北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年12月25日10時49分

著者名:HTB医pedia編集部

【イチオシ!!×医TV】~患者のココロ、医療のココロから~こころに寄り添う医療の現場から③治療と生活の両立編

  

<今回のテーマ>

10月から毎月1回の6回シリーズで、「~患者のココロ、医療のココロ~こころに寄り添う医療の現場から」と題して、患者さんの「こころ」に寄り添う医療者の努力や、それによって変わる患者さんの姿などを通して、医療現場でのコミュニケーションのあり方、大切さを紹介しています。
第3回目となる今回は、がんの治療と自分らしい生活を両立させるために、外来治療時のみならず、電話などによってがん患者に対して積極的なコミュニケーションを図る、「函館五稜郭病院 点滴センター」のがん化学療法看護認定看護師 金丸可保里さんにお話を伺いました。

<がん化学療法看護認定看護師とは>

がん患者さんはその症状や治療の副作用などによって、治療前と同じように生活できなくなることがあります。そこで、近年のがん治療の現場では、がん治療と自分らしい生活を両立させるために「QOL(Quality of Life生活の質)」を向上させるという考え方が求められてきています。そのような変化の中で、「がん化学療法看護認定看護師」においては、患者さんの「QOL」の向上のために、薬剤投与の管理や、抗がん剤の安全な取扱いの推進など、患者さんとその家族の治療に関する意思決定の支援など、その役割も多岐にわたっています。今回紹介する、函館五稜郭病院の看護師の金丸さんの場合は、病棟看護師のときに、がんのことをもっと知り、より専門的な知識を以て、がん患者さんに寄り添い、「QOL」を向上させていきたいという思いから、「がん化学療法看護認定看護師」の資格を取られました。

<がん化学療法看護認定看護師になって変化したことは>

金丸さん「患者さんも(普通に)生活しているという視点で、トータルで患者さんの背景まで踏まえたアセスメント(患者さんに対してこれからどのようなケアを行うのか、その方向性や目標を決定すること)が出来るような力を持てるようになりました」

<がん化学療法看護認定看護師による、患者さんへの電話でのサポート>

がん領域においては現在、経口の抗がん剤が選択されるケースが増え、がん患者さんにとっては、これまでの生活を維持しながら、外来でがんの治療を受けるということが可能となりました。しかし、経口の抗がん剤の服薬管理は患者さん本人やその家族に委ねざるを得なくなります。そこで、函館五稜郭病院では、経口の抗がん剤による副作用など、患者さんの変化を素早く知るために、がん化学療法看護認定看護師による、患者さんへの積極的な電話でのサポートを行っています。
金丸さん「(経口の抗がん剤で)起こり得る副作用はある程度予測できるので、そのような副作用が出ていないか、を聞き取りながら、気持ちの方でも影響が出ていないかを聞いています」

<電話サポートを受けている患者さんの声>

函館市内在住の北村みき子さん(70代)。
今年の5月に胃がんの告知をされ、胃の四分の三を切除しました。その後、8月から経口の抗がん剤と、3週間に1度の点滴による抗がん剤の投与を併用して治療中です。北村さんは抗がん剤の併用治療にあたって、がん化学療法看護認定看護師による電話でのサポートを受けています。
北村さんは電話でのサポートを受けて、どのように感じられているのでしょうか。
北村さん「普通は、病院に行って先生とお話して治療費を支払うだけ、という形ですけど、(電話サポートは)そういうのではないです。お忙しい看護師さんの方々がお時間を取って、電話サポートをしてくれるのは本当にうれしいです」
北村さんは今、自分らしい生活をできているのでしょうか。
北村さん「体調の良い時間に会社に行ってお仕事をさせていただく、というのもあるので、こういう体になって動きが鈍くなっているんですけど、(看護師さんのサポートを受けて)時間を徐々に使い慣れていけば、自分なりの生活が出来るかなと思いました。」

<患者さんに自分らしい生活をしてもらうために心がけていること>

金丸さん「自分らしいというのも、私たち(看護師)が思うところとは当然違うので、患者さんの価値観や、大切にしたいことを尊重しながら、しっかりお話を聞いて患者さん自身を知るということが第一歩なのかな、と思っています」

「函館五稜郭病院」のがん化学療法看護認定看護師は、がん患者さんが治療と両立しながら、自分らしい生活を維持できるように、日々支援しています。

取材協力:
社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院
函館市五稜郭町38番3号
0138-51-2295
https://www.gobyou.com/