水曜天幕團 旗揚げ公演2003「蟹頭十郎太」。
台本がとりあえず完成いたしました。
いったい、どんな芝居になるのでしょうか。
確実に言えることは、これは多分、北海道では今まで見たことのない、そして今後も誰もやらない、出来ない芝居だろうということです。
これは、芝居の中身が珍しいとか、アイデアに富んでいるとか、そんな話ではありません。芝居に関してはズブの素人が作るんです。どうなるかは、やってみないとわかりません。
そうではなく、この芝居が、そもそも一般の劇団公演とはその成り立ち、その目的からして全く違うということです。
この芝居は「HTBの35周年を記念する行事」として、いわば「お祭り」として開かれます。そう、祭りなんです。
そしてこれは、芝居を本業としない我々HTBの社員数人で台本からなにから全て作り上げてしまおうという、他局には絶対にマネのできないイチかバチかの大イベントなのです。
我々がイチから考える。だから、我々がやりたいようにやれる。
とにかくド派手に!とにかく楽しく!とにかくワクワクするような!そんな公演をやりたいと思っております。カネのことは、あんまり考えてません。「知ったことか!」です。
だって「祭り」なんだもの。
で、まずは「巨大なテント小屋」を、この芝居公演のためだけに建てます。
大きさは丁度25mプールを囲っちゃうぐらいの大きさで、収容人数は約500人。
これがHTBの駐車場に、ドデン!と出現します。
芝居公演の前後約1ヶ月、HTB社員は車の使用が禁止されます。だって駐車場がなくなっちゃうんだもの、しょうがない。
そしてこの巨大テント周辺は、芝居の公演期間中、「戦国時代」の雰囲気に包まれた異空間となります。
夕闇があたりをつつみ始めるころ、お客さんが南平岸の駅からえっちらおっちら坂道を登ってやって来る。
入り口で受付を済ませると、チケット代わりの首かけのエントランスパスと軽食、お土産を受け取ります。お土産の中身も気になりますが、まずは会場へ。
会場には「かがり火」かなんか焚かれちゃって、「蟹頭十郎太」と書かれたのぼりが何十本とはためいております。そこにドデーン!と巨大な天幕小屋。中の様子は全く見えません。
「うわぁ・・・こりゃデカイなぁ」なんつってると、奥の方から物売りの声が聞こえてくる。
「お客さん!お客さん!ここでしか買えない水曜天幕團グッズだよ!いらんかえ~!」
カネのことは知ったこっちゃないとは言いつつ、そこは商魂たくましいどうでしょう藩。グッズ販売にぬかりはない。
「どうだいこのオシャレな天幕團Tシャツ!白と黒の2種類あるよ。どっちがいい?なんだい!決められねぇってか!じゃぁ2つとも買ってけこの野郎!」
言われるがままにTシャツ2枚買わされて、早くも散財。ところが・・・。
「おっと待ちな!お客さん。ほかにもオリジナル携帯ストラップ!これなんかは木札が付いた和風なヤツだ。オシャレだろ?缶バッチもあるぞ。バラ売りなんてシケた売り方はしねぇぞ。8個1セット!その代わりビシッと台紙が付いて額に入れて飾りゃぁ、これはひとつのアートだ。えぇ!どうだい!ん?なに?もちろん、パンフレットだってあらぁな!なに?見せろって?馬鹿野郎!買え買え!全部買ってけ!」
暴利バーよりもひどい天幕團グッズの店に有り金全部吸い取られたところで、いよいよ開演を知らせるホラ貝の音が響きます。
「ぶおーっ!ぶおーっ!いよいよ出陣でござるーッ!ぶぉーっ!」(このへん未定)
黒い衣装を身にまとった係員に誘導されて、いよいよ天幕小屋の中へと入って参ります。
さぁ、出し物は「時代劇」。
時代劇ってのは、金がかかる。衣装がとにかく大変。いや、衣装だけじゃなく小道具に至るまで、全てに気が抜けない。だから普通の劇団じゃなかなか手を出せない。
しかしこっちは「カネのことなど知ったことか!DVDでさんざん儲けてんだから好きなことやらせろ!」という天下無敵のテント芝居集団「水曜天幕團」だ。
カネのかかる時代劇を、これみよがしにやって見せる。
それもオリジナル脚本。お題は「蟹頭十郎太」。
ストーリーを簡単に説明しよう。
お話の舞台は、戦国時代。応仁の乱から、織田信長が桶狭間の戦いで鮮烈に登場するまでのおよそ100年間。日本は、歴史上で最も混乱した時代を経験した。誰しもが飢えた虎狼のように牙を剥き、人が人として生きるのが最も困難だった時代・・・。
そんな時代。ひとつの小さな国があった。突き出た半島に位置する小国・鷲頭(わしず)。領主・半角斎が治めるこの国は、3方を海に囲まれ、後方は斎藤、秋月という強大な2国に塞がれて、それはまさに陸の孤島のような状態であった。
そんな中、かろうじて鷲頭が独立を保っていられたのは、領内の塩田から上がる良質な塩を、秋月の国を通して諸国へと送り、その利益をお互いに分け合うという、秋月との経済的な友好関係によるものであった。しかし、斎藤もその利権を虎視眈々と狙っている・・・。
やがて斎藤の非道な謀略により、鷲頭は国を滅ぼされるが、鷲頭家の嫡男・十郎太は燃え盛る城を逃れ、生き残ることになる。
十郎太との別れに際し、父・半角斎はこんな言葉を残す。
「恨むでないぞ、十郎太。この世は戦国。強い者が弱い者を蹂躙する。是非もないことじゃ。決して誰も恨むでないぞ。復讐は殺戮を呼ぶだけ。そこに終わりなどあり得ない。もはや鷲頭の再興などは望まん。おまえがひとりの人間として、人らしく生きることだけを望んでおる・・・。」
乱世であるからこそ、人らしく生きる。十郎太の長く厳しい逃亡生活が始まった。
物語はその13年後。逃亡の旅を続ける十郎太が、ある山間の国にやって来たところからスタートする。
その国は、周囲を深い山に囲まれて、それがまさに自然の要塞となって他国の侵略を拒み続けてきた国・神州。この国を治める領主・無二斎は、決して他国の領土を侵すことなく、常に民のことを思い、おかげで国は豊かに、人が人として生きている・・・それは戦乱の世にあって、奇跡のような国であった。
「もしかしたらここが、自分の探し求めていた場所なのかもしれない。もしかしたらこれが、長い旅路の終着点なのかもしれない。いや、そうであってほしい・・・」
13年に及ぶ長い旅を続けてきた十郎太が今、願うような気持ちで神州の国に辿り着く。
しかしこの神州の国では、領主・無ニ斎を巻き込んだどす黒い陰謀の火種がくすぶり、さらに、無ニ斎の一人娘・桜姫には「ある呪いめいた予言」がまことしやかに囁かれていた。
それらは山深い神州城に取り憑く、恐ろしい物の怪の仕業であるという。
そしてその呪いは、複雑に入り組んだ過去を、ひとつに結んでいくことになる・・・。
壮大といえばあまりに壮大過ぎるスケールで描く戦国絵巻「蟹頭十郎太」。
登場人物と配役は、
主人公の旅の浪人・蟹頭十郎太に、もちろん!大泉洋。
同じく旅の浪人で、元は武士団に仕えていたという侍・安藤源八に、音尾先生。
神州の国領主・神州無二斎に、リーダー森崎博之。
神州の国の忠義に厚く真面目な家臣・佐伯重定に、佐藤重幸。
神州の国の武士団に所属する侍・沼部黒龍丸に、安田顕。
そして今回は特別に東京からお越しいただきます、無二斎の娘、神州桜姫に、三輪ひとみさん。
その他、オクラホマの2人と小橋亜樹ら、キューのダサダサタレントを中心にキャスティング。
この芝居は、エンターテイメントに徹しながらも、「人が生きる」という漠然としたテーマに、ひとつの明解な答えを導き出そうという大きな挑戦でもあります。
もちろん、私が作るんです。「笑いの小ネタ」を随所に散りばめております。そしてテント小屋ならではの「スペクタクル」もご用意して、皆様の心の臓をキリキリと痛めつけます。それでありながら、泣き虫集団の諸君を、これでもかってぐらいに号泣させる。
人が生きる。それは、笑いながら、泣きながら、そして驚きながら、自分の持てる感性をすべて出し切ってはじめて実感できる喜びであります。
テントを出た時、「あぁ、明日からまたがんばろう・・・」そんなふうに思ってもらうことが、我々の願いです。
さぁ!8月30日土曜日午前10時から!
いよいよ水曜天幕團旗揚げ公演2003「蟹頭十郎太」のチケットが発売開始となります。
まずはこの日、先行発売として「10月10日の初日」と「19日の千秋楽」の2公演分合わせて約千枚が売り出されます。
入手方法は、電話受付のみ。どこかのプレイガイドに朝イチで並ぶとか、そういうことじゃございません。全国一斉、特電での受付のみ。
番号は、0570-06-3011(Lコード不要)
※昨日までの告知CMでは、番号が「60」となっておりましたが、これは誤り。
「06」です。すいません。
そして9月10日水曜日午後6時からは、スポンサード公演と初日、千秋楽を除いた「11日(土)、12日(日)、13日(月)、18日(土)」の4公演分、約2千枚が発売開始となります。
発売方法は同じく特電0570-06-3011にて受付。
1回の通話で、1回の公演のみ受付。ひとり2枚まで。
おそらく電話が繋がりづらい状況が続くと思われます。運良く繋がって申し込み手続きができましたら、予約番号を伝えられます。その番号を持って1週間以内に、お近くのローソンに設置されたお馴染み「ロッピー」、もしくはローソンチケット取り扱いの各プレイガイドにて、金6千3百円也(税込み)を支払えばチケット発行完了です。
ひとつ、チケットをお買い求めになる前に、言っておかなければならないことがあります。
奥さん。
特に、小学生以下のお子様をお持ちの奥さん。
今回の舞台は、様々な仕掛けで皆様をびっくりさせようと目論んでおります。
従って小さな子供は大泣きする可能性があります。
「迷惑だから連れて来るな」とは絶対に言いません。
私も幼い子を持つ親として、門前払いされるほど悲しいものはないと思っています。
子供は泣くし、騒ぐものです。ですが、もし観劇中に、膝の上の我が子が泣き出したら、すみやかに一旦テントの外へ出て下さい。そして子供を落ち着けてから再度、入場して下さい。これはお願いというより、親として当たり前のことだろ?という念押しです。
決して「高いお金出して観に来てんだから」と、子供を泣かしたまま席に座り続けることのないように。我が子のためにも、人として人らしく振舞ってあげて下さい。
では!皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
そして来るからには、それなりの覚悟を決めて来て下さい。
なにもなかった原っぱに、
ある日忽然と巨大な天幕小屋が現れて、
皆様を異空間へと誘う夢のテント芝居集団!
「水曜天幕團」。
芝居はマジメなのかふざけているのか、
泣かせたいのか笑わせたいのか、
でも役者はとにかく真剣で、
仕掛けはやけに大掛かり。
エンディングはいつも爽快で、
なぜだか生きる力が湧いて来る。
「また観たい」そう思って振り返ると、
そこに天幕小屋の影はなく、
広い原っぱだけが広がっている。
夢のテント芝居集団「水曜天幕團」。
そんな劇団を目指しております。