2019年5月「アイヌ施策推進法」が施行。新しい法律には「差別の禁止」と「アイヌ民族としての誇りが尊重される社会」の実現を図ると記された。先住民族と認められてわずか10年ほどに過ぎず、今もアイヌという出自を隠す人も少なくない。
そんな中、自分がアイヌ語を学ばなければ、アイヌ文化が消滅してしまうと学びを深めるアイヌの22歳の若者がいる。父と共に儀式を体験しながら、自らの立ち位置を求め未来を見据える、次世代のアイヌの若者を追う。
父・次雄さんはアイヌ民族の伝統儀式の祭司。祖父の故・辰次郎さんはエカシ(長老)とあがめられたアイヌ文化の伝承者。新ひだか町静内の実家には、祖父・辰次郎さんが残したアイヌ語のノートが山積みになっている。しかし、父・次雄さんはアイヌ語を自由に操ることができない。父は「アイヌと言うと偏見にあい、アイヌ語を学ぶ環境になかった」と振り返る。
番組では葛野さん親子に焦点をあて、「アイヌ文化」の担い手として、そして「誇りを持つこと」をなかば強いられながら、自らの立ち位置を求めて未来を模索する次世代のアイヌの若者を追う。〝文化〟とは日々の生活から生まれるもの。失われた風習を学びなおすアイヌの人々と、北海道観光の目玉と位置付けPRに力を入れる国や自治体。異なる民族への理解とは何か、異文化を認め尊重するとはどのようなことなのか。ひとつのアイヌの家族を通して問いかける。
出演者
- ナレーション
- 大橋千絵
スタッフ
- 撮影
- 浅野光宏
- 音声
- 藤田海
- 音響効果
- 佐々木堅司
- 編集
- 中川大輔
- ディレクター
- 立田祥久
- プロデューサー
- 沼田博光