北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年12月23日13時51分

著者名:HTB医pedia編集部

食生活などが関係する病気③胆石症に対する負担の少ない治療

  

<今回のテーマ>

「医TV」は前々回より3回にわたって、食生活などが関係する病気について紹介しています。最終回となる今回は「胆石症」に対する負担の少ない治療について、国家公務員共済組合連合会 斗南病院 消化器内科医長の庵原秀之さんにお話を伺います。

<胆石症とは>

「胆石症」の原因となる胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける消化液として肝臓で生成され、胆のうで蓄えられたうえで総胆管を経由して十二指腸に放出されます。「胆石症」は肝臓や胆のう、総胆管に結石が生じる病気で、それぞれ「肝臓結石」、「胆のう結石」、「総胆管結石」と呼ばれます。

<胆のう結石の治療>

「胆のう結石」の場合、全く自覚症状が無ければ経過観察で構いませんが、以前に自覚症状が有った方であれば、半数の方が症状を繰り返しますので、腹腔鏡による「胆のう摘出術」を受けることがより良い治療になります。「斗南病院」では、腹腔鏡による「胆のう摘出術」として、臍部(へその部分)を2~3㎝程度切開して、手術用具を挿入しやすくするポートと呼ばれる器具を装着して胆のうを摘出する、「単孔式腹腔鏡下胆のう摘出術」を行っています。「単孔式腹腔鏡下胆のう摘出術」は、切開時の傷がほとんど目立たず、また、出血、術後の痛みも少なく、入院期間が短いなど、患者さんに対して負担が少ないというメリットがあります。

<総胆管結石の治療>

「総胆管結石」の場合も全く自覚症状が無いことはありますが、結石によって胆汁が流れにくくなることで、急性胆管炎になり、その後、敗血症などの危険な状態になることがあります。従って、自覚症状が無い場合でも、胆管に結石が見つかれば、内視鏡によって結石を取る「ERCP(内視鏡的胆管結石除去術)」を行う必要があります。「ERCP(内視鏡的胆管結石除去術)」は、内視鏡的に口から十二指腸の乳頭部(胆汁の出口)までバスケット状のワイヤーを挿入し、総胆管内の結石を取り出します。

<胆のうがんなどの予防のためにも>

「胆のうがん」の場合、胆のう結石が合併している率が高いので、「胆石症」の予防は、「胆のうがん」の予防にも繋がります。「胆石症」の予防は、食事時間を規則的にしたり、脂質やコレストロールの多い食事を控えたりするような「食生活の改善」と、運動や食事などによる「肥満の改善」に努めることが大切になります。

取材協力:
国家公務員共済組合連合会 斗南病院
札幌市中央区北4条西7丁目3-8
011-231-2121
http://www.tonan.kkr.or.jp/

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