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地域の介護編(1) 打ち切られた訪問診療と地方の限界
2015年12月 7日放送
留萌市に住む剛夫さん80歳。
市営住宅の4階に暮らしています。エレベーターはありません。
剛夫さんは、胸から下が動きませんが、
要介護4の妻・美彌さん80歳を自宅で介護しています。
剛夫さん自身も、介護をしはじめてから極端に腰が曲がったといいます。
美彌さんは先月まで、医者が定期的に患者の自宅を訪れる「訪問診療」を受けていました。
しかし、訪問診療を受けもっていた留萌市立病院が
美彌さんを含む29人の患者に対し、訪問診療の打ち切りを告げました。
剛夫さんは市と市議会に訪問診療の継続を願う陳情書を提出しましたが、
直ちに実現することは不可能だと判断されました。
その理由は、留萌市立病院の医師数そのものが増えないことにありました。
「都市部の病院にとられがちで、地方にくる医師の全体数が少ない」と話す病院側。
留萌地域の10万人あたりの医師数は141.7人。札幌圏のおよそ半分です。
市の担当者も、自治体だけでなく民間や道の力も借りた事業の必要性を語りました。
道は、今月、他府県では珍しい独自の事業を始めました。
目的は「在宅サービスの担い手」を育てることです。
医療機関同士でグループを作り、指導役の医師に未経験の医師が同行して、
具体的なノウハウを学べる仕組みを作りました。
剛夫さん、美彌さん夫婦は夕食を一緒に作ります。
「けんか相手なんですよ。仲のいい夫婦じゃないの」と話す美彌さんに
笑い声で答える剛夫さん。
打ち切られた訪問診療。
道の新たな取り組みが、留萌市でいつから行われるかはわかっていません。
剛夫さんと美彌さんは、来月から介護事業所に頼んで、
病院の外来に通うことになります。