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高齢者ケア編(3) 心と身体が癒される南富良野の赤ひげ先生
2015年11月25日放送
人口2600人の小さなマチ、南富良野町幾寅。
ここに【現代の赤ひげ】といわれる医師がいます。
下田憲さん(68)。
長崎県に生まれ北大の医学部を卒業。19年前から幾寅で、人々の健康を見守っています。
診療所の名前は「けん三のことば館 クリニック」。
下田医師は、患者の声にじっくりと耳を傾けて診察を行うほか、
無償の鍼治療も積極的に治療に取り入れています。
東洋医学を活用することで患者の医療費が10分の1になるケースもあるといいます。
南富良野町の町民はいつでも診察を受けることができますが、
評判を聞いた患者が遠くは道外からも押し寄せ、
新規の患者の予約は1年から2年待ちにもなります。
地域に根ざした下田医師の長年の活動は高い評価を受け、
日本医師会が地域医療に貢献した医師に毎年贈る「赤ひげ大賞」を去年受賞しました。
下田医師には最近、気がかりなことがあります。それは、「高齢者の貧困」です。
「この町の患者さんは往診をやると医療費が負担できないくらい貧しい人が多い」
悩んだ下田医師がたどりついたひとつの答えが【言葉の力】でした。
病院の壁に所狭しと、掲げられた短い「詩」。
下田医師が、患者とのふれあいの中で感じた思いを書にしたものです。
『とりたくなくてもとしはとるもの良い日々を積み重ねていこうね あなたとわたし』
自らも高齢者だからと笑う下田医師。
「人間と言うのは心が癒されると身体も癒される。
医療と言うのは永遠に続くものではないが『ことば』は、
私が死んだ後でも人に何かを与え続けてくれるかもしれないと。」
そう話します。