北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年05月13日10時05分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「結核」③「結核」の予防と早期発見

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、近年、集団感染が報告される「結核」について、その予防と早期発見のための注意すべき症状について、「札幌市保健福祉局保健所」の感染症担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<北海道内の結核の感染状況>

北海道内での「結核」の感染は、2019年4月1日から4月14日までの2週間で既に、結核菌が体内にあっても発病していない「潜在性結核感染症」と、体内の結核菌によって発病している「活動性結核感染症」も含め、32件の感染が報告されています。

<結核とは>

「結核」は、「結核菌」という細菌に感染して起こる感染症で、感染しますと、最も高い頻度で肺に発症しますが、その他の部位としても、「骨(特に背骨)」や、「リンパ節」・「腸管」・「腎臓」・「脳」など、全身のあらゆる部位で発症する可能性のある感染症です。

<結核の感染経路>

「結核」の感染経路は、①「結核」に感染している方が、咳やくしゃみをすることで、唾液に含まれる結核菌が感染する「飛まつ感染」と、それ以上に感染しやすい経路として、②咳やくしゃみをした、「結核」に感染している方が、その場からいなくなった後も、結核菌を含む唾液の水分が蒸発して、結核菌だけが一定の時間、空気中を浮遊していることから感染する「空気感染」の二つの経路があります。

<結核を予防し、早期発見するために>

「結核」は感染していても、免疫細胞が結核菌の活動を妨げるため、自身で気が付かないことも多く(「潜在性結核感染症」)、感染者の生涯における発病率も、約10%という確率になっています。しかし、「結核」の発病はもとより、感染の拡大を防ぐためにも、成人であれば、「胸部レントゲン検査」を受けられる、職場での定期健診や、各自治体が無料で実施している結核住民健診(年に1回、65歳以上の方が対象)などを介して、早期に「結核」を発見することが重要です。
また、「結核」の「高まん延国(中国、ロシア、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、カンボジアなど22か国)」に渡航される場合は、渡航先での感染の予防が非常に難しいので、帰国後に「胸部レントゲン検査」を受けて、感染・発病の有無を確認することが推奨されています。
(逆に、「高まん延国」からの留学、研修生を受け入れる場合は、入国前にスクリーニング検査を行い、「結核」の感染が認められなかった場合、ビザを発給し、観光での入国であれば、「入国検疫所」で健康状態を確認します)

<結核の注意すべき症状>

「結核」の症状は、「発熱」・「咳」・「たん」・「倦怠感」など「風邪」の症状によく似ていますが、このような症状のうち、「微熱」・「咳」・「たん」などが二週間以上続くようでしたら、「結核」の疑いがありますので、「胸部レントゲン検査」を、早期に受けてください。

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