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2014.10.30(木)
本日の日記

本日の写真

DVD第21弾!絶賛発売中!

(2014/6/18)

福助

10月30日木曜日。東京から藤村でございます。

ミスターさんの演劇プロジェクト「オーパーツ」の第2回公演「SHIP IN A BOTTLE」に役者として参加するために、10月6日から単身、東京で暮らしております。

昨日、およそ3週間の稽古期間が終わり、いよいよ本日から初日の舞台グローブ座での最終調整が始まります。

この3週間は、ただただ稽古が楽しく充実した日々で、午後7時に稽古が終わればみんなでメシを食い、10時前には寝てしまうという生活でした。

ミスターさんとはほぼ20年の付き合いになりますが、この20年とはまったく立場を変えて過ごしたこの3週間。私は、あの人のまた新たな一面に触れた気がいたします。

なんというか、えらそーなことを言えば、「ミスター、あんたのことを見直したよ」と。

稽古が始まって数日たったときにミスターさんからこう言われましてね。

「藤村さん、あなたの芝居はマジメ過ぎるというか、はっきり言えば小さいんですよ。もっと舞台の広さを感じさせるような、外に向けた芝居をしてください」と。

「ずいぶん難しいこと言うじゃねぇか」と思いつつも「なるほど、そうかもな」と思い直して、部屋に帰ってビール片手にシーンを思い出して、いろいろ考えて、「こういうことか?」と思ったことを翌日の稽古で試してみて、そうやって真剣に考える機会をミスターが与えてくれたことがとてもうれしくてね。

ミスターさんは、役者が考えていなかったことを稽古中にどんどん言ってくれるんですよ。その言葉が的確でね。あんなにしゃべり続けるミスターはどうでしょうでは見られません。しゃべりながら自分で演じてくれるんだけど、その動きがすこぶるおもしろくてね。「やっぱあんたはすごいねぇ」と今さらながらに感心しましたもん。

昨夜、稽古の打ち上げでミスターさんとメシを食ってるときに、ふとね、ミスターさんが言ったんですよ。

「藤村さん、おれ最後に自分でゴールを決めようと思ってたんだけど、あなたが決めてください。おれ、できるだけいいパスを送るんで、あなたがゴールを決めてください」と。

ミスターさん、やりますよ。あなたのパスで、渾身のゴールを決めにいきますよ。

今回の芝居は、舞台装置がとにかく異常です。舞台一面が15台のシーソーで埋め尽くされていて、足場が常に不安定。南太平洋上に浮かぶ一隻のマグロ漁船の話ですから、その揺れをシーソーで表してるんですね。そのシーソーの上を、役者が走り回り、転げ回る。そこでなにが起こるのかは、本番が始まるまでわかりません。

なにが起こるのかわからない。それが不安ではなく、ミスターも私も、それが楽しみで。これが、我々がずっとやってきた、どうでしょう魂なんでしょうか。

「とにかくお客さんに楽しんでもらうことが一番なんですよ」

ミスターは再三、言っておりました。やりましょう、ミスター。おっさんたちにできることは、とにかく渾身の力で、汗だくになりながら、我々の生身を見てもらうこと。

11月1日午後5時。ミスターさんの芝居「SHIP IN A BOTTLE」がいよいよ幕を開けます!



【10月22日 嬉野Dの日記】

2014年10月22日水曜日

ドンドコドンドコドンドコドン。
折から緊張の登城太鼓が打ち鳴らされる。そこへ、どうでしょう藩・城代家老が威儀を正して登場。

さてさて、拙者どうでしょう藩城代家老の嬉野でございまする。

手前このところ職務多忙につき城代家老の身でありながら江戸オモテへの出仕が度重なりまして、それはもう目も回るほどの忙しさ。

加えてこの頃は寄る年波で、ものを忘れる覚えてられない、かといってメモは取らない、会社にゃ…いや…お城にいない。あれよあれよとバタついておりますうち、早や DVD 年貢取り立て開始の刻限を過ぎまして、

にもかかわらず拙者、仕事繁多でそれにも気づかず、いつのまにやら、村々への触れも出さず、号令もかけそびれで、江戸オモテにて、ただただイタズラに時を過ごし日をまたぎしておりましたところ、

夜更けに国元より火急の飛脚があり、胸騒ぎするなか、拙者、江戸藩邸に於いて「何事ぞ!」と急ぎ書状を読みますれば、

「ご家老、すでにDVD予約開始の刻限も過ぎ、にもかかわらす城中よりお触れも出ず、号令もかからずじまいでは、城下の者に対して示しがつかず、これ以上、なしのつぶてに捨て置けば、年貢一揆の起こるやも知れず、なにごとも国元安泰、治安良好でなければ、幕府からの要らぬお咎めの火種となるやもしれず、そのようなことにでもなりますれば殿に対して申し訳なく、まさにお国の一大事でございますれば、このうえは早急に国元へお戻りになって年貢取り立ての号令を至急に下されますように」との必死の嘆願。

拙者、読み終わり、いかに職務繁多とはいえ、かかる不手際に弁解の余地なく、全身に冷水を浴びせられた心地して、殿様の留守をあずかる城代家老の身としては切腹ものと大反省し ( もちろん切腹なんてしませんよ、そんなもんね痛いし… ) しかしながら年貢取り立ての大号令は、これまで通りに触れ回らねばと思い、とるものもとりあえず、江戸オモテより早馬を走らせ→早カゴに乗り→船に酔いして不眠不休、それこそ夜を日に継ぐ勢いで国元であります蝦夷地へと本日戻って参ったしだい!

さぁさぁ者ども出陣じゃ!
国中に触れを出せぇ!
水曜どうでしょうDVD第22弾!の予約開始じゃ〜!
太鼓を打ち鳴らせ〜!
こたびの出し物は、中米コスタリカで幻の鳥を激写する&前枠後枠傑作選!ぞ!
それぞれ滞りなく年貢納入の上、心して発売の日を待て〜!

特典映像には去年の水曜どうでしょう祭りでステージに立ったどうでしょうアーチストのライブ映像もオマケで挿入じゃ〜!
はたしてどうでしょうアーチストとは誰か!もちろんアーチストの取りは樋口さんじゃ〜!

他にも予約をなされた者だけに与えられる予約特典も、物についてはいろいろ文句もあるじゃろうが、見ようによっては魅力満載じゃ!ものども触れ回れ!高札を上げよ!ビラをまけ!
祭りじゃ祭りじゃ!え〜〜祭りだ、祭りだ、豊年まんさく〜〜。

すいません。なんとか勢いで誤魔化せないものかとおもって恥ずかしながらの小芝居でございます。

さぁ!予約開始からは1週間以上過ぎまして、いまさら感もありありですが、
水曜どうでしょうDVD第22弾「中米コスタリカで幻の鳥を激写する&前枠後枠傑作選」予約開始しております。
お近くのLAWSONさんのロッピーまたはHTBオンライン城、道内各HTBグッズショップにて、ご予約の段よろしくお願いしま〜す!おねがいよ〜!

ということでね、みなさん。
ささ、
本日も各自の持ち場で奮闘願いましょう!願いましょう。

解散。

あぁ忙しい忙しい〜!(ホントかよ)



【10月15日 嬉野Dの日記】

2014年10月15日(水)

嬉野です。
このところ跳び跳びで東京で打ち合わせやらあるもんですから、わたくし、やけに札幌と東京を出たり入ったりで妙に忙しい日々でございます。

しかしながら、出張の中身が忙しいわけではなく移動が頻繁なだけですからバタつくだけで、なんのことはないのですが、それにしてもこうまで頻繁だと面倒臭く思えても来るもんで。

それもこれもうちの藤村さんがミスタさんのお芝居に役者として出ることになりましてね、

しかも奥さん、それがこのたびは HTBの業務ということになりましたものですからね、

藤村さんは現在長期出張の身という立場でこの10月はまるまる東京で芝居稽古というあんばいでございますよ。

HTBもそういうところは思い切りがいいですね、さすがでございます。ただ、そうなりますと勢いDVDの副音声の録音もわたくし嬉野が東京へ出掛けて東京で録音した方が好いでしょうなんてなことになりますもんですからね

「そりゃまぁたしかにそうだよね〜」

とわたくしとしても反論の余地もなく、いやはや今月はやたらとわたくしの東京出張が増えておりますよ。

でまぁそのついでといってはなんですが、昨日も打ち合わせを一件済ませましたあとにミスタさんの稽古場に顔を出しましてね、藤村さんの陣中見舞いというのか芝居稽古の見学をしてきたのでございます。

そしたら奥さん、新宿で廃校になった小学校があるんですね、都会は都会の事情があるんですね〜、その廃校になった小学校が今では貸しスタジオみたいな稽古場になってましてね、在りし日の姿を今に残す正門を抜けましてね、校庭を歩いておりますと、やたらと気になってくるのが、視界のぐるりを林立する高層ビルが囲んでいる見上げるほどの威容でございますよ。

威圧的でございます。

こんな小学校に通っていたら落ち着かないだろうな〜というのが昔々の小学生経験者の感想でしたが、でも、そのなんとも奇妙な景観も悪いものに思えなかったのは、小学校の佇まい自体が見慣れた懐かしさとしてそのままの外観で今に残っていればこそなんでしょうね。

さて、校舎の中の稽古場に入りますと、藤村さんたちはなんだか部活のようにそれこそ楽しそうに稽古をやっておりましたよ。

お芝居をやるなんてのはね、ある意味、学校の学芸会みたいなもんで、

どこか、お祭り感がある。

それを思えばいろんな会社もね、年に一度くらい素人芝居をしてみるのも好いんじゃないかしらとわたくし思うんです。

それこそいろんな会社さんで、土建屋さんも商社さんも警察も消防も市役所もテレビ局も総合病院もデパートも、

それこそ人がたくさん働いている職場でね、年に一度、素人芝居をする。

そしてその時ばかりは職場を開放して職場の一角に舞台をしつらえて、もちろん無料で素人芝居を見てもらう。

なんかね、それだけで近所を巻き込んだお祭りになると思うんです。

そして実際、会社の近所の人たちが大人も子供も見にきてね、舞台の上では緊張したりテンパったりトチッたりそれこそ真剣に懸命にやってる素人役者の顔つきがいっぱいあって、

そんな顔は、いつもの慣れた仕事をしてる時の顔じゃないから、その時ばかりはなんか好ましいその人の「人間性」がこぼれちゃって簡単に外から垣間見れる好い機会にもなるような気がしますね。

ほら、よく営業用のトラックの後ろにドライバーの名札が貼られてるようなもんでね、匿名でデッカいダンプに煽られたりすると勝手に怖いですけど、「運転者は嬉野雅道です」とか「藤村忠寿です」とか名札が貼られてるとそれだけで、おかしなもんで「あぁそうだ、おんなじ人間なんだよな」って気づけるもんでね。

気づいたらもう怖さはなくなっている。それと似たような効果があるような気がするんです。

人と人との距離が縮まるキッカケになるような気がする。

何か普段より近づけるような、そんな、人間本来の大事な部分に割と手もなく戻れるような気がするんですね、学芸会というものはね。

そんなことを考えたりするほど、取り敢えず彼らは楽しそうに稽古をやっておりましたよ。

芝居公演は11月1日東京公演を皮切りに大阪、名古屋、札幌と順次開催されまして、

その間うちの藤村さんは、日本でただ一人の全国ツアーをするサラリーマンという大変珍しいものになるのでございます。

ためしに劇団オーパーツ「SHIP IN A BOTTLE」のサイトを覗きますとね、役者さんの名前のあとにはかっこ書きでそれぞれの役者さんが所属する劇団名が書かれておりますが、うちの藤村さんに限っては、藤村忠寿 (北海道テレビ) と会社名が書かれておりますよ。

まことに珍妙な状況のまま、稽古も10日目を迎えております。
どうぞお楽しみに。

ということでね多少の宣伝をしつつ私も半ば呑気な出張生活を満喫しております。
ありがとうございます。

ということで、みなさん。
本日も各自の持ち場で奮闘願いますよ、ほんとにね。

いつの時代も明日の日本を支えてきたのは真面目に働いていた庶民なのであります。
我々がしっかりしておりませんといけません。

でも嬉野さん、じゃどーしたらしっかりになるんですかと言いましたらね、そんなものはあなた「しっかりせにゃいかん!」と思うだけでありますよ。
それでじゅうぶん。
そー、私は思うのであります。

それではみなさんごきげんよう。
そして本日も「愛と平和と商売繁盛」の水曜どうでしょうをどうぞよろしく。



【10月10日 嬉野Dの日記】

2014年10月10日(金)

奥さん嬉野でございます。

さて、先週末の土日。
うちの藤村さんと2人で特急列車に乗って帯広へ行ってまいったんでございますよ奥さん。

帯広までは札幌からJR特急で2時間半の旅でございます。

着いてみれば奥さん帯広はすでに秋も深うございましてね。お昼も午後の3時を過ぎる頃にはシンシンとした冷え込みが身辺に迫ってまいりますし、そういえば雪虫が盛んに飛んでおりましたから、ほどなく雪が降るのでございましょうね。

今回、我々が帯広くんだりまで出掛けましたのは他でもありません、呼ばれたからでございますよ。

文化庁が主催するメディア芸術祭という「これはもう芸術と呼んで好いね」といった映像主体の作品の展示が、帯広の千年の森というところで催されておりましてね、そこで、展覧会の審査員の方とぼくらがトークをするという趣向だったのでございます。

行ったら驚きましたね。
千年の森までは帯広駅から車で40分かかりましたんですが、アクセスとしては公共の交通機関といってはとくに無く、路線バスも無いのだそうです。だから自力で車をなんとかして行くしかない。
もちろん我々の場合は駅にお迎えが来ておりましたけどね。

会場に着いて驚きました。
入口に「メディア芸術祭」の看板もない。

いや、見落としたのかもしれない。
けど、看板って見落とすんだろうか…。

それよりも問答無用で目に入ってくるのは、美しい緑の芝生の上でひときわ異彩を放って建つブルーシートで全体像を覆われた、あまりに場違い感のありすぎる 2 棟の小屋です。

「メディア芸術祭って…、これかい?いやいや、これじゃないよね〜?文化庁だろ?」

場所的に間違いなく「ここ」なのに、その場所を目の当たりにしてもなお確信が持てない見栄えのメディア芸術祭。いや、そりゃどういうことだよ。

そう、それほど「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、もの凄いものだったんでごさいます。

こういう出だしで書いてしまうと、ここまで読んでこの先を読まない人には最悪の伝達をしてしまうことになるかもしれないので、ここで結論を先に書きますと、

現在、帯広の千年の森で開催中の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、物凄いことになっていて、これは帯広近辺にお住まいの人は是非見に行くべきです!それだけの価値があります!と声を大にして我々は言いたいのだ!ということなのでございます。

おそらくこのような展示祭には、今後一生出会えないはずです。

これはまたとは無い、空前絶後の催しとなっているのです。

この驚きに触れたぼくらの興奮を、いったいどう伝えたらいいのか、わたしは気ばかり焦ってわけがわからないのですが、

わたしにとってそして藤村くんにとって、先週末の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は実に胸を打つ大きな体験だったということです。

ほんとうは日本中の人に見に行って欲しい。だって物凄いことになっているから。

でも、最初に書きましたように、帯広駅からでも車で40分もかかるところです。それに路線バスもない。となれば旅行者が気軽に立ち寄れる場所ではない。

あえて旅行者が立ち寄ろうとすれば帯広駅でレンタカーを借りるしかない。実際あの日「横浜から来ました」という方がおられましたが、その方は帯広駅からレンタカーを借りて来られたそうです。

それほど旅行者には困難な場所で開催中ですから、この際、帯広近辺に在住で車の都合のつく人だけにでも、今度の週末の3連休には「メディア芸術祭 十勝帯広展」に出掛けて欲しいのです。

普通。あんな舐め切った心境で優れて芸術的な作品に出会うという機会はないはずです。

なぜなら、やっぱり「芸術祭」ともなれば、博物館やら美術館やらと、それなりの箱の中でやってしまうものです。

そうなりますと見に行ったこちらの方の心境も、肝心の芸術にたどり着くまでに、会場の建築的威容やら内部の洗練された高いデザインセンスやらに、知らぬうちに圧倒されていて、自分では気づかぬところで気持ちが萎縮しているか、はたまた「自分は優れたものを見に来ているんだ」という必要以上の気負いを持たされていたりするもので、いずれにしても冷静な精神状態ではいられなくなっているものです。

そのような心境で芸術に接しても得るものはない。

そうです。そのことを今回わたくしは初めて体験して知ったと思うのです。

だからこそ私は、これまでの人生で、芸術作品と感動のうちに出会うことがなく、得るものもなかったのだなと合点がいったのです。

なぜといって、現在、帯広千年の森で開催中の「メディア芸術祭」の外観には、なんの威圧感もない。あたりまえです!ブルーシートなんだから!そんなもんあんた!威圧どころか、見に来たこっちが「オレたちゃはるばる来てんだぞ!」と、多少の難色を示してやりたいくらいのイカサナイ見栄えですよ。そんなもんあなた、ブルーシートの小屋の中に優れた芸術が展示されてるとは思えないじゃない。

「なんだよメディア芸術…」

そんな舐め切った心境で、私たちは、ブルーシートの小屋のひとつに入りました。

そして、圧倒されたのです。

まるで、ムシロ掛けの小屋の中に入るように、私たちは、なかばあきらめた思いでブルーシートをめくり上げて入りました。

入ってみれば、中は真っ暗な四畳半くらいの真四角な部屋。

入る時にめくり上げたブルーシートの隙間から一瞬外光が入り内部の展示物が薄ぼんやりと浮かび上がりました。

その一瞬の光景は、床一面に敷き詰めた子供の夏休みの宿題のようなジオラマでした。

舐め切った心境は、さらに輪をかけて鼻白んでいました。

私らはもうすっかり観念して、真っ暗な中、まるで珍しくもない親戚の家のコタツにでも座り込むようなぞんざいな感じで床にあぐらをかいて座りました。

座っていると、しばらくそこは、ただ、暗いだけでした。

やがて豆電球のような明かりが床の一角に灯りました。その豆球の明かりに照らされて、敷かれている小さな小さな模型のレールが見えました。

「鉄道模型のジオラマをみせられるのかしら」と私は思ったくらいです。

はたして豆球列車はレールの上を動きだしました。

真っ暗な部屋の中で豆球の光だけが眩しいほどに明るく移動を始め、その移動して行く豆球の明かりの照り返しを受けて、ぼんやりと浮かぶジオラマは、百均で売ってるようなプラスチックのザルが伏せたお椀のように置かれ、その中をレールが通っているような様ばかりのように見えました。

「いやあ叶わん。こんな子供だましを見てなきゃならんのか〜」
「それならそれで、暗すぎないか〜」

我々は油断し切っていたのです。

その時、そばにいた誰かが声を上げました。

「あれ? 壁に、影絵のように影が浮かんでますよね」

そうです。この作品の主題は動いて行く豆球の光が順次壁に映し出していく影そのものにあったのです。

その影が見せる世界こそが作品だったのです。

それは圧倒的な体験でした。

それほど見事に計算され尽くした影だったのです。

そして浮かび出す影の世界が、私の中のノスタルジックな気持ちを徐々に強く強く呼び覚ますのです。

私たち全員は、小屋の壁に投影され動いて行く影に今や完全に魅了されていました。

この影の様子を、私はここで細かに書くことができます。いやむしろ書きたい衝動があります。でも、それを書いてはと、思う気持ちが強いのです。

どんな影が待っているのか、どんな影の世界がまっているのかは、今度の週末に千年の森へ出掛ける帯広近郊に住むあなたが目にして体験するまでは、せめて内緒にして置かなければと思うからです。

私はこの展示に接して

「芸術って体験することなんだ」

と、心底、得心がいった思いがします。

「鑑賞してはダメなんです、体験しないと、揺さぶられないと」

生まれて55年も経って「メディア芸術祭 十勝帯広展」という、期せずして出現した装置の中で、油断させられ、知らぬ間に身ぐるみ剥がされた状態で、芸術と対面するのに一番好い精神状況に衣替えして、芸術と対面できたのだと思うのです。

いやもう素晴らしい。

もうひとつのブルーシートの細長い方の小屋では、走るあなたの影を記録できる装置がございます。

つまり、その日走ったあなたの影が、半永久的にデータとして残るのです。

それはつまり、あなたのお子さんが、今のあなたと同じ年齢になる30年後、大人へと成長した彼は、まだ彼と同じ年齢だった頃の自分の父親である今のあなたと、競争することが出来ることになるということです。

それは、たとえあなたがこの世からいなくなっても、あなたは、あなたの影をあなたの家族のために残すことが出来ることでもある。

あなたが今まだ子供なら。

30年後、あなたは、あなたの子供に、

「ほら、見てごらん。これがお父さんがおまえと同じ子供だった頃の影だよ。さぁ、一緒に走ってごらん」

そんなことを言ってあげることも可能になる。そんな、なんだか不思議にロマンのある装置のある小屋もあるのです。

そこにはうちの藤村さんのマジ走りした影のデータも残ってます。

そして一緒にトークをした審査員の飯田さんの提案で、あの日、トークショーにみえていた70人ほどの皆さんが団体で歩いた影も残されています。あの影もある意味圧巻。

他にも見ているだけでいろんなことを考えてしまう楽しい映像がいろいろ展示上映されています。

大人にも子供にも是非見て欲しい。今やそれがぼくらの願いでもあり、なにより、今回会場を設営したスタッフの願いだと思います。

「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、本来、室内で展示でするものを「北海道の自然の中に」というコンセプトで、あえて屋外で展示したのです。

その英断。

そして案の定、開催後、いきなりの風雨の襲来!

展示装置に無情に降り注ぐ雨!

誰が好きこのんで芸術にブルーシートを張るもんですか!
しかし雨が漏るよりは…。
装置がダメになるよりは…。

ブルーシート!
考えている暇はなかったのです。

そしていつしか会場スタッフは、ブルーシートの光景に慣れてしまい、

初めて訪れる我々は、その驚嘆のビジュアルに度肝を抜かれて魂消えるのです。

そして舐め切った心境で、良質の芸術と対面することになる。

これだからこそ、今回の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、ものすごいことになっておるのです。

だからこそ、こんなことは今後見ることができないのです!
奥さんだから今見とかないと!

そのチャンスは、明日からの3連休で最後です。

そして、みんなが見に行けば。
なにより会場スタッフが涙して喜ぶと思うのです。
間違いなくみなさんは歓待されると思うのです。そして「素晴らしいものをありがとう!」と、どうかねぎらいの言葉をかけて上げてください。

今回の仕切りも、あの、東京のテレビマンユニオンです!

あるときは、謎のアフリカコーディネーター、ムゼーを手配し、
あるときは、ディレクター牧を水曜どうでしょうのアフリカロケに投入し、

「ウルルン滞在記」や「世界不思議発見」などのオモシロテレビ番組を作り、

今や、あっと驚く、驚愕の「メディア芸術祭」をも作る!
あっぱれのテレビマンユニオンであります!

さあ!
帯広在住のあなた!あなたです!
是非行ってごらんなさい。

この催しは、孫子の代までの語り草です!
そしてブルーシートを是非写真に納めましょう!

そしてこう叫びましょう!
「メ芸さいこうー!」

それでは諸氏!
本日も各自の持ち場で奮闘願います!
そして明日からの3連休は「メディア芸術祭 十勝帯広展」へ出掛けて行ってそこで奮闘願います!

それでは各自の持ち場へ解散!



(09:59 藤村)

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