水曜どうでしょう祭 UNITE 2013 水曜どうでしょう祭 UNITE 2013

SPECIAL(スペシャル)

匠の技を見学

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― ここは、東京銀座にありますインターナショナルアーケードの中にありますポータークラシックのショップです。

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― 店内にいるのは藤村さん。

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― レジ横には祭のポスターも貼られてます。

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― 今回は、水曜どうでしょうとKICHIZOが、コラボしたカバンの「ここが凄い!」を、作ってくれた吉田兄弟の2人に直接教えてもらいに来たのです。

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藤「こんにちは。」

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― 中には、なにやら、うさんくさいおっさんが二人…。

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― こちらが吉田兄弟です。左がお兄さんの晃務さん。右は弟さんの治彦さん。

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― 藤村さんも参加したら、うさんくささも一挙に3倍。

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藤「今回、我々ディレクター二人が、京都の老舗岡重さんで、それぞれに和ガラの生地を選んで、それをKICHIZOのデザインでカバンにしたわけだけど、祭会場で売るにあたってね、ここが凄い!というところを制作者自身に教えてもらえたら、これは得だなぁと思ってやってきたんですけどね」
吉田兄弟「なるほどね」

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藤「これは嬉野さんが選んだ波ガラだけど、KICHIZOのデザインセンスで、実にあざやかな色合いに仕上がってるんだよね。なにより和ガラのはずなのに和ガラには見えないんだよね…」
吉田兄「そうなんですよ」
藤「それではまず、このトートバッグの、ここが凄い!から、お願いします」

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吉田兄「はい、それでは。まず、このバッグの最大の特徴は、当然ですけど、この顔だけじゃなくて…」

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吉田兄「ひっくり返すと…」

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吉田兄「もうひとつの顔になる、リバーシブルだというところなんですが…」
藤「はいはいはい」

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藤「ほ~ら、どうです皆さん。完全に雰囲気の違うバッグになりましたね」

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藤「こっちの顔は天然の柿渋染めですよ」

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吉田兄「普通、中を違う生地で使うときって、この上のぐるりだけを縫い合わせただけで、そのままぽとんと裏地を落として終わりだったりするんですけど、このトートバッグは裏にしても表にしても完全に本物のカバンになるように作ってますから手抜きが出来ないんです。こういうことって手間が掛かりすぎちゃうから普通はぜったいやらないですよ」
藤「すごいね…」

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吉田兄「たとえば、カバンって、内側をパイピングでまとめるんですが」

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吉田兄「よくあるのは、ここをバイアステープで巻いてパイピングするんですよ、薄いテープですよナイロンの。でも、それだとたいして強度が出ないし、なによりこのカバンはリバーシブルですから、こっちが表になった時のことも考えて綺麗に仕上げなきゃいけないんで…」

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吉田兄「カバン地と同じ布を巻いてパイピングしてます。しかも巻いた布のふちも内側に綺麗に織り込んで縫ってるから、その分ものすごい厚みになってます」

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藤「ほんとだ…、ここすげぇ分厚い」

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吉田兄「ここまでの厚みで始末するって、特殊な方法を駆使しないと普通の技術じゃ実現出来ないですよ。それくらい凄いことやってるんです」

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藤「でも、パイピングにこれだけの強度を出してるから、シルエットもエッジが立って結果的にスッとした見え方するよね」

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吉田兄「ボタンもこれ両方についてますから、どっち側にひっくり返しても…」

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吉田兄「この位置で留められます」

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吉田兄「あと、持ち手ですけど。これ丸手っていって、革カバンだったらやってるのはありますけど、布ではまずやらないです。中に芯入れて布で巻いてるんです。ものすごい強度ですし、とにかく持ちやすいです…」

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吉田兄「ここ見てもらえますか。ここの合わせ目…」

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吉田兄「ここも強度を出すために布を重ねてますけど、折ったふちとふちもぴったり合わせてるんですよ」
藤「ものすごいね。ピッタリだよ!」
吉田兄「ここもぴったり来た方が綺麗じゃないですか」
藤「すっごく綺麗だよね。」

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吉田兄「このリング、D管っていうんですけど、」

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吉田兄「これも、ぐるぐる回したくないじゃないですか、」

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吉田兄「だから、ここは、このギリギリのきわを縫ってるんですよ」
藤「すごい。金具のギリギリのとこ縫ってる。」
吉田兄「これ、もうほんのちょい下を縫ったら金具がぐるぐる回っちゃうんですよ、それくらい、きわきわを縫ってます」

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吉田弟「このファスナーの持ち手のデザインはうちのオリジナルで、この星と、あとハートがあって、一応「愛と希望」って呼んでるんですよ」
藤「愛と希望…(笑)。じゃ、これは希望だ」
吉田弟「そうです(笑)」

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吉田兄「ファスナーのここ、虫っていうんですけど、見てもらったら分かりますよね、普通のファスナーと違って、これ、スカスカ感がないんですよ。この虫がスカスカだと開け閉めの時に引っかかるんです。でもこのファスナーは引っかかりがないです。このファスナーは、YKKの中でも最高級の部類で、変な話、ルイヴィトンとかそういうとこも使ってますよ。で、あんまり高いんで日本のメーカーは使わないですね」

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吉田兄「使用感もね、重たくなく軽くなくちょうど良いんですよ。これはね、メイドインジャパンの凄いって言えるところですよ」

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藤「これは?」
吉田兄「これはファスナー開ける時の持ち手ですね」

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吉田弟「ここを持って開ける方がファスナーのもちも良いんですよ。これはカバンにはよくついているものなんですよ」

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藤「閉める時はこっちを持って…。」

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藤「こうですよ。」

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吉田兄「あと、ここ、窓って呼んでるんですけど。」

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吉田兄「ここに窓作るのって一手間掛かるんですけど、こうしておいた方が、ファスナーが確実に閉まるんです。」
藤「あ、なるほど。細かいけどそうだよね」

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藤「どうですかみなさん。このトートバッグのファスナー。日本製の最高級ですよ。使ってますよ、うちは」

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吉田兄「つぎ、藤村さんが選んだ生地で作ったカバンのほうですが…」

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吉田兄「これもリバーシブルですから…」

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吉田兄「こうやってひっくり返すと藤村さんが選んだガラが出てきます」

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藤「はいはい。これも和ガラなんだけど、和ガラに見えないよね」

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藤「サラリーマンよ心に矢を持て…という願いと…」

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藤「水…だめなら水に流されて行け…という(笑)」

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吉田兄「まずパイピングですけど…この藤村さんのもさっきの嬉野さんのと同じで、布巻いてるんですけど、さっきと違ってこっちは同じガラの生地で巻いてるんですよ」

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吉田兄「だから、パイピングした所にも同じ柄が来るから総ガラに見えるんですよ」
藤「あ、たしかに、総ガラに見えるわ…」

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藤「ほれ、どうです?総ガラに見えますよね」

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吉田兄「あと、このカバンの、いちばん凄いところは…、このファスナーのとこなんですけど…実際の話、ファスナーで開け閉めするカバンでリバーシブルってあんまり無いですよね…」
藤「無いよね…」
吉田兄「無いんですよ。なぜ無いかっていうと…」

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吉田兄「たとえば、このポケットの部分は…」

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吉田兄「リバーシブルじゃないから、裏にしたらファスナーのテープがこんな風に出ますけど、それで良いんですよ…隠れてしまうわけですから」  藤「あ、はいはい」

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吉田兄「でも、このカバンはリバーシブルだから…」

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吉田兄「ひっくり返したとき、こんな風にテープを出したままにしとくとまずいじゃないですか」

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吉田兄「だから、裏にも表にも生地を当てて、ファスナーのテープを完璧に挟んでるんですよ。だから、どっちにひっくり返しにしても絶対にテープは出ないんです…これ、出てないでしょ」

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吉田兄「こっちにひっくり返しても出てないですよね…」
吉田兄「こうやってファスナーのテープを完璧に隠してるんですよ」
藤「なるほど!」
吉田兄「そして、もちろんこのファスナーもさっきのと同じ高級なやつですよ…」

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吉田兄「で、ファスナーの持ち手はリバーシブル用のスライダーで、こっちにも回せれば…」

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吉田兄「こっちにも回せるんです…」

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吉田兄「リバーシブル用のファスナーってね、洋服ではよく存在するんですけど、カバンではほとんど使ってないはずですよ…」

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吉田兄「それと、ここも凄いんですよ…このD管は、ショルダーの肩紐の留め具ですけど…」

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吉田兄「ひっくり返した時も、まったく同じ位置にあるんですよ…こうやってるから、どっちの顔の時もショルダーにできるんですけど…」

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吉田兄「その分ここが物凄く分厚くなってるんですよ。こんな分厚いとこ縫ってますから、日ごろから厚い皮を縫ってるとことか…慣れてるとこじゃなきゃ無理です…出来ないですよ…」

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吉田兄「で、ガラのある方の顔でファスナーを閉めるとショルダーになるんですよ…ハンドル(持ち手)もない…」

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吉田兄「こういう感じですね」

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吉田兄「で、これをひっくり返しすと…」

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吉田兄「ハンドルが出てきて…まったく違うカバンに…」

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吉田兄「なるわけですよ…」

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吉田弟「まったく違うカバンですよね。ブリーフケースと…」

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吉田弟「ショルダーバッグですもんね…種類が違うカバンですよね」
藤「ほんとだよね!」

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藤「ほら…」

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吉田弟「これもここの位置にD管をつけているから…」

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吉田弟「パタッと、ハンドルが倒れる感じになって…だからリバーシブルで内側になる時、表から見えないんですよね」

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吉田兄「素材は、コットンとナイロンの混紡ですね。コットンの風合いとナイロンの光沢がありますよね。ナイロンがね60%コットンがね40パーセント。だからナイロンが多い分、軽くて強いです」

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吉田兄「金具はみんな、塗装じゃなくてメッキです。ブラックの。日本のメッキ技術ってけっこう高いですよ。それと、メッキが剥がれると下地が出てくるんですけど、けっこうね、逆に、味なんですよ」

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― 吉田兄弟の2人が水曜どうでしょうのカバンを作りたいと申し出てくれたのは、もうかれこれ7~8年も前のことになるでしょう。彼らは、HTBの裏口の駐車場で展開する、水曜どうでしょうの企画発表のシーンを見ながら、毎回ぼくらの足元に、カバンがたくさん映っているのを見て、なぜ、あそこにあるカバンが自分たちの作ったカバンじゃないんだろう。あそこに並ぶべきなのは自分たちが作ったカバンじゃないのか!と思ってくれたのだそうです。それが彼らとぼくらの付き合いの始まりでした。あれから、この7~8年、東京へ出張に出るたびに、ぼくらは、ちょくちょく彼らと会い、その間、お互いの人生にもいろいろなことが起こり、その度に話し込み、いつかKICHIZOのカバンを水曜どうでしょうのロケに持って行こうという話をしながら、時間ばかりが過ぎて行きましたが、ようやく今年の春の新作ロケに持って行くカバンとして長かった夢が実現の運びとなったのです。そして、出来上がってみると、その仕上がりの良さに驚いたぼくらは、これはせっかくだから、ぼくらだけじゃなく、祭もあることだし、なるべく多くの人に、日本の職人の技術とデザインセンスがどれだけ世界に誇れるものかを、実際に手にとって使って実感してほしいと思ったのです。KICHIZOのカバンは、使えば使うほど、そして時間が経てば経つほど愛着の湧く味わいを醸します。少し値段が高いと思う人もいるかもしれないけど、でも、使い始めたら、おそらく一生使いたくなるカバンです。それを思えば、本当は驚くほど安かったのだということが、そのとき分かるのです。お勧めのカバンです。いや、これは買いです!!

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