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4月24日放送 「四国八十八か所3」最終夜

藤村 | 2002. 4/29(MON) 15:02


 3回目の「四国八十八か所」も終りを迎えました。

 焼山寺。

 本当にね、「夜は危ないから行かない方がいい」と思ってたんですよ。

 これは、番組内容うんぬんではなくて、「安全面」を考えて。

 でも、大泉さんは・・・いやぁ、初めてだったなぁ、「ロケ中」に、「カメラ回ってる時」に、あんな顔を見せたのは。

 ちょっとぼくは、動揺したなぁ。

 でもね・・・なんであいつが、あそこまでかたくなに「行く」なんて言い放ったと思う?

 放送じゃ、「どんな気持ちの変化があったのかは、わからない」なんて、思わせぶりなナレーションつけてたけど、実は、ちゃんと「理由」がある。

 まぁ、これまでの「流れ」を見ていけば、「また行かない」ってのは、さすがにテレビ見てる方も「いいかげんにしろよ」って思うよねぇ。

 大泉さんだって、そうだ。

 「おい・・・藤村くん、もうやめろや」と。

 わかってますよ。

 でも、本当に危ないんですよ。

 まがりなりにも「世界中を走ってきた」、その経験から言うんです。

 アルプスの難所・フルカ峠よりも、焼山寺の方が怖い。

 しかし、大泉さんは言ったね。

 「焼山寺が危ないって?バカ野郎!そんな危険など知ったことか!ここは行くべきなんだよ!藤村君ッ!」

 男だね。

 「番組の流れを考えれば、ここは行くべきなんだ!」

 強い・・・。

 成長したよね。

 
 でもね、大泉くん。

 キミの場合、本当は、

 「そんな危険など知ったことか!」

 じゃなくて、

 「そんなに危険なんですか?いやぁ知りませんでした!」だろ?

 キミは・・・あれだろ。

 過去2回の「焼山寺までの道中」は、全部、寝てただろ。

 えぇ?そうだろ?このやろう。

 てめぇは、あの山道を、「酔っちゃうからボク寝ます」とか言って、バカみたいに白目あけて、いつも寝てただろ!えぇッ!

 だから「行けぇーッ!」なんて言えたんだろ!

 ええッ!そうだろ!

 危ないの知ってたら、いの一番に、

 「そうだね!藤村君。ぼくも行きません!イエーイ!」

 なんつって、アッサリ同意しただろ。

 挙句に、

 「なんだぁ?誰が文句言ってんだぁ?じゃ、おまえが行ってみろよぉ!バカみたいな顔してテレビ見てんじゃないよ」

 ぐらいの開き直った態度で、視聴者諸君に悪態をついただろう!

 
 そうなのだ。大泉さんは、「焼山寺の恐さを知らなかった」から、「カッコイイ決断」ができたのだ。

 放送じゃ、こんなウラは暴露しないぞ。こっちだって大人だからな。でも、ここじゃ真実を言っとくぞ。

 全員が、「危ない」って知ってたら、焼山寺には行かなかった。

 だけど、まぁ・・・行ってよかったな。

 久しぶりに、危ない目にあって、ちょっと楽しかった。

 ミスターもきっと参加したかったことだろう。そういうの好きだから。

 で、その後、どんな「お客さん」を乗せてしまったのかは、わからない。

 でも、とりあえずみんな元気にやっている。

 大泉さんも、多少肩が重い方が、調子はいいようだ。

 さて、四国八十八か所の総決算!として、「どうでしょう」オススメの「讃岐うどん屋」を、一挙にご紹介しておこう。

 【山越】

 ご存知!「どうでしょうイチオシ」のうどん屋である。

 そもそもは、うどんリーダー・森崎くんの強い勧めで訪れたのが、最初であった。

 名物「かまたま」の素晴らしさは、先の「香川びっくりうどん紀行」を読んでいただくとして、今回、リーダーから衝撃の告白があった

 「越えちゃいました」

 「なにが?」

 「山越を越えちゃう店がありました!」

 「なにをッ!」

 で、今回、「そこ」を訪れて、リーダー同様、私も「越えてしまった」。

 店の詳細はのちほど。

 【山下】(善通寺)

 「山下」という店名は複数存在するらしいが、我々が食ったのは「善通寺の山下」と呼ばれる「ドライブイン」みたいな外観の店。

 この店、なんと言っても「コシ」の強さが乱暴だ。一度にかきこむと喉奥で窒息しそうになる。お互い「やるか」「やられるか」。格闘技のようなうどんである。

 そんなぎちぎちのうどんに、天かす、すりごま、レモンをたっぷり絞り、冷たいダシを注ぐ。「ぶっかけ」という食い方である。

 これが、サッパリ美味い。

 「うどんはコシ!」「うどんは格闘技!」「オレは負けん!」という意欲満々のキミは行くべき。

 ナックスのシゲはぎゅうぎゅうに締め上げられた。

 【水車】

 嬉野くんとの二人旅の時に行った店。

 「ワインで煮込んだ洋風のカレーうどん」という変わった紹介文に興味を引かれた。食ってみると「なるほど洋風」。

 しかし、驚いたのは、そういう「異種格闘技系の珍味」ではなく、根本的な「うどんの食感」であった。

 「もちもち」で「歯ごたえのいい団子」のような食感。

 嬉野くんは「うどんとしてはどうだろう・・・」とやや面食らっていたが、団子好きの私にとっては、まさに「一石二鳥!」。「もう一度味わいたい」と単純に願っている珍しい食感である。

 【いろりや】高知県

 香川以外で「美味い!」と思ったのは、ここだけ。

 大泉さんに至っては「いろりやが一番うまいかもしれない」とまで言わしめた。

 今年の四国は「いろりやに行く」というのが、大きな楽しみのひとつだった。「ぜひ、うどんリーダー森崎くんに食べさせたい」という願いもあった。

 しかし、願い叶わず・・・。

 結果、我々の中で「うどん熱」が一気に過熱して「最終日はうどん屋巡り」という決断へとつながった。

 そして「いろりや」は、我々の中で、さらに大きな存在になりつつある。

 「かぼす」をたっぷり絞った、見た目がとても美しい「上品なぶっかけ」。

 食ったのは2年前の一度きり。

 高知に「いろりや」がある限り、「四国4周目」、大いにあり得る。

【竹清】

 讃岐うどんの魅力は、「うどん」だけではない。

 「天ぷら」。この存在は大きい。

 しかしここで言う「天ぷら」は、「天ぷら定食」に出てくるような上品なものではなく、スーパーの惣菜売り場にあるような「ちくわの天ぷら」。「冷めたゲソの天ぷら」。そのたぐいである。

 多くの讃岐うどん屋では、おばちゃんが、ジャァーっと揚げた各種の天ぷらが、ケースに並んでいる。それを自分の好みでチョイスして「うどん」にのせる。

 この「好き勝手スタイル」が、たまらない魅力なのだ。

 全巻読破した「恐るべきさぬきうどん」。その中で、私が最も惹かれたのはこの言葉である。

 「半熟玉子の天ぷら」。

 「半熟たまご・・・の天ぷら」。ちょっと想像してみてほしい。

 「とろっ」とした半熟の黄味。それが「とろーっ」と流れてくる。それを「天ぷら」にする。

 どうだ!「なんかわからんけど、とにかく美味そう」じゃないか!

 その「半熟天ぷら」を出すのが、この「竹清」という店。前々から「行ってみたい店のナンバー1」だった。

 で、今年の「ご褒美!うどん屋巡り」で、行ってみた。

 入り口を入ると、まずいきなり、ガラス戸の向こうで、おばちゃんが天ぷらを揚げていた。

 まさにこの店の「ひのき舞台」は、「うどんを打つおっさん」ではなく「天ぷらを揚げるおばちゃん」だった。

 そして・・・あった。「半熟たまごの天ぷら」。

 ゆで卵を、まんま揚げちゃった形だった。

 これをうどんの上に乗せて、箸で半分に割ってみる。すると、「とろーっ」とした半熟の黄味が、うどんの上に流れ出す。

 いやぁ!なるほど!「半熟」の意味は、つまり「とろーっとした黄味」が、ダシと混ざり合って、なんだ、もう、美味くなっちゃう!って、そういうことだったのだ。

 ちくしょう!「竹清」!いいぞ!

【彦江】

 「山越を越えちゃった店」。それが、この「彦江」だ。

 まず、外観がすばらしい。うどんの「う」の字も書いてねぇ。(「四国・最終夜」のオープニング。最後のカットに「彦江」の玄関が出ている。確認してくれ)

 「彦江」さんは、もともと、というか今も「うどん玉を作って売る」のが本業の製麺所。

 だから「客が来る」という方が、むしろ「イレギュラー」な店。

 大泉さんが、そのへんの事情を、おじさんに直撃インタビューしていた。

 要約すれば、とにかく、お客さんに「ここで打ちたてのうどんを食わしてくれ」と言われたと。人の良いおじさん、おばさんは、「それなら」と、スペースの一部を「うどん屋らしきもの」にしたと。だから「気づいてみたら、看板も出してなかったんですね。ハハハハ」と。

 素晴らしいぞ!

 そして、ここのうどん・・・なんて言ったらいいんだ。

 「つるつる」「ピカピカ」「のどごしの快感」「舌先の食感」。うどん、そのものの味が、どれを取っても、ピタっと来た。素直に「うまい」。それだけ。リーダー同様、私も「越えた」。

 ただし、大泉さん、嬉野くんは、越えなかったらしい。

 大泉さんは、総決算として「いろりや」と「山田家」がやっぱり好きだと自己分析していた。

 食感は、当然、人それぞれ。今までオススメした店だって、みなさんにとっては、どうだかわからない。

 「食い物」というもの、「全員一致」はあり得ない。だからこそ「オレはどうなんだろう?」「美味いと感じるのかな?」。

 そんな、「お気楽な自分探し」の楽しさがある。

 ※付録【徳島ラーメン】

 真夜中に1番霊山寺までの巡拝を終えた我々は、これまた「リーダーおすすめ」の「徳島ラーメン」を食いに行った。

 そして、私はハマッた。大泉さんもハマッた。

 「徳島ラーメン」。「ラーメン」というより、古くから地域に根ざした「中華そば」と言った方が正しい。

 特徴は、赤茶色く濁った、どろっとしたスープ。名古屋出身の私は、すかさず「赤だし」だと思った。ここに、生卵を割り入れる。見た目の「濃さ」とは裏腹に、食後は「あっさり感」が残る。気楽に食える「中華そば」。

 今、一番お気に入り。

 ※各店の住所は、自分で探して行ってください。そこから旅が始まります。