北海道テレビ:HTB online 医TV

2022年11月17日13時11分

著者名:HTB医pedia編集部

北海道循環器病院「心不全チーム」の取り組み④ 心不全と上手につきあうための心臓リハビリテーション

  

<今回のテーマ>

北海道循環器病院で「心不全」に特化した診療チームの取り組みから、心不全と上手につきあうための心臓リハビリテーションについて、同病院の副院長であり、心臓リハビリチームの統括責任者である大堀克彦先生にお話を伺いました。

<リハビリテーションとは>

「リハビリテーション」の一般的な定義は、病気やけがにより障害を来した体の機能回復とされていますが、北海道循環器病院では、体の機能回復に加えて、多職種の医療従事者が包括的に支援することで、患者さん自身が希望される、本来の生活を取り戻すということまでを目的としています。

<心不全に対する「心臓リハビリテーション」の目的>

心不全に対する「心臓リハビリテーション」の目的は、心不全の進行度を測るステージAからDごとに異なります。ステージA(高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病など)の患者さんには、心筋梗塞などの発症の予防を行い、ステージB(狭心症・心筋梗塞・心臓弁膜症など)の患者さんには、その心疾患の再発を予防していきます。その後、実際に心不全が発症したステージC以降から、心不全の治療が困難となったステージDにかけては、心不全の進行を抑え、患者さんの入院を回避させると共に、その症状の緩和や生活の質の維持・改善を行っていきます。

<心不全に対する「心臓リハビリテーション」の効果>

心不全に対する「心臓リハビリテーション」の効果は、有酸素運動により筋肉や血管の機能改善を図り、自律神経系のバランスを整えることで、「運動耐容能(その人がどれくらいまでの運動に耐えられるかの限界)」を高めて日常生活の上での動作の改善や、生活の質の維持・改善することが出来る、というエビデンスとして認められています。

<運動耐容能を維持するためには>

心不全の患者さんが心臓リハビリテーション(有酸素運動)を中断してしまうと、身体機能は顕著に低下するため、患者さんにとって楽しく感じられるような運動プログラムを見つけることが、運動の継続に繋がります。そこで北海道循環器病院では、ノルディックウォーキング、登山や歩くスキーなど、四季の自然を活用し、患者さんが相互に励ましあうような「集団リハビリテーション」を実施し、最近ではパークゴルフやエアロビクスなど、患者さんの様々な要望に応えられるような運動プログラムも導入しています。また、コロナ渦になってからは、患者さんが自宅でも心臓リハビリテーションを行えるように、YouTubeでそのプログラムを配信したり、配信環境が整っていない患者さんに対しては、配信内容を録画したDVDを有償にて頒布しています。

取材協力:
社会医療法人 北海道循環器病院
札幌市中央区南27条西13丁目1-30
TEL:011-563-3911
https://hokujun.or.jp/