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湿原の獣医師さん

番組内容

きっと絶滅寸前の動物たちを守れるはず。
北海道を野生生物が安心して棲める島にできるはず。
そう信じて日々奮闘する獣医師の物語です。

写真極東オホーツク沿岸に棲息するオオワシ。越冬のため冬、サハリンから北海道に渡ってくる世界最大の渡り鳥です。
この渡りのルートが明らかになってきたのはここ10年程度。釧路の獣医師が10年にもわたる追跡調査を行い、謎とされた生態を明らかにしてきました。
サハリンで生まれたオオワシは、餌場の川や海が氷で覆われる前に宗谷海峡を渡り、多くが道東で冬を越します。
私たちはこの渡りのルートをカメラでなぞってみました。するとオオワシが人の営みから多くの軋轢をうけ、次々と困難にさいなまれている事実を知りました。北海道は彼らにとって安住の地ではなく、命がけで渡らなければならない、過酷な地だったのです。

渡り鳥がよく利用する風の通り道に、多くの風力発電が設置されてきました。彼らが風にのって羽ばたく行く手に、先端が時速300キロで旋回する風車が立ち塞がります。
羽を休めた電柱で感電し、餌場を見下ろそうと橋の欄干に止まろうとして車にはねられます。電車がはねたエゾシカの死骸をついばもうとして、次にやってきた電車にはねられているのが実態なのです。
獣医師は電力事業者や道路管理者に掛け合い、事故を減らそうと奮闘します。

写真 一方でオオワシを保護し、地元のシンボルにしていこうという動きも出てきました。浜頓別の宇曽丹小学校は、学校の近くに「オオワシの森」を育て、オオワシやオジロワシが集まる河畔林を造ろうとしています。根室の観光協会はオオワシをはじめとした根室の希少な野鳥たちを海外にアピール。世界のバードウォッチャーが根室にツアーで訪れるようになってきました。

共存の方法を探る近道は、動物の生態をよく知ること。なぜその電柱にとまったのか?なぜ海ワシが線路脇のエゾシカの死骸を狙うようになったのか?その理由がわかって初めて対策を講じることができるのです。

写真 私たちはきっと絶滅寸前の動物たちを守れるはず。北海道を野生生物が安心して棲める島にできるはず。そう信じて日々奮闘する獣医師の物語です。