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2021.2.1 イチオシ!!で放送

国内初...オジロワシの鳥インフルエンザ陽性 野生動物も「密の回避」を...陰に潜む餌やりの危険

絶滅が危惧されるオジロワシですが、旭川で見つかった個体から国内で初めて鳥インフルエンザウイルスが見つかりました。専門家は感染拡大を防ぐために「エサやり」をやめることがカギと指摘します。
 水の中で弱っているオジロワシ。1月27日、旭川市で見つかり、その後、死にました。環境省が検査したところ鳥インフルエンザの陽性が確認されました。鳥インフルエンザに感染したガンやカモなどの鳥を食べて、感染したと見られています。現場周辺では道の職員が弱っている鳥がいないか調査を行い、北海道大学で検査した結果、強い毒性をもつ「高病原性」であることが分かりました。

 国の天然記念物オジロワシは羽を広げると2メートルを超える大型の猛禽類です。猛禽類医学研究所の齊藤慶輔獣医師は「これだけの数のオオワシ、オジロワシが一挙に同じ場所に集まるという観点からすると、北海道は地球上なかなか類を見ない場所と言えます」と指摘します。オジロワシは主に魚や野鳥など小動物のほか、エゾシカの死骸なども食べます。夏、極東ロシアやオホーツク海沿岸にいたオジロワシは、川や海が凍り付いてエサが取れなくなる頃、北海道に集まり冬を越します。越冬地で毒性の強い感染症が発生すると一気に広がり、数を減らしてしまう可能性があるのです。
 齊藤さんは「感染症が既に入ってしまった状況。とにかく鳥と鳥が密集することは避けないといけない」と話します。齊藤さんが危惧しているのは、観光客に鳥を見せて写真を撮らせるなどするために行われる「観光餌付け」です。知床ではこれから冬の観光クルーズが本格化します。世界で最もオオワシ・オジロワシが間近で見られると毎年、世界中から野鳥ファンが集まっていました。これまでにクルーズの業者と環境省が話し合い、将来的にエサ撒きを無くす方向で努力が続いていますが、いまだなくなっていません。また根室市内では、宿泊施設の前にある氷の張った湖に魚やエゾシカの肉を置き、撮影会を開く施設も見られます。
 齊藤さんは「密集してしまうと感染しているワシの隣に普通のワシがいて、接触したり飛沫感染したり、糞便を口にするという確率がすごく高くなりますので、むやみに餌やりをするということは感染症をどんどん広めようとしている行為だ」と警鐘を鳴らします。
 野鳥に大量のエサをやる光景は札幌の円山公園でも見られます。生態系が崩れたり、野鳥が集まることで感染症のリスクが高まる危険性があります。今回、高病原性鳥インフルエンザウイルスが見つかったオジロワシも、今後、人間の行為によって更に感染拡大を招く恐れがあります。
 齊藤さんは「少なくとも人間が介在しているワシを寄せてしまうという行為、これをとにかくできる限りやめる、これが必要だと思います。」と訴えます。

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