北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年05月07日16時14分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「結核」①「結核」の感染経路と症状

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、近年、集団感染が報告される「結核」について、その感染経路と特徴的な症状について、「札幌市保健福祉局保健所」の感染症担当部長 山口亮さんにお話を伺います。

<北海道内の結核の感染状況>

北海道内での「結核」の感染は、2019年4月1日から4月14日までの2週間で既に、結核菌が体内にあっても発病していない「潜在性結核感染症」と、体内の結核菌によって発病している「活動性結核感染症」も含め、32件の感染が報告されています。

<結核とは>

「結核」は、「結核菌」という細菌に感染して起こる感染症で、感染しますと、最も高い頻度で肺に発症しますが、その他の部位としても、「骨(特に背骨)」や、「リンパ節」・「腸管」・「腎臓」・「脳」など、全身のあらゆる部位で発症する可能性のある感染症です。

<結核の感染経路>

「結核」の感染経路は、①「結核」に感染している方が、咳やくしゃみをすることで、唾液に含まれる結核菌が感染する「飛まつ感染」は勿論ですが、それ以上に、②咳やくしゃみをした「結核」の感染者が、その場からいなくなっても、結核菌が含まれる唾液の水分が蒸発して、結核菌だけが一定の時間、空気中を浮遊していることから感染する「空気感染」のほうが、感染しやすいという事実があります。

<日本人の結核死亡率の推移と、り患状況の国際比較>

「結核」は、昭和25年(1950年)までは、日本人の死因のトップでしたが、抗結核薬(抗生物質)の開発や、栄養状態の改善によって、「結核」の発生に加えて、死亡率も年々下がり続けています。
しかし、国際的に比較しますと、日本はまだ、「結核」の「低蔓延国」ではなく、「高蔓延」とまではいえないものの、「中蔓延国」ということで、先進国の中では、「結核」の多い国と位置付けられています。

<結核が高齢者に多い原因とは>

現在の高齢者は、「結核」が流行していた時代も生きておられましたが、「結核」の発症が、10人に1人~2人の割合でしか発症しないため、ご自身も気が付かずに、「結核」に感染していることがあります。
このような潜在的に「結核」に感染している高齢者は、「がん」や「糖尿病」、「諸々の透析」など、免疫機能が下がる疾患に罹った場合、「結核菌」の活動を抑えていた「免疫細胞」が働かず、「結核」を発症してしまうことになりますので、注意が必要です。

<結核の注意すべき症状>

「結核」の症状は、「発熱」・「咳」・「たん」・「倦怠感」など「風邪」の症状によく似ています。しかし、このような症状のうち、「微熱」・「咳」・「たん」などが二週間以上続くようでしたら、「結核」の疑いもありますので、医療機関で、「胸部レントゲン検査、「かくたん検査(痰の検査)」、「血液検査」などの複合的な検査を受けることをお勧めします。

医TVの放送内容はこちら >>