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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員7名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は、2ヶ月に一度第4日曜午前5:40から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第565回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2024年6月27日(木)15:00~17:00

審議テーマ

テレメンタリー2024 沈没の波紋(2024年6月2日放送)

出席委員
岡田美弥子委員長
桜木紫乃副委員長(レポート参加)
及川華恵委員(レポート参加)
鍋島芳弘委員
田村ジャニーン委員
樋口 太委員
横田伸一委員(レポート参加)
清水友陽委員
会社側出席者
代表取締役社長寺内達郎
取締役佐古浩敏
報道情報局長伊藤伸太郎
編成局長戸島龍太郎
番組担当プロデューサー古川 匡
番組担当ディレクター須藤真之介
番組審議会事務局長渡辺 学
番組審議会事務局吉田みどり

【審議対象番組についての委員意見要旨】

≪評価点≫

・事故をきっかけとして浮かび上がった問題点や課題、そのための対策強化によって事業者に負担が生じていることについて、今後どうしていくべきなのかという問題提起を投げかける番組だった。

・タイトルの「波紋」は、まさにこの事故が多くの場面に波及して、隠れていた問題のあぶり出し、新たな問題の発生をうまく表現していた。今、日本社会が抱えている多くの問題が重なり合っている、そのような視点が感じられた。

・音楽とナレーションのバランスがよく、重要なところに視聴者のテンションを上げる効果があった。字幕やテロップは全体的に少なく、ストーリーに集中できた。

・観光船「ドルフィン」の運航会社の社長が知床を去る場面は、思いも寄らない事態に翻弄されているさまに胸が痛んだ。直接の事故の被害者だけではなく、事故の影響で人生を狂わされた多くの被害者がいたのだと、波紋の広がりの大きさが視聴者に伝わったのではないか。

・全国の旅客船事業者497社へのアンケートはいいアイデアだった。統計的な数字と生の声はファクトとして力があった。例えば、検査時間が長くなったことは事業者には負担ではあるが、事故の背景に検査のずさんさがあったことも間違いなく、どう評価するかは悩ましいが、それも含め実情がよくわかった。

・当時の海上保安庁長官の「現場を見てから自衛隊に応援を要請するという自主ルールが救助の妨げになったことを反省している」という言葉にショックを受けるとともに、よく話してくれたとも思った。取材したスタッフの熱意の賜物だと思う。

・滋賀県のおきしま通船の状況に衝撃を受けた。生活に欠かせない移動や物資運搬の唯一の手段となっている船が、遠く離れた知床の観光船沈没事故の影響で、これほどまでに打撃を受けていることは、番組タイトルそのものだと感じた。

≪要望点・改善点≫

・各現場の視点を盛り込んだがゆえにやや消化不良だった。例えば番組の冒頭で、「ドルフィン」の社長が「もうたぶん(知床には)来ないだろうね」と答える場面があったが、社長は元々どこから来たのか、この後どうするのだろうか、ということが気になった。ドルフィンを紹介し、上記のような言葉を伝えるのであれば、背景をもう少し説明すべきだった。

・検査方法の不備の見直しについて、事業者の声も多く紹介され、現場の状況はよく分かったが、その前提となる小型船の検査の仕組みについて、もう少し説明があると良かった。

・責任者の描き方が気になった。観光船「KAZU Ⅰ」の運航会社の社長に大きな責任があることは調査委員会の報告からみても間違いないが、悪人としてのレッテルの貼り方が過剰ではないのか、どこまで許容されるかという疑問が残った。

・斜里町ウトロに観光船業以外の商業に影響が出たのかどうか、情報がなかった。この地を訪れる観光客が減ったのか、それとも観光客は訪れているものの、クルーズを利用していないだけなのかが知りたかった。

・経営計画書のシーンの冒頭の「不可解な一面が」というナレーションがうまく収斂しなかった。「不可解」強い言葉を使わなくても、経営計画書という「もの」だけで、社長の不誠実さは伝わったと思うし、むしろ、強い言葉を使わないことによって、視聴者の心が動くこともあるのではないか。

・「ドルフィン」の社長は、「KAZU Ⅰ」の事故で廃業を余儀なくされたという印象を受けたが、営業を続けている同業者がいることを考えると、廃業の理由は他にもあったのではないか。事故のせいにしている、とも取れそうなインタビューだった。

≪提言≫

・知床観光船の悲劇を検証しながら、もの申してゆく姿勢と反省、地元に密着して事件を風化させない姿勢、地元のメディアの担う役割は大きい。今後も追い続けてほしい。

次回の放送番組審議会は2024年7月19日(金)開催予定です。

過去の審議会だより