2020年06月16日17時18分
正しく理解しよう「新型コロナ」 ⑥治療薬の最新事情
<今回のテーマ>
「医TV」は5月から6回のシリーズで、「正しく理解しよう新型コロナ」と題して新型コロナにウイルス感染症について解説しています。
第6回目となる今回は、「治療薬の最新事情」について、札幌医科大学医学部微生物学講座の横田伸一先生にお話を伺いました。
<新型コロナウイルス感染症の重症化の原因とは>
一般的に肺炎といわれている症状以外にも全身性の疾患を引き起こすことがあるといわれています。それはどういうメカニズムかと言いますと、ウイルスがに染した後に免疫反応があるのですが、免疫の引き金を引くのはサイトカインと言われているタンパク質です。これは局所で産生されているときには非常に役に立つのですが、全身で多量に産生されると正常細胞に作用して敗血症や多臓器不全が起きて非常に致死率が高くなってきます。
<新型コロナウイルス感染症治療薬開発の現状>
新型コロナウイルスお治療薬はまだまだ開発に時間がかかると思います。ですから、既存の薬の中で何か使えるものはないかということで レムデシビルやアビガンなど、元々は別のウイルスに対する薬だったものが使えるかどうか臨床研究をする動きが出ています。
<レムデシベル・アビガンの効果と対象>
アビガンもデムデシビルもウイルスの増殖を抑制することにより正常細胞への浸食を防ぎ、それが治療に結びつくといわれています。ただ レムデシベルは腎障害とか肝障害といった副作用が懸念されています。そういう意味では軽症のうちに使うというよりは重症化しそうな患者さん、あるいは重症の患者さんに使うという位置付けで考えられているのです
<サイトカインストーム(免疫の暴走)に対する治療薬とは>
炎症反応の鍵を握っているサイトカインの一つにインターロイキン-6があります。このインターロイキン-6を抑える薬は、実は既に全身性の免疫疾患である関節リウマチに使われています。この薬が新型コロナの重症化を抑えるのではないかということで期待されています。そういう意味で今後の臨床研究の結果を待つ必要があると思います。
治療薬の臨床研究は進んでいますが一人一人の予防行動が何よりも大切です。
北海道では新しい生活様式「新北海道スタイル」の実践をお願いしています。
取材協力:
札幌医科大学医学部微生物学講座
札幌市中央区南1条西17丁目
https://web.sapmed.ac.jp/
「新北海道スタイル」
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kks/newhokkaidostyle.htm