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【追跡】法人カードの明細書に並ぶ店名は…保育園助成金「水増し請求」疑惑 実質的経営者の男性を直撃

待機児童対策として始まった企業主導型保育事業。
札幌市内で5つの保育園を運営する会社が国から支給される助成金を「不正請求」した疑惑が浮上しています。

■以前園に勤めていた人:
「園児のことはお金としか思っていなかったので、園児がひとり入るたびに車1台分っていう発言でした。」

さらには保育士不足による規定違反も。

■退園した保育士:
「こどもの安全が一番なので、もう保育というよりは監視という状況になっちゃうんですよね」

保育園の運営は一体どうなっていたのか…。
園の実質的経営者の男性に話を聞きました。

札幌市中央区にある企業主導型の認可外保育園。
2019年8月から運営をはじめたこの保育園をめぐるある疑惑が。

■園に以前勤めていた人:
「園児の数でいうと、10人前後、職員でいうと8人前後の水増しをしていまして、金額でいうと2022年度でいうと何千万円にもなる返金の請求がきています」

この保育園では2022年度に国からおよそ1億円の助成金を受け取っていましたが、そのうち4700万円ほどが過大支給であったとして返還を求められています。

この助成金を受け取るには、園の運営会社が児童育成協会に対し毎月、保育士や在籍している園児の人数などをもとにした申請が必要となりますが、この園ではウソの申告をしていたといいます。

■園に以前勤めていた人:
「職員ですともう退職した職員でしたり亡くなった職員も入っていました。園児でいうとたった1回見学にきたり、一時保育に1回だけ来た園児に関してもそれも全部名前をいれて入園したことになっていた。」

関係者らによりますと、この手続きを行っていたのは運営会社の実質的経営者の男性で在籍していない園児や系列の園に所属している保育士などの名前を記載し「水増し」請求していたといいます。
さらに、この不正を隠すために保育士らにある指示を出していました。

■退園した保育士:
「2年前くらいの監査で児童育成協会の方が来て、書類であったり配置人数だったりみるんですけど、そのときに(経営者の男性に)呼ばれて話を合わせるように聞かれてないことは答えないようにって言われて。人数が明らかにおかしいので(児童育成協会の職員から)この保育士はいまも働いていますか?とかこの園児はまだ在園してますか?とか聞かれて、いまいないので答えようとすると、「います、います」という風に彼が割り込んで言って来て。」

園の運営会社の収入の95%は国からの助成金などの公金だといいます。
これらのお金は、いったい何に使われていたのでしょうか。

■園に以前勤めていた人:
「会社名義のカード明細をみて初めて気が付きました。
その中身を見たときにほぼすすきの関係で使ったお金だったのでこれは保育にまったく関係のないものじゃないかと。」

今回HTBが入手したのは経営者の男性が持っていた会社の法人カードの利用明細書です。決済先には「クラブ」や「メイド喫茶」の文字。
1日でおよそ100万円を使っている日もあります。
従業員らが作成した資料によると、この月にはおよそ960万円の請求があり、そのうち女性の接待を伴う風俗店での支払い額は700万円以上に上ります。

■退園した保育士:
「飲みにいくのは仕事だみたいな感じで言ってました。そういうところからこうやって保育士とかこどもとか入れているんだっていう風には言ってました。

さらにこの保育園では、こんな問題も…。

■退園した保育士:
「保育士がまず足りない。正社員が3人しかいない状態で園児を見ていて配置人数が毎日満たしていない状況でした。人がいたらありがたいんですけど、やっぱり無資格なので任せられることは少ないですし、それでなにか子供がけがをしましたってなったときの責任は、その方はとれないので結局その人には保育士がつかないといけない。」

保育園では、保育士が受け持つ子どもの人数が国によって定められていて、0歳児の場合、保育士1人あたり3人となっています。しかし、この保育園では保育士不足により基準に満たない状況が続いていたといいます。

■退園した保育士:
「基本的に(園児)37人を4人で。正社員2人とパートさんとかヘルプの方で基本日中は4人という感じでした。この環境が変わらないので新しい人が入ってくれたとしても、この保育園はおかしいなという風に感じてすぐにやめてしまうかたも多いので、年々どんどん悪くなっていくように感じます。」

相次ぐ問題により先月、職員が一斉に退職。多くの子どもたちもこの園を去りました。

■退園した園児の保護者:
「不安でしたかなかったっていうのがありますよね、どうしてもこどもを預けることに対して不安というか常勤の先生がまずいない。知っている先生がいるからきょうは安心だねっていう本当にもう最低限そういったレベルの気持ちでした。」

これらの問題について実質的経営者にあたる男性はHTBの取材に対し、
「見学に来ていた園児を、入園が確定したと思い概算で申請していた。児童育成協会には返還するという話をしている。」
また、法人カードの明細については
「飲み食いをしていた店のほとんどが企業提携した営業先。」といった内容のコメントをしています。

さらに、男性は資産売却も含めて検討し返済計画を練っているとしています。

また、この運営会社が手掛ける他の4つの認定保育園についても職員の水増しの情報が寄せられていて札幌市が調査を行っています。

HTBは引き続きこの問題の取材を続けていきます。
情報は news@htb.co.jp やHTB北海道ニュースの公式サイト。
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