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あなたとHTB
このページは平成28年8月28日放送分から引用しています。
森・遠藤両アナ
遠藤雅也アナ
おはようございます。「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに
よりよい番組作りや放送のあり方を目指すための番組です。
森さやかアナ
今回は、今年6月に開催しました第485回放送番組審議会で
審議しました「ママの悲鳴 少子化対策〝逆行″制度」と
7月の第486回放送番組審議会で審議しました
「テレビ朝日系列の報道について 思うこと・望むこと」について
お伝えします。
遠藤アナ
「ママの悲鳴 少子化対策〝逆行″制度」は、
保育料が値上がりした家庭の実態や札幌市・北海道など
自治体トップの動きを伝えました。この番組を含む
一連の報道活動により、札幌市の対策改善や、
道内市町村の助成金が予算案に盛り込まれるなど、
自治体を動かすきっかけをつくりました。
森アナ
まず、最初に、この番組に対して番組審議会委員から頂いた
ご意見から評価点をご紹介します。
《評価点》
●社会や政治の問題を究明し 改善策につながるという
ジャーナリズムのあり方は大変重要であり
報道の影響力は大きい テレビ局として粘り強く
少子化対策の問題点や矛盾点を追及し
影響力を良い方向に発揮しており
大変満足度の高い作品
●保育料の増額に直面して困惑する母親たち
その家族に寄り添った丁寧な取材が光る
行政の後手に回った対応も浮き彫りにしており
制作者の問題意識の強さがよく現れていた
●抗議文を渡す母親たちの表情をとらえた場面を
無音で流すことで切実な思いがより強く伝わった
秋元市長の発言を時系列で細かく刻み 市が対応を
変化させてゆくさまを非常にわかりやすく表現していた
遠藤アナ
●少子化対策の子育て支援の新制度によって
逆に保育料負担が増すケースが発生していることなど
制作者側の問題意識はとても分かりやすく
視聴者の共感を得たと思う
●追跡取材により行政を動かしたという実績 キャスト スタッフ
関係者の情熱は 本当にすばらしく見る者を圧倒させた
かなり踏み込んだ取材内容は その撮影される側の本気さと
撮影する側の熱意の表れであろう
●札幌市長のコメントが「対応を考えていない」から
「調査する必要がある」 そして「保育料を還付します」と
10月から11月の短期間に変化していく様子は報道番組として
メディアのよい影響力を感じ 大変すばらしいと思った
森アナ
●問題提起型のドキュメンタリーとして非常にいい番組だった
見ている最中も見終わってからも「本当にこの実態は変えなければ
ならない」という怒りに似た強い思いに駆られた
●制度の変更によって期せずして保育料が値上がりに
なってしまった家庭の悲鳴が痛切に響く
子どもが3人以上いる家庭では保育料が値上げになる一方で
1人だけの家庭では
逆に値下げになるなど不公平な点も不可思議
何より 制度変更が子ども・子育て支援新制度として
行われているらしいことに怒りが湧いてきた
遠藤アナ
続いて、番組審議会委員のご意見の中から要望や改善点へのご指摘
そして今後の番組作りに対して頂いた提言をご紹介します。
《改善点・要望点》
◇ストレスが非常にたまる番組だった
保育料の値上げに見舞われた家庭がある
家計が苦しい 生活を切り詰めなければならない
それらの現象は細かく伝わってくるが
なぜ保育料が上がったのか
国の制度の見直しの内容は何なのか
何を根拠に算定されているのか この問題の根幹にかかわる
説明が圧倒的に不足している
◇この問題の発生原因についてわかりにくい部分が残った
制度としてどう評価されるか 行政の過失なのか
あるいは制度の運用に係る解釈の違いなのか
図解またはナレーションで解説が必要だった
◇終盤 「制度的には問題ない」とする国の担当者の
コメントが画像なしで紹介されたが
正式回答なのか個人的な感想なのか判然としない
エンディングとしてその解釈を視聴者に委ねた形のように
思われるが 少々後味の悪い印象が残った
森アナ
◇全国20の政令指定都市の中で
対策を立てていなかったのはおよそ半数で
その中に札幌が入っているのはなぜか
対策を立てていた他の都市と札幌はどこがどう違っていたのか
札幌ならではの問題があるのなら
そこにも切り込んでほしいと感じた
◇3人以上は全て2人分で計算されることになったといった
丸めた説明ではなく
経過措置として残っていた年少扶養控除と保育料との関係
子ども手当との関係にも触れる必要があった
問題を十分説明した上でないと
制度変更した国に責任があるのか
具体的に軽減措置などを適用する札幌市に問題があるのか
判断基準が明確に持てない
《提言》
★身近な問題に関する問題提起型報道は
市民が政治を考える契機になる
報道の積み重ねによって 政治に対する市民意識の
醸成に貢献するのも報道機関の重要な役割
今回の番組は 市民の声が不十分ながらも政治を変え得るという
成功例を市民に提示したという意味で意義深い
★保育料に関する修正案が成立するまで
このまま追究取材を継続し説明を加えてほしい
遠藤アナ
続いては、テーマ審議で、
「テレビ朝日系列の報道について 思うこと・望むこと」
についてのご意見です。
テレビ朝日系列の報道について 思うこと・望むこと
遠藤アナ
この議題は、今年10月に開催されますANN系列24局
放送番組審議会委員代表者会議において審議される
全国統一のテーマです。
森アナ
番組審議委員から頂いたご意見をご紹介します。
《評価点》
●【渡辺淳也 委員】
「報道ステーション」の時間帯の番組にはもっと
物議を醸すようなところがもっとあっても良いのではないか
「報道ステーション」に限らず 当り障りのない淡々とした構成が
番組の中立性を担保するとは思えない
一つのニュースに対して 独自の視点やさまざまな切り口を
視聴者に提供することで その番組の特徴や魅力が生まれるし
様々な立場の視聴者に判断や思考の材料を
より多く届けられるのではないだろうか
●【遠藤香織 委員】
テレビ朝日の報道を視聴した限りでは
一方的な報道はなかったように思う
逆に刺激的で新鮮な議論があったような印象もなく
安全牌な感がある
テレビ朝日は自主自律がなされているが
言論の自由という意味で もの足りない気がする
遠藤アナ
●【森田良平 委員】
高市総務大臣が放送法の政治的公平性について答弁し
違反した場合は電波停止の措置もありうると言及した件で
新聞は相当に反応し 日弁連も政府見解の撤回と
報道の自由の保障を求める意見書を出している
しかしテレビそのものはこの件についての取り上げ方は
低調だったように思う
そんな中 「報道ステーション」は問題点も含めて
この高市発言についてきちんととりあげていた
伝えるべきものを伝えるためには相当な覚悟を持って
番組制作をしなければならない時代に入ってきたと思う
政権の思惑を「忖度」して報道を自主規制するのではなく
しっかりした取材に基づいて伝えるべきことは
きちんと伝えるという報道姿勢を求めたい
●【鳥居マグロンヌ 委員】
日本はフランスにほとんどないインフォテインメントの
番組が多くて 最初は新鮮に感じたが
芸能や行列のできる店 「ド根性野菜」などを大きく取り上げれば
国民があまり考えなくなるのではないかと懸念している
また「報道ステーション」で外国人の発言は字幕表示されていて
朝やお昼の番組では外国人の声が吹き替えである
それがアニメや映画のような声になっていて不愉快である
森アナ
ここまで4人の委員の様々なご意見を紹介いたしました
さらに6人のご意見を紹介いたします
●【古郡宏章 委員】
正確・迅速・公正・中立といった言葉はニュースワイド
あるいは報道番組というパッケージへの視聴者の期待だと思う。
「報道ステーション」は歴代キャスターの
非常に鋭い反応ぶりや強烈な発信力に感心する一方
どこか綱渡りのような際どさを感じる部分があった
過激な意見や奇矯な言説は長い目で見て 報道への
信頼性の獲得とは別の方向に番組を進めてしまうのでは
●【喜多洋子 委員】
「報道ステーション」は キャスターが代わってから
コメントが単調で いい人すぎて何か物足りない
今後は政府の動きを淡々と伝えてほしい
そして 子どもが主役のニュースを多くしてほしい
遠藤アナ
●【髙橋留智亜 委員】
テロ事件や事故が悲惨な映像とともに
分刻みに放送されている
悲しみや不安な気持ちのまま 明るい話題やスポーツニュースが
流され 違和感と嫌悪感さえ覚えることがある
番組の中に多くのものを取り込み過ぎなのではないか
CMも報道内容にそぐわなかったり 集中力を奪ってしまったりと
テレビ離れの原因になっていると思う
●【福津京子 委員】
報道番組でありながら どんどんバラエティー寄りになっている
「スーパーJチャンネル」で しんみりしたシーンで
派手なCMが流れた後 続きの映像が流れる
これが今風なのかもしれないが
正直 気持ちの切りかえがつかず ついていけない
ニュース番組ではCMごとにきれいにコーナーを分けたほうが安心
森アナ
●【作間豪昭 副委員長】
政府・政権与党は 放送法第4条の
「政治的に公平であること」等を根拠に
放送事業者への牽制を強めている
しかし 「政治的公平」とは 第3条の
「何人からも干渉されない」ということを前提に
むしろ放送事業者が権力に支配され あるいはおもねるような
報道をしてはならないという意味として理解すべきだ
報道の価値は 最後は国民が決めるのだということを信じ
力強く 粘り強く 繰り返し事実を伝えていただきたい
●【平本健太 委員長】
本来は別々の報道機関であるテレビ局と新聞社は
基本的には独立しているべきである
いわゆるクロスオーナーシップは一般にマスメディアの
集中排除原則からして適切ではないと考えられている
しかし「テレビ朝日系列の報道について」は こうした弊害を乗り越え
放送と新聞とがお互いに適正なプレッシャーを与え合いながらも
ネットワークのパワーを適切に発揮し 間違った権力に
大きな声で「否」(いな)と言いつつ 良心的な報道を望む
遠藤アナ
「あなたとHTB」、次回の放送は、
9月29日開催の第487回放送番組審議会における
委員の皆さんの意見をご紹介します。
放送は10月23日(日)午前5時5分からです。