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あなたとHTB


このページは令和4年4月24日放送分から引用しています。

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佐藤アナウンサー

佐藤良諭アナウンサー

おはようございます。
「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに、
より良い番組作りと放送のあり方を目指す番組です。

まず、1月の第541回放送番組審議会で審議された
テレメンタリー2022
「『赤潮』海は染まり、ウニは死んだ…。
それでも漁師は 海に出る。」について、
委員の意見をご紹介します。

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テレメンタリー2022
「『赤潮』海は染まり、ウニは死んだ…。それでも漁師は 海に出る。」

この番組は、去年 北海道の海で発生した 赤潮被害について
お伝えしたものです。
ウニの死骸で埋め尽くされた海と 廃業の危機に立つ漁師、
そして研究者への取材を通じ、
赤潮がもたらした深刻な実態を明らかにしました。

この番組に対して、番組審議会の委員から出た意見から
評価された点を紹介します。

<評価点>
・番組は釧路町昆布森のウニ および漁業者を軸に
構成されており、総花的・散漫になりやすいテーマだと思うが、
とてもよくまとまっていた。

・ウニの握りから始まる冒頭のシーンは、
一瞬グルメ番組かと錯覚させられたが、
すぐに 赤潮の被害にあった ウニの死骸の映像に切り替わり、
そのギャップが、この番組を観てみようと惹きつける効果になっていた。

・映像の威力を実感した。
不気味に濁った海水と
きれいな海水の境界線がはっきりとわかる
空からの映像は、事の重大さを暗示するようで、インパクトがあった。
海の中はさらに衝撃的で、
真っ白になったウニの死骸が海底で折り重なっていた。
浜辺に打ち上げられたウニも痛々しい。
ただごとではない実態が伝わった。

・ウニ漁師が廃業危機に直面しつつも、稚ウニを育て、
息子とともに歩み出している姿は印象的だった。
また 北大の研究者が、漁師、漁業、海を救うため、
未知のプランクトンの究明に向き合う姿も、
研究者と漁師とのつながりを感じさせるものであった。

・地元のテレビ局が、
道東の浜の歴史もまじえて番組を作ってくれるのはありがたい。
地図CGによって、北大の臨海実験所がある厚岸町が、
親潮の流れる根室と 釧路の海域を見られる場所だということが
よくわかった。

・昆布森という 狭く独特な地域に限定して、
ウニ以外の情報をあえて盛り込まずに、
集中的に扱った取材がとてもよかった。
赤潮が単なる漁業被害ではなく、
地域文化の消滅をも意味するということを明確に示していた。

・ウニはどのように大きくなるのか、
数を増やすのに 漁師はどうすればいいのかなどを
子どもにもわかりやすく説明していた。

佐藤良諭アナウンサー

ここまでは、評価点をお伝えしました。
ここからは要望点・改善点・提言です。

<要望点・改善点>
・赤潮と そのメカニズムについては、
「カレニア・セリフォルミス」が増えることによって起きる
ということはわかったが、それにより、なぜウニや魚たちが
死に至るのかは述べられておらず、消化不良だった。

・漁師の成田さんは、稚ウニを買うお金もないと言っていたのに、
後半では稚ウニを放流する場面が流れ、
ウニの生産について知らない人にとっては理解するのが難しい。
稚ウニは 被害の前に購入していることなどの説明があると親切。

・今回の被害額80億円のほとんどは ウニだったはずだ。
ただ、全国のウニの漁獲量が どれくらいあり、
そのうち北海道内はどのくらいで、
今回被害にあった地域は その何割を占める
というような全体像を示してほしかった。

・なぜ高級寿司店のシーンが6回もあるのか。
オープニングと 「銀座久兵衛」の「ウニの軍艦」の
歴史説明は必要だと思うが、ほかの「銀座久兵衛」の映像は
プチCMみたいで違和感を持った。
まとまっていた方がわかりやすい。

・女性のナレーションが、
「私たち」と表現された ウニとしての語りの部分と、
客観的な事実を説明する部分が入り混じっていたことに違和感を持った。
男性ナレーターも起用しているので、
説明の部分と ウニとしての語りの部分の役割を分けて、
メリハリをつけてほしい。

<提言>
・釧路町は、昆布森のウニを復活させるプロジェクトを
ふるさと納税で応援できる「ガバメントクラウドファンディング」で
受け付けている。
被害を伝えるだけではなく
応援する手段を紹介してもらえるとよかった。

佐藤良諭アナウンサー

次に、3月の第542回放送番組審議会で審議された
テレメンタリー2022
「難病のパン屋さん~ひかり閉ざされても」について
委員の意見をご紹介します。

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テレメンタリー2022
「難病のパン屋さん~ひかり閉ざされても」

この番組は 網膜の異常で 徐々に視野が狭まる難病にかかった女性が
パン屋さんを開業し、病と闘いながら パンづくりに挑戦する姿と、
その家族を追ったドキュメンタリーです。

番組審議会の委員から出た意見から評価された点を紹介します。

<評価点>
・番組タイトルに「難病」とあったので、
重たい感じなのかと思って見始めたが、
市場梨沙さんを支える家族をはじめ、地域の客やパンの師匠も
クローズアップすることで「愛」を感じられた。

・「網膜色素変性症」の字幕が、
やわらかなフォントの白い文字に 赤いアンダーライン。
病気・障害を深刻になりすぎないように
表現していた。

・「網膜色素変性症」について、
市場さんは、『中心以外は砂嵐に見える』と話していたが、
その市場さんの視界が映像化されており、
実際にどのように見えているのかということを
わかりやすく伝えていた。

・構成はシンプルで、登場人物もあまり多くない。
30分番組としては詰め込み過ぎず 適正な情報量だった。

・音楽の使い方がよかった。
番組のタイトルが出てくるときや病名を紹介するとき、
テンションを高めたいときなど、感動的なシーンに
一つ一つ ふさわしい音楽を選択していた。

・市場さんの娘が、
『お母さんと同じ病気なら別にいいの』と話すのを聞き、
お母さんが大好きで心配させたくないということに加え、
市場さんが明るく元気に前向きに取り組む姿から、
健気な思いが伝わった。

・前向きに生きる市場さんの言葉に勇気づけられた。
病気のため看護師を続けることが難しくなったにもかかわらず、
きっぱりと方向転換をして 朝早くから1日500個のパンを作り
『パン屋をやるために生まれてきた』と言い切る
彼女の強さに感動した。

佐藤良諭アナウンサー

ここまでは評価点をお伝えしました。
次に、要望点・改善点と提言をご紹介します。

<要望点・改善点>
・登場した人たちは、ほとんどの場面でマスクをしていて
話が聴き取りづらい場面があった。
字幕も出ておらず、音量を上げ、何回か聴いてようやくわかった。

・iPS細胞による治療について、
今後どのくらいの数の患者に適用することが可能なのか、
具体的な人数や治療の計画がわかれば、
市場さんのところまで回ってくる確率がわかったのではないか。

・番組を見て感じた満腹感、
その正体は「言葉が多すぎる」ということだ。
すべて 取材される本人に語らせて、更にナレーションであおる。
考える暇を与えないドキュメンタリーとは何だろうと思った。

・家族一丸となって市場さんを応援していることや、
市場さんの前向きで明るい人柄もあって
明るい部分を強く感じたが、
1回見ただけでは 視聴者に何を伝えたいのかよくわからない。

・なぜ市場さんは、こんなにも明るくいられるのか?
そこが掘り下げられていない。
表の明るさを裏付ける影の部分、
陰影があってこそ人物は立体的に見え、
表の明るさも説得力を持って描けるのではないか。

・病気の説明で『失明する人も少なくない』という表現が気になった。
ぼかした表現が かえってこの病気の深刻さを想像する
引き金になってしまった。

<提言>
・障害・障害者については、
まだまだ社会の認知や理解が進んだとは言い難いのが現状だが、
今後、視覚以外の 他の障害についても、
自立して暮らしている実例を示す番組を作り、
社会におけるノーマライゼーションの進歩に貢献してほしい。

佐藤良諭アナウンサー

あなたとHTB。
次回の放送は、4月開催の第543回と、
5月に開かれる第544回放送番組審議会における委員のご意見を紹介いたします。