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8月21日放送「原付ベトナム縦断」第4夜

藤村 | 2002. 9/ 2(MON) 18:30


 ウラの更新が遅れていました。申し訳ない。
 とりあえず前々回の「チーム40登場」の「第4夜」から。

 放送前、私は「第4夜」が、好きだと書いた。

 気に入ってる点は、いくつかある。

 まず、3日目の行程が「わかりやすかった」こと。

 3日目の行程【フエ→ホイアン間】は、150キロと距離も短く、「3つの峠越え」そして「中部最大の都市・ダナン」という、非常にわかりやすい「通過ポイント」があった。

 多分、見ている皆さんも「あぁ、今2つ目の峠を越えた所だな」「じゃぁ、そろそろ昼食だ」そんなふうに、我々のスケジュールを把握できたハズだ。

 これは、番組を楽しんでいただく上で、実は、とても大事なことだ。「ライブ感」とでも言おうか。

 ヒゲ面の私の横に座り「共に旅をしている」。そんな疑似体験を、「より確か」なものにするためには、「時間経過」と「距離進行」を理解してもらうことは、かなり重要な要素なのである。

 「第4夜」は、実は「30分間」で、「3日目のちょうど丸一日分」を見てもらった。

 作り手の自己満足だけれど、「1日の動き」が、よく整理されて「わかりやすかったんじゃないか」と思ってる。その意味で、好きなのだ。

 2つ目。ミスターの車載カメラ、アクションカメラマン・嬉野くんの映像など、「画」にバリエーションがあった。

 特に、フエの町を走り抜けるミスターの「車載カメラの映像」そして「音声」は、「車の中にいた私」にも知り得なかった「生々しいベトナムの喧騒」「けたたましいトラックの爆音」を、臨場感たっぷりに伝えた。

 「いやぁ!こんな騒々しいとこ走ってたんだぁ・・・こりゃぁツライわ!」

 今更ながら私自身、ふたりが置かれていた「過酷な環境」を、痛感した次第である。

 3つ目。「チーム40(フォーティー)」。無論、これだ。

 「どうでしょう」では、喋らない方の2人が、揃って主役に踊り出たのは「トラだって!シカでした」事件以来のことだろう。

 それも今度は、「強力なタッグ」を組んで、鬼のような追い越しを繰り返し、「チーム40」などと暴徒化したタッグネームまで付けてのご登壇だ。

 まぁ、当の本人たちは、そんなネーミングで呼ばわれていようとは、夢にも思ってなかったんだろうが。

 それにしても、あの場面。おふたりのキャラクターがよく現れている。

 ミスターは、「どうでしょう」のロケ中、往々にして「これは、テレビ撮影」という事実を忘れる。「忘れる」と言うか、横に追いやる。

 「そんなことより、まず目的地到着が先決!」

 海外ロケにおいては、特に、彼のそういう「責任意識」は強くなる。

 「でも、カメラに映ってなけりゃ、なんも意味ないですよね」

 そんな大泉さんの「正論」は、彼の前では「バカもの!」と一喝されて終わりである。

 今回も、ご多分に漏れず、後方車両の「カメラ映り」などという「些細な問題」は気にせず、とにかく「己の行く手を阻む者は、全て追い抜くべし!」とばかり、先を急いでいた。

 それは、たとえ嬉野くんが後ろに乗ろうとも、だ。

 
 そういえば、嬉野くんを乗せた後で、ミスターが不思議なことを言っていた。

 「嬉野さんを乗せたら、疲れが取れましたよ」

 バカ言うな、逆だろう!と思ったが、本当に疲れが癒されたらしい。

 すると嬉野くんが、

 「やっぱり僕の乗り方がいいんですよ」

 やけに自慢げに言った。

 実は嬉野くん、「二人乗りのプロ」だ。プロったって「運転する方」じゃない。「後ろに乗っけてもらう方のプロ」だ。運転者は、彼のカミさんだ。

 あそこのカミさんは、ちょっと男まさりな方で(いや、この言い方は怒られるな)、まぁとにかくスゴイ人で、大型バイクを乗り回し、あちこちキャンプしながら旅をする「根っからのツーリングライダー」だ。

 嬉野くんは、その後ろに乗っけられて、日本中を何百キロも引き回された(いや、こんな言い方も誤解を生むな)、まぁとにかくそんな経験の持ち主なのだ。

 「後ろに乗る者は、運転者の安定を保つため、常に『ニーグリップ』を効かせることが重要なんです」

 嬉野プロは、「乗車姿勢の心得」を、そう言った。

 『ニーグリップ』つまり、両足の膝で、運転者の太もも付近をガッチリと固める。これが、安定感を高めるポイントなのだ、と。

 「なるほど、結果その『ニーグリップ』が、いい具合に、ミスターのツボをグリグリと刺激してたんですね?」

 大泉さんは、嬉野くんを「マッサージ効果」のように言っていたが、あながち否定できない話だった。

 話を戻そう。

 「カメラ映り」を気にせず猛進するミスター。

 一方、その後ろに乗った嬉野くんも、別の意味で「カメラ映り」を気にしちゃいない。

 「なぜ!バイクに乗ってまで風景を撮っているんだ」
 「んなもん!車の中でいっくらでも撮れるだろう」
 「なんで大泉さんを撮らないのよ!」

 誰しもが抱くであろう当然の疑問である。

 しかし、嬉野プロは、まるでそこに「深い撮影意図」でもあるかのように、哲学者然とした風情で、「鉄橋」などを撮影しておられる。

 考えてみれば、実にマイペースなお二方なのである。

 彼らに比べれば、私と大泉くんは、常識人である。
 普通の人々である。

 「40(フォーティー)は、また抜く気でしょうか」

 「40(フォーティー)のスピードが上がっただけでしたね」

 いつのまにやら「フォーティー」と略語で呼ばわれ、ただ猛然と目的地を目指し突っ走る異常人たちの後姿を、テレビ的常識人たる大泉さんと私は、黙って追いかけるのみ。

 今となっては「なぜ四十男が二人乗りをして、ベトナムを走っているのか」、その真意すら誰も理解できない。

 思い起こせば、「どうでしょう」が始まった当時、大泉くん以外の3人は30代だった。それが今や、30代は私ひとり。

 いつのまにやら「どうでしょう軍団」の中心が、40代に移行しつつある。

 「おい・・・大丈夫かよ」

 四十を数年後に控えた私は、正直不安にもなる。

 しかし、心配は無用なのだ。

 「チーム40」は、すでに走り出している。
 私と大泉くんを蹴散らすぐらいの猛スピードで突っ走っている。

 
 「一生どうでしょうします」。

 普段は無口な四十男二人の後ろ姿を見て、この言葉に、なんだか自信が湧いてきたことだけは、確かだ。

 私は、だから、「第4夜」が、好きなのである。