北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年12月04日16時08分

著者名:HTB医pedia編集部

【イチオシ!!×医TV】~患者のココロ、医療のココロから~こころに寄り添う医療の現場から②薬剤師編

  

<今回のテーマ>

10月から毎月1回の6回シリーズで、「~患者のココロ、医療のココロ~こころに寄り添う医療の現場から」と題して、患者さんの「こころ」に寄り添う医療者の努力や、それによって変わる患者さんの姿などを通して、医療現場でのコミュニケーションのあり方、大切さを紹介しています。
第2回目となる今回は、全国で30万1,323人にいる薬剤師のうち、およそ600人いる「がん専門薬剤師」による患者さんへのコミュニケーションについて、東京都の日本医科大学付属病院 薬剤部/化学療法科のがん専門薬剤師 輪湖哲也さんにお話を伺いました。

<がん専門薬剤師とは>

「がん専門薬剤師」とは、日本医療薬学会が認めた、がん領域での薬物療法などについて高度な知識と技術を用いて質の高い「薬物療法」を実践する薬剤師のことです。「がん専門薬剤師」は患者さんに薬の飲み方や副作用の対処方法について説明すると共に、患者さんとの会話の中で、様々な情報を聞き出し、患者さんの容態の小さな変化まで気付くコミュニケーションスキルも求められています。

<がん専門薬剤師としてコミュニケーションスキルを磨く理由とは>

日本医科大学付属病院の「がん専門薬剤師」、輪湖哲也さんは患者さんの立場を考慮した薬の提案や処方計画などを行っています。
輪湖さんがコミュニケーションスキルを磨こうと思った理由は何だったんでしょうか。
輪湖さん「がんの患者さんですと、がんを受け入れるときに精神的に不安定な方がいて、一辺倒なコミュニケーションだとうまくいかない、ということを何度か経験して、患者さんとのコミュニケーションもスキルとしてちゃんと身につけなければいけないと感じたというのがありますね」

<患者さんにとってのがん専門薬剤師とは>

東京都内在住の中山明子さん(仮名・50代)は、2012年に乳がんの告知をされ、その2ヵ月後に手術を受けました。その後は放射線治療と抗がん剤治療を受け、2013年からはホルモン治療も開始し、現在も治療を継続中です。
がん患者である中山さんは、薬剤師の方に困りごとや悩み事をお伝え出来たのでしょうか。
中山さん「口内炎がひどくて、ご飯が全然食べられなくなってしまって、すごく困っていたのですが、お忙しい先生にこんなこと聞いちゃいけないと思って聞けなかったのですが、薬剤師さんには細かく聞くことが出来ました。(薬剤師さんから口内炎に対しては)『治療中に口の中を冷やした方が良い』とか、治療中の薬や治療後の薬のことまで、薬に対する細かいケアのことまで教えて頂いたのですごく助かりました」
中山さんが理想とする、薬剤師との関係作りとはどういう形でしょうか。
中山さん「なかなか患者として薬剤師さんに直接接するきっかけは早々無いと思うんですけども、私の場合、主治医の先生が最初、薬剤師さんを紹介してくださったんですね。出来れば、他の患者さんにも最初の治療に入る時に、薬剤師さんを私のような形で紹介してくれると、薬剤師さんに親しみを持てて、いろいろ聞きやすくなるんじゃないかなと思います」

<がん専門薬剤師に求められる役割とコミュニケーションとは>

輪湖さん「薬剤師は診療科を横断できる職種なんですね。だから、本当に(院内の)潤滑油としてそれぞれの異なる診療科の先生を(コミュニケーションで)繋げるのも薬剤師の役割だと思っています。(また、先生を繋げることのみならず)患者さんに対してもコミュニケーションが取れないと何も始まらないですし、患者さんとの一歩は、その関係性を作ることだと思っています。コミュニケーションスキルをしっかり学ぶことは、患者さんとの良い関係を作る早道になると思います」

薬剤師は患者さんに服薬指導や薬の効果を説明するのは勿論ですが、薬剤師目線で患者さんの小さな変化に気づき、その情報を医師や他の医療従事者へフィードバックするという、新たなコミュニケーションスキルが求められています。