2004年1月28日に発売・受渡しとなりました「水曜天幕團・蟹頭十郎太」DVD。初回プレス2万5千枚がほぼ完売し、オリコンの週間チャート第4位を獲得いたしました。
チャートが発表されると毎度、広報部の女性2名が息せき切って編集室にやって来ます。
「どうですか!藤村さん!」
彼女たちはHTBの広報誌や各媒体にニュースとして配信するため、メモとカメラを持ってね、新聞記者並みにコメントを求めるに来るわけです。
その第一声がいつも満面の笑顔で「どうですか!」。
「どうですか」って言われてもねぇ・・・そりゃ初めのころは「2位か!スゲぇ!」なんて思ってましたけど、今は正直ランキングよりも「買ってくれた人が満足したかどうか」が一番気になるわけで、そうなると結局「4位ですか。良かったですねぇ」ぐらいのコメントしか出来ない。でも広報部のおひと方は私の先輩でして、そんなコメントじゃもちろん満足しない。
「藤村くん!うれしいでしょう?」
「まぁ・・・」
「うれしいでしょ!」
「そうですね」
「えー、藤村Dも大感激!と・・・」
メモに走り書きをするわけですよ。
「じゃ、写真撮るから。ハイ!これ持って笑って!」
こっちは編集してる!つってんのにDVD持たせて写真を強要するんですよ。それも毎度おんなじポーズで。
「藤村さ~ん!表情が硬いですよ~!笑ってぇ~!」
もうひとりの方がカメラ構えてオレに手を振る。このやり方も毎回おんなじ。
「藤村さん!ホラ!いつもの調子で!」
「いつもの調子ってなんだよ。いいよ、もう。だいたいこんな写真、毎回どこに載せるのさ」
「クッキーに配信したり、新聞社に送ったり・・・」
「ダメだよ!もう新聞は勘弁してよ!」
「大丈夫。載せるかどうかは新聞社の判断だから。じゃ、撮りますよォー!」
カシャ!
そういう写真がね、毎回HTBのメールマガジン「クッキー」に載せられて皆様の元へ配信されるわけですよ。いいですよ。そのぐらいはね。でもさすがにもう新聞はこんな写真載せないだろうと思ったら、載りましたね。北海道新聞さん。コラムの連載が始まる前の日だったもんだからもう連日道新さんはヒゲの笑顔ですよ。
最近じゃ広報部女性記者コンビが来ると怖くて仕方ない。あいつらはね、これからもチャートインするたんびに「DVDを持ってニッコリ笑うオレ」を撮り続けるつもりですよ。それも同じポーズで。あれはもう仕事じゃないね。趣味だね。
さて、それでは本題に入りましょう。
蟹頭DVDのシークレット(今回は「隠密映像」と表記されております)の出し方をお教えいたします。以前掲示板で「今回は3つある!」と言い放っておりましたが、大ウソでございます。
「2つ」でございます。
いや、正しくは「1つ+1つ」とでも言いましょうか。詳しい話は後にして、まずは「1つめ」の操作方法!
天幕小屋内部が映し出された「メインメニュー」から、「特典映像メニュー」へ参ります。「水」の暖簾がかかった天幕小屋入り口が映し出された「特典映像メニュー」。
ここでは「←(左方向キー)」を押して、「メイキング」「テレビCM」「スライド集」「写真集」をそれぞれ選択するわけですが、左端の「写真集」のところで「↑(上キー)」を押してみて下さい。
「蟹頭ヅラ」をかぶった藤やんが現れて、「決定」ボタン。
「十郎太のモノマネ」と題したシークレット映像が現れます。
モノマネは9公演それぞれ違う出し物を大泉さんが用意しておりました。あのシーン、台本上では「すべる」ことを前提に、「それでもモノマネをやり続ける傍若無人な十郎太」というところに面白さを出したい。そういう演出家の意図がございまして、ですから本来、大泉洋の力量であれば「もちろん爆笑!間違いなし!」なんですが、あえてそれを狙う必要はないと。
するとですねぇ、さすが大泉さんは役者ですね。ちゃんと演出家の意図を汲み、だいたいにおいて「すべりまくり」でしたね。本人も赤面するほどの「直滑降」を連日続けておりました。
しかしそれはあくまで「演出の意図を汲んで」のことであって、決して「大泉洋が毎日悩みぬいて真剣に挑んだ結果じゃない」ということを今一度言っておきますよ。
しかし千秋楽はウケたんですね。特に「役者」に。デジカム撮影なので画像と音声は悪いですが、是非ご覧下さいね。大泉さんが「ようやくウケたシーン」をね。
さて、通常「どうでしょうDVD」に隠されているシークレット映像はこのように「なんらかの操作をすることによって出現するもの」を言います。しかし今回は逆に「なんも操作しないことによって出現する」という、これまでにないパターンが仕組まれております。だから先に「1つ+1つ」という表現をしておりました。
では、説明いたしましょう。
「天幕小屋」と表記されたメインメニュー。ここには客席の様子がずっと流されていますね。この映像は「およそ2分」でVTRが一旦停止し、BGMとともに「また頭から始まる」仕組みとなっております。
多分、ほとんどの人はこの「2分の間」に、本編を見るなり、特典メニューに行くなり、「なんらかの操作」をしてしまうでしょう。
しかしですねぇ、ここで「我慢」をして下さい。メインメニューの客席映像を流しっ放しでじっと我慢!
すると2分後にVTRがリセットされて2回目の「ドンドコドコドコ・・・」が始まります。
さらに2分後。再びVTRがリセットされて3回目の「ドンドコ・・・」がスタート。まだ我慢ですよ。
そしてトータル6分が経過し、「ドンドコ」を3回見つづけたあなたに「おい!いいかげん本編を見ろよ!」とばかり、自動的にVTRが切り替わって本編がスタートする仕組みになっております。
しかし、この時。通常の操作では絶対に見ることのない「藤村Dの前説」が出現し、それから本編がスタートします。
つまり、メインメニューを6分あまり放置しておくと、私の前説が見られると、そういうこと。この前説は18日の収録日のものではなく、13日の公演のものです。ま、いずれにしても1回見れば十分です。とりあえず、今夜やってみて下さい。
というわけで、蟹頭DVDのシークレットは以上2つ。
他に余談として、冊子にある「天幕小屋周辺図」の細かいイラストについてもご説明しておきましょう。ここには実に細かい「どうでしょう周辺の実在の関係者」が描かれています。
天幕小屋の右側に「蟹頭十郎太」はじめ登場人物が細かく描かれているのはお分かりでしょう。「藤やん」もいつもの似顔絵で登場してます。分かりにくいけど、「22」の小屋から顔を出してる紫色は「築山」ですね。さらに我が家の家族もちゃんと描かれております。コレ、そっくりです。
舞台の上、ガマの横にいるのは嬉野先生ですね。よく見るとデジカメ持ってます。そして黒子のかぶりモノをしてるくせに、服は赤。これが実にビジービーの芸の細かいところで、真っ黒にしちゃうと嬉野先生かどうかわからない。先生がいつも着ている赤いジャンパー(先生はしょっちゅうコレを着てます)にしたことで、おれなんかは一発で「あ!嬉野くんだ!」と分かりました。皆さんにはそこまでわからないかもしれませんが、そういう特徴的な人物の描き方をちゃんとしてる。
「10」の天幕小屋入り口前で、手に何かを持って客に見せている黒い衣装のスタッフがいますね。これは「グッズ担当ヒゲ男」として度々ホームページに登場する編成部グッズ担当の石坂氏。よく見ると確かにヒゲはやしてます。そして多分、手に持ってるのは「天幕團Tシャツ」。それを客に売りつけようとしてる。彼はTシャツが売れなくて公演中は四苦八苦してましたからね。そこまで描写してるんですよ、これは。
その右側。メガホン持ってるのは、会場一切を取り仕切る事務局長の五十嵐氏ですね。会場に来た人ならわかるでしょう。とにかくメガホン持って開演前にずっとしゃべってた元気な人。自分でトイレの説明をしときながら幕間の休憩時間中もずっとしゃべり続けるもんだから、客がなかなかトイレに立てないという奇妙な現象を引き起こしたおもしろい方ですね。
局舎前、赤い鳥居の下に同じく黒い衣装の太ったスタッフがいますね。あれは間違いなく初代どうでしょうプロデューサーの土井さんですよ。仕事は変わっても相変わらずの人気ぶり。案の定、会場でも「一緒に写真撮ってくださ~い!」という声がかかっております。本人もサービス精神旺盛なもんだから「ハイハイ」なんつってフレームに収まってる。いやぁ!見事に土井さんを表現してる。
さて、皆様には全く馴染みはないでしょうが、公園の近くに赤い自転車に乗ったヒゲのおじさんがいます。この人はビジービーの社長・浜田さん。「水曜どうでしょう」の見事なロゴ文字を書いたのがこの人。当時、「新番組を作るからロゴを書いて下さい」と頼んだら、割りとパパッと書き上げて、こっちも「あ、それでいいです」なんつってアッサリ決定。今では「こんなことになるんなら、もうちょっと気合を入れて書きたかった」と後悔してます。「北欧」の時の「マッチ売りの少女」の挿絵や、DVD予約特典のポストカードの文字なんかも、このおじさんが手書きでやってます。
そして、左下。局舎のカゲから会場を覗く黒服にサングラスの男。ミスターですね。せっかく激励に来たのにキューのタレント陣にぞんざいな扱いを受けてスネております。しかし、初日は本当に誰も余裕がなかったんですね。
最後に「副音声」について一言付け加えておきましょう。本編の他にも特典映像の「メイキング」にも副音声を付けております。副音声選択画面ではなく、メイキング再生中に「お手元のリモコンの音声選択ボタンを押して」聞いて下さい。
というわけで、水曜天幕團は「これにてようやく終った」という感じがします。役者の皆さんも、スタッフの皆さんも、そして四宮Pも嬉野くんも、それぞれに思うことがあるでしょう。「あれが良かった」「これは悪かった」・・・。
私個人は、実は芝居そのものより、こうしてDVDを出して、会場に足を運べなかった人たちに「まるで天幕小屋にいるようだった」と言ってもらえたことが、なにより嬉しかったんですねぇ。孤独で緻密な編集が、やっぱり好きなんですね。
でも今、ナックスさんは自分たちの公演に向けて、またあの「稽古」を、やってんだよねぇ。それも時代劇をやるんだってさ。
なんだよちくしょう、楽しそうじゃないか。
不思議とそう思ってしまうんだなぁ。
だから、また、たぶん、やるんじゃないかな。