北海道テレビ:HTB online 医TV

2020年01月23日16時07分

著者名:HTB医pedia編集部

【医療のミカタ】その長引くせきは大丈夫?

  

<今回のテーマ>

今回の「医療のミカタ」のテーマは「せき」です
「せき」が頻繁に出て、その症状が想像以上に長引いてる方はおられませんか。
長引く「せき」というのは放っておいても大丈夫なのでしょうか?
実際、「せき」が長引いて辛い経験された方々のご経験を街で聞いてみました。

 
<「せき」はどのくらい続きましたか?>

北区50代女性「1か月くらい続きました。普段だったら、ちょっと風邪かなと思って最初は放っておいたんですけど、なかなか長引いたものですから、その時、病院に行ったら『のどにカビ生えてるね』って言われたんですよね。(そこで)薬を飲んだら1週間くらいで治りました。」

東区70代女性「せきを抑える薬を飲んでいたことがあるのですが、あまりにもせきが長引いて、3か月くらい続いたので、病院に行ったら『せきぜんそく』って言われたことがあります。」

長引く辛い「せき」は、風邪ではなく、「マイコプラズマ感染症」」や「百日せき」、または「カンジタ性咽頭炎」や「せきぜんそく」といった喉の炎症である可能性があります。
ただの風邪とはいえない「せき」について、「とよひら公園内科クリニック」の藤本院長にお話を伺いました。

<最近はどういう患者さんが多いのでしょうか?>

藤本院長「最近は、せきが長引いていると言ってくる方が多いです。(せきが長引く原因のうち)『マイコプラズマ感染症』や『百日せき』は子どもがかかる病気だと思われがちですが、免疫がもう切れている大人の方の間でも『百日せき』が流行っている印象があります」

<マイコプラズマ感染症とは>

「マイコプラズマ感染症」というのは「マイコプラズマ」という細菌によって、本来ヒトの体を守るはずの免疫が強く働きすぎて、自分の体まで傷つけてしまう病気で、気管支炎や肺炎などの症状が現れることを指します。しかし、「マイコプラズマ」に対しては有効なワクチンが無いので、治療にあたっては抗菌薬を服用し、服用後、数日以内に熱が下がるというのが一般的で、通常は3週間程度で治ることがほとんどです。

藤本院長「『マイコプラズマ感染症』は微熱が出るケースが多く、時間を問わず、常にせきが出ている症状が見られますが、あまり痰は伴わないという感じはします。『マイコプラズマ感染症』はオリンピックイヤー(夏五輪のある年)に流行るといわれていますので、今年は注意が必要な年になります」

<百日せきとは>

一方、「百日せき」は「百日せき菌」という細菌によっておこる呼吸器感染症で、「百日せき」の患者さんのせきやくしゃみから菌が飛び散って感染します。診断は血液検査を行わなければ分からず、「夜眠れないほどせきが出る」または「短いせきが連続して出る」ような場合は、「百日せき」のを疑いがあります。

藤本院長「『百日せき』は 寝入りばながひどくて、眠っても咳で起きてしまうというような症状が有りますが、熱はあまり出ない方が多い感じがしますね。お子さんは混合ワクチン(乳幼児時に接種するジフテリア、百日せき、破傷風及びポリオを予防するワクチン)の接種を受けていることが多いので、『百日せき』にあまりかかりませんが、大人の方は、子供時代に接種したワクチンが切れてしまい、実際、去年の2月と8月に2回もかかっていた方もいたので、終生免疫が出来ずに、繰り返しでかかる方もおられると思います。また、『百日せき』は『せき』ですので飛沫感染してうつりますので『せき』が続くような場合は、医療機関、特に『呼吸器内科』を受診することをお勧めします。」

<「カンジダ性咽頭炎」・「せきぜんそく」とは>

長引く辛いせきの原因には他にも、「喉にカビが生えている」と言われる、口の中にあるカンジダ菌が増えて炎症を起こす「カンジタ性咽頭炎」という喉の炎症や、「せきぜんそく」といったケースもあります。「カンジタ性咽頭炎」は、カンジダ菌自体は誰しも口の中にあるものですが、歯磨きやうがいで炎症にまで至らず、予防することができます。「せきぜんそく」は、せきが3週間以上続くような場合はその疑いがありますので「呼吸器内科」で相談、治療することをお勧めします。

<長引くせきの予防、症状を悪化させないために>

さて、こうした長引くせきによる症状の予防、または悪化させないための対策について藤本院長に伺いました。

藤本院長「免疫を上げるには体温を上げる方が良いという、昔ながらのおばあちゃんの知恵みたいなものですが、風邪っぽいときに体を温める方法を実践するのはお勧めです。お風呂の入り方も重要で、風邪をひいてるので軽く済まそうと思ってシャワーだけにするとか、そういう方はせきを長引かせることが多いです。また、朝の入浴やシャワーも、通学や通勤の間で湯冷めするということになりますから、良いことではありません。特に、女性は髪が長いので普段、毛先まで乾かさない人もいますから、しっかり毛先まで乾かしてください」

また、体を温める代表的な食材、「生姜」についても、その食べ方のコツを伺いました。

藤本院長「生の生姜は体を温める効果が少なく、生姜は一回乾燥しないと体を温める効果はありません。生姜パウダーというものが販売されていますので、生姜に相性のいいココアとか、お味噌汁とかに入れて飲むのをお勧めします。」

これからの季節、体をなるべく温めて、免疫力を上げることで、病気に負けない強い体作りが大切です。しかし、風邪にかかってしまえば勿論のこと、せきが長引くような症状があらわれたら、なるべく早く病院で相談、治療を受けてください。

取材協力:
とよひら公園内科クリニック
札幌市豊平区豊平4条11丁目3-5
011-811-1518
http://www.toyohira-koen-naika.jp/