釧路市で野生動物の保護に取り組む、猛禽類医学研究所の齊藤慶輔獣医師はワシに小型の発信機を取り付け、行動を解析。ワシは線路の周辺に行き来していることが分かったが、背景には空の王者をとりまく環境の変化があった。
オオワシやオジロワシは、凍った湖での「氷下待ち網漁」で漁師が捨てる魚を食べることが多い。しかし、この冬は暖冬で漁期も短く、いつものように食べ物は十分ではなかった。ワシが魚のかわりに求めたのが、列車の事故に遭ったエゾシカだった。
道内ではエゾシカの列車事故が、毎年1000件前後も起きている。そもそもシカはなぜ線路に集まるのか?仮説として浮かんだのは〝鉄分〟だった。東京の企業の研究チームが、鉄分を多く含むサプリメントを開発。シカを線路から遠ざける決定打となるのか?
オオワシやオジロワシの事故防止のヒントは、別の野鳥にもあった。タンチョウだ。釧路湿原の周辺では、線路の近くに巣をつくったタンチョウと列車の事故が続出。環境省とJR北海道は「徐行運転」を実施し、効果を上げていた。これを適用できないか。野生のいのちの生態を追い、〝死の連鎖〟を防ぐ手だてを探った。
絶滅危惧種「オオワシ」と「オジロワシ」
低く飛び立ち、列車へと向かってくるオオワシ
オオワシはエゾシカの死骸を求め線路脇へ
スタッフ

ナレーション
- ディレクター
- 山上暢
- 撮影
- 本田海
- 編集
- 芝原久美子
- プロデューサー
- 山田佳晴