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あなたとHTB


このページは令和7年10月26日放送分から引用しています。

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森さやかアナウンサー

おはようございます。「あなたとHTB」の時間です。「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに、より良い番組作りと放送のあり方を目指す番組です。

きょうは、9月の第577回放送番組審議会で審議された、テレメンタリー2025「100枚の“証言”知床事故3年 家族の闘い」について、委員の意見をご紹介します。

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テレメンタリー2025「100枚の“証言”知床事故3年 家族の闘い」

この番組は2022年に起きた、知床沖観光船沈没事故のその後を追った作品です。事故から2年余りが経った事故現場付近で被害者のカメラが発見され、データの復元に成功。生前の写真が遺族に届けられます。そして、別の写真からは、運航会社の社長の証言を巡る新たな疑惑も浮上しました。

この番組に対して、番組審議会の委員から出た意見から評価された点を紹介します。

・この番組は、人々の記憶から薄れていく事故の記憶を呼び覚まし、再び胸に迫らせる力をもっていた。風化させないように伝え続ける姿勢は、メディアの責務を体現しているように思った。

・事故から2年余りも経ってから遺品のカメラが見つかり、さらに復元できる状態だったことに、こんな奇跡があるのかと率直に驚いた。この奇跡は人里から隔絶された場所を捜索する人がいなければ見つかることはなかっただろう。このボランティアの捜索を丁寧に伝えていたことが重要な番組の軸になっていた。

・事故の被害者の両親が箱からカメラを取り出す瞬間。その後、復元できた写真のプリントを業者に見せてもらうシーンが撮影できたのは、取材記者が家族と相当な信頼関係を築けているからだと思った。このドキュメンタリーを成り立たせている最も強いシーンだった。

・復元された写真は、遺族にとって、被害者の最後の姿を垣間見る証となったが、それだけにとどまらず、当時の船上の状況や周囲の風景などが写っていたことで、事故を検証するための重要な手がかりにもなり得るもので、今後の捜査や裁判の行方に影響を及ぼす可能性があることを示唆していた。こうした意味においても、今回の発見は真実に近づくための大切な一歩であった。

・捜索ボランティアの男性が、インタビューで「気持ちの整理がついている遺族の傷を広げるような真似をしているのではないか」と語る一方、「役に立ててよかったと」いう思いが率直に拾われていた。「人の思い」が伝わるシーンで、とてもよかった。

・ナレーションは番組にふさわしく、落ち着いたものだと感心した。そして、それゆえに心に重くのしかかってくるのかもしれないと感じる。

ここまでは、評価点をお伝えしました。ここからは要望点・改善点・提言です。

・「100枚の写真が今、語り始めます」というナレーションや、「100枚の“証言”」というタイトルから、写真から事故当日の海の様子や事故に至るまで、あらゆる角度から科学的に検証されるのかと想像したが、事故の原因究明に関する新たな情報は少なく感じた。

・番組タイトルに「家族の闘い」とあるが、これは、家族が何と「闘っている」という意味だったのか、一見当たり障りのないタイトルのようだが、今ひとつ分からなかった。

・運航会社の社長を待ち伏せ、鋭い言葉を浴びせかける場面は残念に感じた。責任を追及しようとする意図は理解できるが、むしろマスコミの醜悪な側面を連想させ、視聴者に不快感や違和感を与えたように思う。その結果、せっかく番組全体がもっていた真摯なメッセージの力を弱めてしまったのではないか。

・HTBがこの事故を追い続ける姿勢は、単に過去を振り返るのではなく、現在進行形の問題として真実を社会に提示し、記憶を風化させないという点で大いに意義がある。これからも真実を追い続けてほしい。

あなたとHTB。次回の放送は、10月開催の第578回、11月開催の第579回放送番組審議会における
委員のご意見を紹介いたします。

過去の放送より