5月21日放送「思い出のロケ地を訪ねる小さな旅」

藤村 | 2003/05/22(Thu) 18:39:13


 嬉野先生のご発声で始まりました「どうでしょうプチ復活」いかがでございましたでしょうや。

 肩肘張らず、気楽に旅をして参りました。

 今回の番組、放送の中でも言ってましたが、

 「前回のような総集編形式じゃなくて、車ん中でやったクリスマスパーティーみたいな・・・あんなのやったらどうですか?」

 大泉さんにご提案をいただきましてね。

 まぁ「DVDの宣伝すりゃいいんだから」ぐらいに思ってた私も「それもそうだな」と多少やる気を出しまして、「では何を?」と思案を始めた丁度そのころですよ。お手紙が届いたのは。

 後藤姫だるま工房の後藤さん。

 3年前です。原付西日本のロケで大分県の竹田を訪れたのは。

 今でもよく覚えてます。うららかな春の田舎町。突然現れたカブに乗る奇異な男たちを、とてもにこやかに迎えてくれたのが後藤さんでした。

 隣の畑を借りてゴザを敷き、「だるまのお見合い」なんてバカバカしいことをやってる我々に、とても親切にしてくれました。

 撮影が終ると、庭先にお茶とお漬物を出してくれて、そして、少しお話をしました。

 ロケの最中ではありましたが、竹田の澄んだ空気の中で、そのひと時がとても心地よく、その夜、私と嬉野くんは真剣に「大分に移住しようか」と話し合ったほどでした。

 後藤さんがひとつひとつ手作りしている「姫だるま」。そのお顔には、そんなのんびりとした竹田の空気が感じられます。見れば見るほど、いい顔してるんです。

 その土地で、モノを作ること。その土地でなきゃ、作れないモノ。

 漠然とではありますが、モノ作りの一番大切な部分を教えられた気がしました。

 番組では竹田の町が映ったのはほんの短い時間でしたけど、でも見た人は感じてくれたんでしょうね、あののどかな雰囲気を。

 信じられないけど、あれから3年経った今も、全国から後藤さんの工房を訪ねて来るバカ一代の皆さんが後を絶たないそうです。

 で、そんな皆さんとの交流の中で、今回の「だるまの赤ちゃんを作ったら?」なんて話が出たそうなんですよ。

 手紙をいただいて、私はとにかく「あの竹田の空気」をもう一度吸いたくなりましてね。そしたらもう、いても立ってもいられなくなって「行きます!赤ちゃん受け取りに行きます!」って返事を出しちゃったんです。もう、手紙を受け取ったその日に。

 後藤さんも驚いてましたけど、それ以上に驚いたのが、オフィスキューさんですね。

 そのころ大泉さんもミスターも、ドラバラのロケの真っ最中。「ドラマ」ってのは時間かかりますからね。ドラバラさんは毎日死にもの狂いでロケやってますもん。その上、ミスターさんなんて次の映画の準備で東京やら道内やらを駆け回ってたころ。

 そこへのんきに我々が、

 「来週、ちょっとロケにでも行きませんか?」

 なんて旅のお誘いをしたもんだから、向こうは大慌てですよ。

 「らッ来週ッ!無理無理!」
 「そうですか。じゃ再来週」
 「無理です!」
 「そうですか・・・」

 しかしながら「そうですか」で引き下がる「どうでしょうさん」ではない。こっちはもう竹田に行くことに決めちゃってるもんだから、結局、各方面に

 「水曜どうでしょうでございまぁーす!DVDの売り上げも順風満帆!莫大な利益をもたらしております、ご存知!水曜どうでしょうでございまぁーす!この度、久しぶりのロケに出ることに相成りましたぁ。何卒!ご協力のほどお願い申し上げまぁーす。はいどぉもぉー水曜どぉでしょうでございまぁーす!」

 老舗ブランドと金銭を振りかざし、協力というより脅迫まがい、調整というより強制的に人気タレントお2人の多忙なスケジュールに風穴を空けまして、2週間後にはビシッとロケに出ていたわけでございます。

 4月18日金曜日。「復活」といえばこの場所。羽田東急の4人部屋。

 いや、別に「ねらい」で行ったわけじゃないんですよ。お2人のスケジュール考えたら羽田で一泊しなきゃいけなかったんです。羽田といえば東急。東急といえば4人部屋。もう嬉野先生がなんの疑いもなく発注してただけのことでございます。

 大泉さんは、今回も何も知りませんでした。面白かったですねぇ。羽田空港に着いた時も、タクシーに乗り込んで私が「羽田東急まで」って言った時も、アイツはまだそのことに気付いていなかった。ようやくフロントでカギを受け取って「では、みなさんご一緒のお部屋ですね。こちらです」ってフロントマンに言われた瞬間、

 「ふぁっ!」

 って妙な雄叫びをあげて

 「そっ・・・そうかぁ〜4人部屋かぁ〜」なんつって2〜3歩ヨロケてました。

 腰砕けになっている大泉洋を前に、

 「なに今ごろ言ってんの?当たり前じゃん」

 嬉野先生は至極冷静に言い放ったのでございます。

 さて、その嬉野先生。部屋に入るとカメラのセッティングを始めたわけでございますが、まずは三脚にカメラがうまく付かない。「おっかしいなぁ・・・」なんつって四苦八苦しております。「どれ?」ってミスターがやると「カチャッ」ってはまる。「さすがミスター!じゃ回しますか」カメラを回しますと、またまた先生「おっかしいなぁ・・・」なんつってゴソゴソしてる。「なんか変なマークが出てるんですよ。これなんですか?ミスター」

 「おい。ミスターは電気屋じゃねぇんだぞ。」

 大泉さんのお言葉、さすがですね。「電気屋」ってとこがもう、ツボです。

 それにしても先生。最近もっぱら写真屋稼業でビデオカメラなんて久しぶり。
 みなさんどうでした?あの車内の映像。もう揺れちゃって揺れちゃって。
 オレもう編集しながら吐きそうになったもの。

 アレはね、先生が車内撮影用の「一脚(棒っこ)」を忘れてきたんですよ。忘れちゃったの。もうね、今後のどうでしょうが思いやられますよ。

 そういう私もね、地図忘れてきたもん。すっかり忘れちゃったの。
 
 おかげでいきなり道間違えて高速降りちゃったもん。本当はもっと先まで高速道路があったんだけど、あそこで降りちゃったの。「熊本空港の件」は白状したけど、あそこで道を間違えたことは最後まで黙ってたなオレ。編集してる時に嬉野くん驚いてたもん。

 「やっぱ間違えてたのか!あんた!」って。

 もうね、定期的に旅に出ないとダメだわ。ホント。

 
 さて、イラストだ。

 グラサンかけた無表情なミスターが「いいじゃないかッ!いいじゃないかッ!」と音頭をとっているあのイラスト。大きくあおぐウチワには「宿(やど)」と大書されております。

 DVD全集の表紙でもすっかりお馴染みとなったあの画風。

 ビジービーでもっぱら「ハナタレ」の美術を担当している松村女史の手によるものでございます。「いぶし銀のレスラー」以来、我々のお気に入り。

 今回も「いいじゃないか運動」に合わせてイラストを発注いたしました。しかし私が松村女史に発注したのはたかが4枚程度。「両手を上げ下げするミスター」ぐらいなもんでした。

 ところが出来上がったイラストは10数枚に及び、そこには私が発注した覚えのない「ふんどし姿で一心不乱に舞い踊る鈴井貴之(41歳)」が描かれていたのでありました。

 「う・・・嬉野くん、これは・・・」
 「いや、松村君が・・・」
 「彼女が?」
 「描いてみましたと」
 「なぜ?なぜ彼女は自発的にそこまで・・・」
 「なんでも、自分の仕事に妥協したくないらしくて、それで・・・」
 「それで、ふんどしも描いたと」
 「そう」
 「それで・・・こう、自発的に短パンを脱がし、ヘソ毛が飛び出したふんどしミスターも描いてみたと・・・」
 「そう」
 「うーむッ・・・あっぱれ!その心意気やあっぱれ!」

 私は感激したのであります。

 「嬉野君ッ見なさい!はだけた法被から見え隠れするこの胸毛!この絶妙な分量はなんだ!そして見ろッ!股間からハミ出さんばかりの黒々とした体毛!さらにッ!この男気溢れるヘソ毛!うーむ・・・見るほどにいい仕事だッ!」

 私はその緻密かつ大胆な筆致に驚嘆したのであります。しかし!残念ながら放送で使えるのは4枚程度。なんとかならんものか・・・。

 「そうだッ!エンディングだ!エンディングでふんどし一丁!思う存分ミスターに踊り狂っていただこう!」

 ただ問題は、樋口さんの曲に合うかどうか?

 合った。

 そしてそれは、あまりに見事な音楽と舞踊の融合であった。知らなかった。「1/6の夢旅人」にふんどし踊りが合うなんて。

 さて話を戻そう。大分県竹田。

 後藤さんの工房は3年前と変わりなく、のどかでした。とても気ぜわしいロケだったけれど、最後に「だるまの親子6人」が並んだ姿は、なんとも言えず幸せな気分になりました。ほんとに「いい顔」をした親子なんですよ。ニコニコして。とてもうれしそうで。

 たかが人形です。民芸品ですよ。でもね、その土地でずっと作られて、今も変わらず作り続けられているモノには、よぉーく見ると、人の気持ちを幸せにしてくれるような「何か」があるんです。

 あの「画」を見た時に、私は「来てよかったな」と心底思いました。

 そして撮影を終えたあと、また庭先でお茶と手作りのお漬物、ゆで餅をいただきました。

 そこには、3年前のあの春の日と、同じ空気が流れていました。

 (また、竹田に来られるかな・・・)

 ゆで餅を食いながら、ふと考えました。

 でも、この番組をやっている限り、またいつの日か、きっと竹田を訪れる日が来るような気がして、なんだかとても心穏やかな気分になりました。


 「一生どうでしょうします」

 そんなに大げさなことじゃない。それより、
 
 「もう、終ることを考えなくていい。だからほっとした。」

 写真集にあった大泉さんの言葉が、今のぼくにもピッタリとくる。





 
 (よし。今回も決まった)

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