にご希望の方には「梅毒」の検査も、匿名、無料で検査を受けることが出来ますので、是非ご活用ください。
※札幌市以外の北海道内の保健所での「梅毒」の検査は、地域によって、有料の場合がありますので、お住いの地域の保健所にお問い合わせください。

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