ワールドカップやっております。
日本の初勝利に沸き上がる今日このごろでございます。
でも、つい最近まで、日本が欧州の国に勝つなんて、奇蹟だと言われてました。
それが、「きっと勝つでしょう」なんて普通に言われるようになったのは、よく考えれば驚きです。
さて、思い起こして、前回のフランス・ワールドカップの時、みなさんはなにをしてましたか?
ちょうど4年前になりますね。1998年。
あの時、我々は香港におりました。
香港観光協会さんのご招待を受けて、「大観光旅行」を満喫しとりました。
コレ、いわゆる「パブリシティー」「タイアップ」という手法で、スポンサー様より「番組に協力いたしましょう!そのかわり、宣伝の方もよろしく!」。お互い持ちつ持たれつ。予算の苦しい番組にとっては、ありがたいご提案です。
「そりゃもう!宣伝の方は、バッチリさせていただきますよぅ!」
甘い蜜は決して逃さない我々。
意気揚揚、香港へと向かったわけでございます。
香港に到着した日のこと。
「素晴らしいお部屋!」
「こんなの見たことない!」
「さすが香港さん!」
我々は、関係者の方々もいらっしゃらないのに、惜しみない賛辞を、部屋いっぱいに充満させます。
ふと見ると、ベッドの上に、なにやら大きな紙袋が4つ、置いてありました。
それぞれに4人の名前があります。
「おやおや、なんでしょうか?」
手に取ってみると、ズシリと重い。
「お土産だろうか?」
いやしい系タレントの大泉さんは、さっそく無粋な詮索。
「さすがホンコンさん!」
そういう私も、かなりいやしい。少なからず期待を寄せて、中を開けてみました。
すると中には、「香港のガイドブック」やら、「観光関連資料」やらが、そりゃもうぎっしり。
「こりゃまた・・・ずいぶんと」
まぁ、観光協会さんとしては、「まずはこれを全部読んで、なるべく多くの香港の魅力を知っていただきたい。いや、知ってもらわないと困ります!」そういうことなんでしょう。
当然です。仕事なんですから。
「でも、ねぇ・・・4つはいりませんよねぇ・・・荷物になりますもんねぇ」
正直な大泉さんは、さっそくの失言。
中に、とりわけ重い「束」がありました。
「なんですかコレ?」
「あっとぉ!これ全部・・・絵はがきですよぉ!」
100枚近くありましたね。全部、香港の絵はがき。
「ありがたいですねぇ・・・大泉さん」
「もう、お土産買う必要ないですもん・・・こんだけあれば」
「あんた、ちゃんと持って帰んなさいよ。せっかく頂いたんだから」
「当たり前でしょう!誰が『重い』なんて言いましょうか」
「言ってんじゃねぇ」
するとミスターが、「絵はがきの束」をトランプのように切りながら、思いついたようにこんなことを言いました。
「明日から、香港のどこを回るんでしょうかね?」
「まぁ、とりあえずガイドさんに、こっちの希望は出しておきましたけど」
「どうですか?いっそのこと、こん中から1枚引いて、そこへ行きましょうか!」
「ハハハハ!なに言ってんの」
そうです。
「絵はがきの旅」は、4年前の、そんな会話から生まれた企画でした。
「いいぞ!中山!まだ行ける!」
香港のホテルに、ミスターの声が響きました。
決勝トーナメント進出を絶たれた日本が、悲願の1勝を目指して、ジャマイカと戦っています。
我々4人、英語の実況が鳴り響くテレビの前に座って、それを見てました。
「なんだよぉう!」
最後は、ミスターの落胆した声が、部屋に響きました。
「でも中山、よくやった!」
あれから4年。
「絵はがきの旅2」を放送。
ミスターは様々な奇蹟を起こしました。
中山も健在です。
今度は、日本もやってくれるでしょう。
そして4年後、ドイツ・ワールドカップ。さすがに中山はもういないでしょう。でも、サッカー熱に育まれた新しい世代の選手が、日本を強豪国のひとつにのし上げているかもしれません。
しかし、我が「どうでしょう軍団」は、世代交代もなく、レギュラー固定のまま、全試合フル出場。
次回、「絵はがきの旅3」。
2006年初夏、放送予定。
中山なきあとも、最前線でボールを追い続けるミスターの老練な技を、ご堪能ください。