まず、表題について述べる前に、やはり先の嬉野くんの文章について、ひとこと言っておかねばなるまい。
長いでしょ?話が。
んで、「シャッタースピード」を「銀行の取り付け騒ぎ」とからめるあたりは、
「嬉野さん・・・さすが文才がおありになる!」
ぐらいに思ってるでしょ?文章をおもしろおかしくするために、あんなこと書いてると思うでしょ?
違うんだ。万事あぁゆうわけのわからんたとえ話から、結論を導くんだ。あの人は。
キミら、どうやったら「イギリスの羊毛産業」と「どうでしょうの未来像」が結びつくと思う?
どうやったら「ドイツ参謀本部」と「HTBの職制改革」が、結びつくと思う?
おれが、こう・・・モニターをじっと見て、編集作業に没頭してるじゃないか。そこに来るわけだ。嬉野くんが。
「藤村くんさぁ・・・」
「なんだ?」
振り向きゃしないよ。モニター見たまんまだ。忙しいんだから。
「藤村くん・・・大英帝国なんてのはさぁ・・・」
ここで、一瞬「ん?」と思うわけだ。だって、いきなり「大英帝国」だぞ。誰だって「なんの話ですかぁ?」って思うよ。でも、振り向かないよ。こっちは忙しいんだから。
「大英帝国なんてのは、世界中の海を制圧して、強大な勢力を誇ったじゃないか・・・」
「ん?ん~だね・・・」
まだ振り向いてないぞ。
「スペインやポルトガルも、そうでしょ・・・」
「あぁ・・・」
もう全然振り向かないぞ。だって関係ねぇ話だもの。こっちは編集してんだ。スペインがどうなろうと知ったことか。
「でも、スペイン・ポルトガルは、その後どうなった?」
返事なんかしねぇよ。
「藤村くん、どうなった?」
チッうるさいなぁ・・・。
「あぁ?サッカーが強くなった」
「・・・。」
よし。終ったな。
「キミは、ぼくの話聞く気ないんだね?」
「いや、聞く気がねぇわけじゃないけど、今聞く話でもねぇなぁ・・・と思ってさぁ・・・」
「あのねぇ、ぼくは今、どうでしょうの今後の在り方についての話をしてるんだよ」
「はぁ?」
はい。ここで、初めて振り向きました。
振り向くだろ。「大航海時代の覇権争い」が、「どうでしょうさんの今後の在り方」と密接な関係があるっつってんだから。
でも、おれだってバカじゃないぞ。2秒で気づいたぞ。
関係あるわけないじゃんか!
だから、またゆっくりとモニターの大泉さんの顔の方に向き直って、黙って編集作業に入るわけだ。
でも、嬉野くんは、おれに向かって、スペイン・ポルトガルの衰退の歴史と、永きに渡って続く大英帝国の繁栄と、それを支えた羊毛産業と重工業の関連をずっと話すわけだ。
30分だ。30分かかるぞ。そこに「どうでしょう」が、からんでくるのは。
「からんでくるってか!」
そうなんだよ!からんでくるんだよ!「大英帝国」に「どうでしょう」が。
だからあれだぞ。1時間後には、すっかりおれも嬉野くんに向き直って、
「なるほどなぁ・・・確かに・・・おれらも、羊毛産業に力を入れていくことが、番組の柱になるか・・・」
なんて、すっかりわけのわからんこと口走ってるわけだ。
ハタから聞いたら、
「こいつら、ひつじ飼うつもりか!多角化か!う~ん・・・なぜ今羊毛を・・・?」
なんて、ついに「どうでしょう」も、多角経営に乗り出すような話にとられてしまいそうだが、そうじゃない。
「じゃぁ、どういうことだ?」って聞かれても、
「だから1時間かかるんだ!」
ということだ。
あっ!くそっ!すっかり「表題について述べる前に」なんつって、「表題」の前に、もう疲れちゃったぞ。
えーい・・・
「また来週!」