北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年07月08日15時19分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「梅毒」①感染者数が増加する原因と特徴的な症状 

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、性感染症として近年、感染者数が増加している「梅毒」の原因と特徴的な症状について、「札幌市保健福祉局保健所」の感染症担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<梅毒の感染経路>

「梅毒」は「梅毒トレポネーマ」という病原体による性感染症です。「梅毒トレポネーマ」の感染は、性的接触のうち、粘膜と粘膜の接触によるものですが、性器と性器の接触のみならず、口から口、性器から口、口から性器へ、という経路でも感染しますので、性行為活動が活発であればあるほど、感染リスクは高まります。

<梅毒の感染者数>

「梅毒」は2012年から全国的に感染が増加しており、札幌市でも2018年の感染届出数は、2012年から約6.3倍にまで膨れ上がっています。中でも札幌市では、10代後半から20代の女性の感染者数が多いという特徴があります。

<梅毒の感染者数が増加した理由>

「梅毒」の感染者数が増加した理由として、避妊の方法が粘膜と粘膜の接触を避けるコンドームの使用に加えて、2011年に、粘膜の直接的な接触が発生するリスクのある緊急避妊用ピルが解禁され、普及していったことも増加原因と一つといわれています。

<梅毒の特徴的な症状>

「梅毒」に感染すると、感染から3週間の潜伏期間を経て、重症までに三段階の経過をたどります。
3週間の潜伏期間を経た、第1期では痛みを伴わない形で、くちびるや性器にしこり、リンパ節が腫れるようになりますが、治療を怠っても、しこりや腫れは約1ヵ月で消失してしまいます。しかし、消失したからといって、自然治癒したわけではなく、感染力は残ります。第1期を経た、感染の3か月後には、第2期として、手のひらや全身に赤い発疹が現れます。これも治療を怠っていても約6カ月で消失していまいますが、感染力は維持されたままです。この第2期まで何ら治療を行わず、放置してしまうと、感染から3年の長い期間を経て、第3期として、皮膚にゴムのような腫瘍が広がり、神経や心臓、脳などにも後遺症が残るような障害を与えてしまい、場合によっては死に至るケースもありますので、早い段階での発見、治療を受けることが大変重要です。
また、妊娠されている方が「梅毒」に感染して、治療をせずに放置してしまうと、胎盤を通して、胎児に感染することがあります。この場合、「先天梅毒」や死産、流産のリスクも高まりますので、パートナーに「梅毒」の感染の疑いがあれば、二人で検査を受けて、適切な指導と治療を受けることが大切です。

<梅毒の検査>

「梅毒」のみならず、「性感染症」の検査には抵抗を感じられる方が多いと思われます。「札幌市保健所(各区保健センター)」では、エイズ検査と共にご希望の方には、「梅毒」の検査も、匿名、無料で検査を受けることが出来ますので、是非ご活用ください。
※札幌市以外の北海道内の保健所での「梅毒」の検査は、地域によって、有料の場合がありますので、お住いの地域の保健所にお問い合わせください。

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