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あなたとHTB
このページは令和3年10月31日放送分から引用しています。
佐藤アナウンサー
佐藤良諭アナウンサー
おはようございます。
「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は 視聴者の皆様とともに、
よりよい番組作りと放送のあり方を目指す番組です。
さて今回は、今年9月に開催された
第537回放送番組審議会で審議されました番組
『帰省なう あれから…』について委員のご意見を紹介いたします。
この番組は、去年M-1グランプリ史上最高齢ファイナリストとして
話題を呼んだお笑い芸人コンビ 錦鯉・長谷川雅紀さんの
帰郷に密着したものです。
番組では、「錦鯉」のボケ担当、
長谷川さんの芸人活動の軌跡を追いました。
札幌出身の長谷川さんは、芸歴27年の50歳。
売れないピン芸人だった40歳のときに、
東京から、初めて帰省した様子を
HTBの番組は「深夜開拓魂『帰省なう』」で放送していました。
あれから10年、
ようやくブレークした長谷川さんの帰省に 再び密着しました。
佐藤良諭アナウンサー
この番組に対して 番組審議会の委員から頂いた
ご意見から、まずは評価点を紹介します。
<評価点>
●売れ始めたお笑い芸人が
「故郷に錦を飾ってバカ騒ぎ」という展開かと思ったが
人間ドキュメンタリーとして十分に見応えがあった
何となく「情熱大陸」の気分にさせてしまう
窪田等さんのナレーションの効果も大きかった
●ドキュメンタリータッチがメインでありながら
バラエティの要素もあり 全体がひとつの物語になっている
その物語もサクセスストーリーで 視聴者はその結果が
わかっているので安心して見ることが出来る
●最初は番組の意図がよくわからなかった
何だろうと思いながら見始めたがだんだん共感して号泣した
●今回の前編である2011年の番組を流した上で
2021年春の帰省という流れは 対比の構成が良かった
10年前から長谷川さんに密着していたこと
今回も10年前と同じスタッフで制作していることが
番組全体のアットホームな雰囲気 温かい雰囲気に
つながっていると感じた
●勢いや野望が感じられる20年前
自信を喪失しかけている10年前
そしてM-1ファイナリストとして帰省した現在と
長谷川さんのその時々の心情が
如実に表情に表れていた
特に10年前に制作していた番組を活用したことで
今回の番組の見応えが各段に上がった
●これは 長谷川さんのドキュメンタリーでありながら
母と息子 どちらかというと まごう事なき「北海道の母」の姿を
映し出す番組だ
佐藤良諭アナウンサー
ここまでは 評価点についてお伝えしてきました。
引き続き、評価点をお伝えします。
●悲壮感のある暗い印象の番組ではなく
足を踏ん張って前に進むこと 人に感謝することを
メッセージとして発信する番組であった
「錦鯉」が もしブレークできなかったとしても
お2人はしっかり前を向いて進んだであろうと思わせてくれる
●それにしても 母親のキャラクターは圧巻
芸人としては笑いの内側にある悲しみを暴露することが
あまり仕事にプラスになるとは思えないが
こればかりは 地元でなくてはできない
エンターテインメントだった
●駅で見送る母親が発車直前におにぎりを渡す
ホームで会話をしている時に渡せたはずだが
発車ギリギリで
しかもおにぎりを入れたレジ袋がひっかかって
うまく渡せないシーンはドラマを見ているようだ
●電車で食べたおにぎりから長い糸が引いて
ものすごくイカンものを見てしまったのではないかと思ったら
納豆おにぎり‥そして涙
「やってくれるなあ」 という気持ちになった
●同級生との再会 初舞台の会場
当時の芸人仲間などが次々と登場して思い出を披露する
「北の国から」のVHSテープの話は
長い時の流れを感じさせるのに十分な小道具だった
●母親のお店にいたお客さんの
「思い出しただけで笑っちゃう」という言葉が
彼らにとってどんなにうれしい言葉だっただろうかと
心に響いた
佐藤良諭アナウンサー
ここまでは、評価点をお伝えしました。
このあとは 番組に対して頂いた要望点・改善点と
提言をご紹介します。
<要望点 改善点>
▲ドキュメンタリーとしては10年前に放送した場面の再構成部分と
新たに取材した部分とのバランスがあまりに悪すぎる
今回 新たに驚いたり発見できたことがあまりなかった
▲お笑いに不案内な人にとっては
「M-1ファイナリスト」の価値がいまひとつわからない
20年も売れなかった人が「なぜ突然売れたのか」という
「謎」はよくわからなかった
▲一番知りたいブレークの理由が
人柄の良さというだけでは物足りない
仮に人柄の良さがブレークの原因だったとしたら
なぜ10年前でなくて今なのかを描いて欲しかった
▲うるっとくるシーンが結構あったと思うが
すぐにギャグで笑いの方に持って行かれたので
お笑い芸人さんの番組だから仕方ないかなと思いながらも
もう少し余韻が欲しかった
▲もし今のブレークがなければ
長谷川さんは ただ人柄が良い人だと言われ続けていたかもしれない
頑張れば報われる可能性があることを感じ取ってもらうためには
長谷川さんのお笑いに対する気持ちが
どのように変化していったのかを もう少し語ってもらいたかった
▲長谷川さんが「東京に出なくては」と切実に思った
本人も気づかなかったような理由を もうひと掘りしても良かった
そこを出してこその20年ドキュメンタリーだ
▲2011年長谷川さんが
「自分の実力がわかってくると夢が下がってくる」と言っていた
10年後 その言葉を振り返ってどう思うのか
今の長谷川さんの気持ちを聞きたい
▲相方の渡辺さんへの言葉が 半ば照れて
つっかかりながら話していて「言わされた感」があった
渡辺さんも照れていたが 見ている私も照れてしまった
何とかならなかっただろうか
▲最後に 長谷川さんが札幌への思いを語る部分は良かったが
ナレーションの「ふるさとはいつだって私たちを待っている」の
締めは平凡すぎる もう少し何とかならなかったのか
<提言>
★続編を期待したい 今度は 長谷川さんの母親を
主人公にした番組を制作しても良いかもしれない
★私自身の気持ちや行動へ与えた影響を振り返り
あらためてテレビ放送の影響力の大きさを実感した
HTBには 引き続きこのような良い番組を制作され
社会へ良質なメッセージを発信することを強く期待する
佐藤良諭アナウンサー
「あなたとHTB」次回の放送は、
10月と11月に開催される
第538回 第539回放送番組審議会における
委員の皆さんのご意見を紹介いたします