「経営破綻」で突然閉鎖した札幌の納骨堂
忽然と姿を消した宗教法人の代表・・・ずさんな実態が次々と明らかに
前代未聞の事態はなぜ起きてしまったのか?
「納骨堂が経営破綻で、突然閉鎖されることになった―」
前代未聞の事態をHTBがスクープしたのは、去年10月のことだった。舞台は、札幌市東区の屋内型納骨堂「御霊堂元町(みたまどうもとまち)」。2012年に開設し「安心の永代供養」や「地下鉄駅徒歩6分の利便性」をウリに客を集め、773家族が契約、およそ1000体の遺骨を収容していた。ところが、運営する宗教法人「白鳳寺」が、約3億円の負債を抱えて事実上の経営破綻に陥ったのだ。利用者にとってはまさに「寝耳に水」の事態。「白鳳寺」の太田司代表は、連日殺到する利用者への説明に追われていたが、問題発覚からわずか2週間あまり経った日、突然音信不通となって失踪した。
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納骨堂を運営していた宗教法人「白鳳寺」の太田司代表
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利用者は経営悪化の事態を突然知らされた
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納めていた遺骨を引き取ることになった利用者
取材を進めると、太田代表が高級車や豪邸の居住費、多額の飲食代などに納骨堂の運営資金を費やしていた疑惑が浮上した。また、宗教法人「白鳳寺」が複数の人物を介して売り渡されていたことも判明。営利を目的とした「納骨堂ビジネス」のために、「名義貸し」のような形で宗教法人が売買される実態も浮かび上がった。差し押さえられた「御霊堂元町」の土地と建物は競売にかけられ、地元の不動産会社が落札した。しかし、札幌市が納骨堂の継承を認めておらず、存続の見通しは立っていない。利用者のなかには、いまも遺骨を納めたままの人や、引き取った遺骨の行き場が見つからない人も多い。
都市部への人口流出で、地方では先祖代々の墓地の管理が難しくなり「墓じまい」が広がっている。納骨堂需要が高まるなか、所管する行政側のチェックが追い付いていないのが実情だ。変わりゆく供養の場を取り巻く問題点をあぶり出す。
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太田代表は音信不通となり行方をくらました
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太田代表が乗っていた高級輸入車
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「墓じまい」が進み都市部の納骨堂需要が高まっている
スタッフ
- ナレーター
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山口 成子
- プロデューサー
- 金子 陽
- ディレクター
- 本吉 智彦