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あなたとHTB
このページは令和7年4月27日放送分から引用しています。
森さやかアナウンサー
おはようございます。
「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに、
より良い番組作りと放送のあり方を目指す番組です。
まず、2月の第571回放送番組審議会、
「HTBノンフィクション 生ききる ~俳優と妻の夜想曲(ノクターン)~」の審議についてです。
HTBノンフィクション 生ききる ~俳優と妻の夜想曲(ノクターン)~
番組では、俳優で演出家の斎藤歩さんと、
妻で同じく俳優の西田薫さんに密着しました。
がんを患い余命わずかと告げられても舞台に立ち続ける斎藤さん、
斎藤さんを支える中で、道外での舞台公演の話が舞い込んだ西田さん。
選択を迫られた夫婦2人の思いに迫りました。
この番組に対して、番組審議会の委員から出た意見を紹介します。
・あっという間の1時間だった。俳優夫婦の生きざま、思いというものを見せられた、考えさせられた、そういう番組だった。見ごたえのある「作品」だった。
・「生ききる」のタイトルに胸を打たれた。ぱっと見「生きる」に見えて「き」の一文字が繰り返されるだけで、これほどまでに意味合いが変わることに改めて驚いた。
・俳優が仕事をするとはどういうことなのか、人間の喜びというのは何なのか、静かに訴えてくる、それゆえに重い作品だった。やすきに流れず、作り手が闘った爪のあとが残る、そんな番組だった。
・腕に自信のない作り手ほど、センセーショナルな設定とシーンを使いがちだが、表現で最も大切で腕の要る作業というのは「抑える」ことである。この番組は、抑えに抑えた映像のひとつひとつに、作り手の腕と気概を感じた。
・斎藤さんと西田さんの心情の吐露、医師からの病状の説明など、これほどさらけ出せたのは、制作者と、HTBという放送局への信頼感があるからこそだ。
・斎藤さんの周りにいる人たちが、優しい顔をしているのが印象的だった。妻の西田薫さん、劇団の人たち、観客、みんなが温かい表情で、斎藤さんが周りに与えているものを感じた。
・「西線11条のアリア」のパートは、ノンフィクションとして異色の印象を持った。市電のスローモーション、そしてササラ電車の映像から実際の舞台の場面につなげる映像など。好き嫌いがあるかもしれないが、ここが番組に変化を与えており、生と死の狭間を感じさせるような映像の美しさも含め、印象深いパートだった。
・冬空に浮かぶ月を見る斎藤さん、市電を待つ姿、電車が電停に入るシーン。雪を巻き上げて走るササラ電車など、斎藤さんの過ごした時間が映画のように作られていた。制作者側の敬意や親しみが込められているように感じた。
・ラストシーン。「最後の瞬間、いられないかもしれないけど」といって送り出す斎藤さん以上に、「行く」決断をした西田さんの苦悩はいかばかりだったか。見守られ、看病される側であったはずの斎藤さんが、逆に西田さんを励まし、見守るように手を振って見送るシーンは、どれだけの時間が残されているかは別にして「未来」という言葉を感じさせられた。
次に、3月の第572回放送番組審議会で審議された
「HTBノンフィクション 旭川が生んだ笑顔~咲き誇れ!北口榛花~」について、委員から出たさまざまな意見をご紹介します。
HTBノンフィクション 旭川が生んだ笑顔~咲き誇れ!北口榛花~
パリオリンピックのやり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手。
トレードマークとなっている笑顔の裏で、アスリートとして悩み続けた日々、
そして、やり投げを始める前の地元・旭川での
知られざるエピソードに迫りました。ナレーターは同じ旭川出身の
お笑い芸人、とにかく明るい安村さんが努めました。
この番組に対して、番組審議会の委員から出た意見を紹介します。
・番組冒頭の挿入歌は、元気で明るくノリのいいもので、北口選手の印象にぴったりだった。
・何もなく広いスタジオの空間に、印象的に置かれた椅子が映され、北口選手がいつものスマイルでスタジオに入るシーンは、余計な情報が入らず北口選手の表情やしぐさのひとつひとつが印象的に映る演出となっていた。
・北口選手の小・中学生時代は真剣な顔か泣き顔のイメージが強かった、という意外性を感じさせるエピソードが興味深く、番組最後の「子どもたちに陸上をやってもらいたいので、楽しそうにやっていたい」という発言との対比が面白かった。
・「笑顔」「旭川」というキーワードに沿って、水泳やバドミントンに熱中し、高校でやり投げに転向した旭川での時間がアスリートとしての土台を作ったこと、彼女の代名詞になっている笑顔の意味、笑顔の陰での涙といった要素をわかりやすくまとめていた。
・とにかく明るい安村さんをナレーターに据えたのはよかった。語りにも違和感がなく、番組全体のトーンを明るく楽しく演出していた。最初と最後のナレーションに芸名にリンクさせた「とにかく明るい」とネタの決め台詞「安心してください」をそれぞれに入れたりと、工夫もなされていた。
・エンディングでは、旭川での凱旋パレードの映像にエンディングクレジットが出され、その後にスタジオのインタビューに戻り、今後をますます期待させるようなコメントで締めているのが心憎い演出だった。うまくコメントを引き出せたインタビューだった。
・タイトルは好みが分かれたのではないか。北口さんのイメージをよく表している一方、少し単純すぎる印象を持った
・幼いころからバドミントンと水泳の両方を習っていた話があり、その背景はにどういったものがあったのだろうと不思議に思ったのだが、そこには踏み込まれておらず気になってしまった。
・30分という限られた枠の中では、制作者が意図したとおりの人物像を深く描くことができなかったのではないか。もう少し時間があれば、北口さんの何を観て欲しかったのかを視聴者に伝えることができたのではないかと思い、少し残念だった。
・制作者は、北口選手の「笑顔」のキャラクターに頼り過ぎたのではないか。その結果、北口選手の内側にある闘争心にも本音にもたどり着けていなかったと感じた。
・番組が放送された時は、北口さんが金メダルを獲得してから4カ月が経っていた。金メダルまでの軌跡はよくわかったが、放送がこのタイミングとなると「その後」や「未来」も知りたい要素だ。最後のインタビューは「未来」を感じさせる終わり方だったが、具体的なこの先の情報をもっと知りたかった。
あなたとHTB。次回の放送は、
5月開催の第573回と6月開催の第574回放送番組審議会における
委員のご意見を紹介いたします。