2週目の方が、おもしろかったのではないでしょうか。
私の好きな枠は、前週の「鶴の恩返し」と、今週の「マジシャン」。
いつのころからか、私が台本を書き、前枠が「コント一発」になってきましたが、「マジシャン」やってた当時は、必要事項だけふたりに伝えて、あとは「おまかせ」。
「マジシャン編」の子供の反応、それに対して大泉さんがサイコロを地面に投げつけて帰っていく、あの一連の空気というのは、アドリブならではの「真実味」。
翌週のサイコロを投げて返す男の子と、返された大泉さんの顔は、絶品。
アドリブには、「なにかしらやはり真実味」が醸し出されて良いですなぁ。
とはいえ、ミスターの「喜界島の落ち」も、台本があるとはいえ、「なにかしらの真実味」はありますなぁ。
だって、我々は絶対に「穴を掘っている姿」をミスターには見せませんから。
ミスターも絶対に「見せて」とは言いません。
お互い語らずとも、そこには、「真実味」を生み出そうとする気持ちが存在するからなのでしょう。
「穴の深さ」「大きさ」が、ミスターにとって未知であることが、なにより彼の「恐怖」と「魅せることへの欲求」との葛藤を生み出し、「真実の落ち」を具現化することへとつながるのでしょう。
思えば、「どうでしょう」全てに流れる精神こそが、それです。
大泉さんには、「絶対に行き先を告げない」。
昔も今も、がんこに守り続けられているこの「伝統」も、全て「理不尽な旅の真実味」には、不可欠な要素です。
ずっと以前、こんなことがありました。
海外企画の準備で、「国際免許」を4人で取りに行った時。
必要書類に「訪問国」を記入する欄がありました。
記入は他人もできますが、「提出」と「受け取り」は、本人がしなくてはなりません。
困った我々は、怪しいのを承知で、大泉さんの顔をおさえつけ、窓口に同行し、彼が絶対に「訪問国」の欄を見ないように監視し続けたのです。
おかげで、彼には目的地がバレずに、無事「国際免許」を取得できました。
ひと安心した我々は、いっしょに食事をとりました。
すると、そこのおばさんが、たいそう「どうでしょうファン」で、
「今度、うちの店の宣伝でもしてくださいよ!」
なんてなことを冗談っぽく言うと、ミスターが
「ははは・・・じゃぁオーストラリアで、おばちゃん見てる?とか言ってやろうか!ははは・・・はは・・・は・・・」
「おっさん・・・今・・・なんつった・・・?」
「・・・すいません・・・言っちゃいました・・・」
我々が、初めて海外に行った時のお話しです。
おかげで初の海外は、大泉さんから「目的地を告げる瞬間のおいしいお顔」を、頂戴することはできませんでした。
あれから4年。
今でも、ミスターと我々は、「海外企画」が決定すると、その日から「苦しい戦い」が始まります。
大泉さんとの不用意な接触を拒むようになります。
そして旅立ちの日。
いよいよ大泉さんに「隠し事」を告白する瞬間。
眼前で、その「隠し事」を告げられ、男が驚愕に打ち震える光景が繰り広げられた時、我々の戦いは、終るのです。
しかし、いつのころからか、その戦いは、帰国後も続くようになりました。
ミスターと、そして大泉さんも、視聴者に「隠し事」をしなくてはならなくなったのです。
その苦悶が、ついに先週、爆発したわけです。
「・・・どこへ行ったかというと・・・×××です!」
「おい!」
「いやぁ、おれもずっと言いたかったんだよ!我々は×××に行ってきました!」
・・・いやぁ・・・わかっちゃった人、いましたねぇ。
「我々は、あるものをトリに行きました」
この意味も全部わかった人、いましたねぇ。
マニアを甘く見ていました。
しかし、わかった人は、ミスターや、我々ディレクター陣と同じ気持ちで、「その瞬間」の大泉さんのお顔を見ることができます。ある意味特権です。
大部分のわからなかった人は、大泉さんと同じ気持ちで、「ドキドキ感」を味わってください。本来こちらのほうが、おもしろいハズです。
では、来週。大泉さんの変わらぬ「真実の顔」を、ご覧ください。
私の大好きな予告編は、「真実の顔」の後、入ります。
では、海外企画第9弾!お楽しみに!