2015年1月31日(土)あさ6時30分放送 知床 オスグマの宿命

  • 知床 オスグマの宿命
  • 【内容】
    人とクマの共生が実現している理想郷と言われる知床半島中央部のルシャ。サケ・マスが遡上する3つの河川が集まっているため生息環境に恵まれ、ヒグマのゆりかごとも言うべき場所だ。ここには、1軒の番屋があり漁業者が暮らしているが、クマとの距離を保ち、互いに干渉せず、人もクマも自然の恵みを得ながら生きている。クマは人を怖れることなく姿を見せる。しかし36年前にビデオジャーナリストの阿部幹雄氏が初めてルシャを訪れた時、クマは人を怖れて姿を見せず、漁業者はクマを怖れ、駆除していた。今の状況は、二十数年をかけ、人とクマが学習した結果なのだ。
    メスは生まれた場所から離れず、およそ5~10km四方圏内で暮らす。一方オスは生まれた場所から離れ、遺伝子を運ぶ放浪の旅をする宿命を負っている。生まれた場所に留まれば近親交配が生じ、生物としての危機に陥るからだ。そして強いクマが繁殖の相手を得るという野生動物の宿命。オスは数十km、ときに数百kmもの放浪の旅をして、繁殖相手を探す。そのため、2~4歳になった若いオスグマは、ルシャから旅立つのだ。
    ルシャを離れ、知床国立公園の境界を出て行くと街に遭遇する。そこがルシャとまったく違う場所であることを、若いオスグマは理解できない。ルシャの漁業者と違い、街に暮らす人々は家の周りにクマが徘徊することを許容する事ができない。そのため若いオスグマには、駆除という運命が待ち受ける。こうしてルシャで生まれた若いオスグマたちは、市街地で命を落としていく。この番組では、ルシャにカメラが入りクマの生態を記録するとともに、ビデオジャーナリスト阿部幹雄ならではの視点で、知床・クマ・そして人間、命を見つめる。