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ドラマ制作通信 VOL.2

藤村 | 2000. 7/18(TUE) 17:58


 さて、「ドラマを作る!」と言い放ち、男5人が寄り集まって、のんきに「シナリオ作り」からスタートした「水曜どうでしょうプロジェクト2000」。

 前回は「シナリオ作りといえば缶詰だ!」「缶詰といえば温泉旅館だ!」というストレートな論法で、その翌日には定山渓温泉へと向かった我々。
 
 早くも限りある予算のうち、ずいぶんな額をこの「シナリオ合宿」に投入してしまいました。

  「じゃあ、温泉にも到着し、あとは余計なことをせず、黙々と台本を書いてくれよ。ひと晩で完成させるぞ!いいね。大泉くん、安田くん、森崎くん」
森 「わかりました!」
大 「以外と時間ないよ。」
  「そうだね。12時過ぎに出たのに、もう4時だ。」
森 「そば食いましたからね」
  「そうだ、そば食った。」
大 「その後、ぜんざいも食ったでしょ」
  「そうだ、デザートも食っちまった。」
大 「あれですよ。すでに我々、温泉に来るというだけで4時間も使っちゃいましたよ。」
  「そうだ。4時間も使っちゃった。」
大 「そうですよ。ある程度夕方ですよ。これは」
  「しかし、しかしだ、大泉くん。大丈夫!我々はこうして今から缶詰するわけだから、4時間のロスなんてあっという間にとりかえせるわけだ。」
森 「いや、確かに!」
安 「そういうもんですかねぇ」
  「そういうもんだよ。なんだい安田くん。疑問でもあるのかい?」
安 「いや、あのままHTBにいたら4時間も書けたんだなぁと思って・・・」
全員 「なにいってんだ!」
大 「我々はすでに温泉来るってだけで10万ぐらい使っちゃってんだぞ!」
  「そうだ。それも昨日の今日の話だから、オレはプロデューサーに黙って金持ち出してきてんだ。いいか!絶対今日中に書いてもらうぞ!」
  「大丈夫だね?大泉くん」
大 「大丈夫です。書きます。書かなきゃ藤村さんのクビ飛びますよ、これ。」
  「たのむぞ。もう時間ないぞ、本当に。」

森 「・・・めしは何時って言ってましたっけ?」
大 「7時って言ってた」
  「時間ないぞ。めしまでにある程度書いてないと、あっという間に夜だ。」
森 「ですね。しかし、その前に風呂も入っとかないといけませんね。」
  「風呂か・・・」
大 「入りますか?とりあえず先に」
  「そうだな。やることは先にやっとくか。じゃあ15分だ。15分で風呂入るぞ!」
大 「よーし!急ぐぞぉ。時間ないんだからぁオレらにはぁ」

・・・こうして我々の、ひと晩でシナリオを書き上げる!というあまりに無謀な合宿がスタートしました。

 そして午後10時を回ったころ、それぞれの途中経過を発表することになりました。

  「じゃあまず森崎くん。」
森 「はい!まずは見てください!これ!ぼくは14ページも書いちゃいましたよ」
  「ほぉー」
森 「そして、わたくしのはですねぇ、なんか書いているうちに小説になっちゃいました。それもかなりなハードボイルドです。」
  「ほぉー」
森 「では、とりあえず読みます。」

  暗闇の中ひとりの男が倒れている。どこだここは!オレは一体何者なんだぁ!彼は自らの存在を自問自答していた・・・
 
 10分経過。

  ・・・そんな彼の心に一筋の光が突き刺さるのを感じた。

森 「・・・と、とりあえずここまでですが。」
安 「いや続きが気になるなあ。おもしろいよ」
大 「かっこいいなぁ」
  「まあ、確かに。でも、ほんとそれは小説・・・だよね。」
森 「そうです!小説です!小説を書きました!」
  「やたら心理描写ばっかりだもんね。」
森 「ですね!」
  「それは・・・あれだね、ドラマといっても、全部ナレーションってことになるのかな?その・・・倒れてる男って、セリフがほとんど無いもんね・・・」
森 「・・・ですね!」
  「・・・だね。」

  「じゃ・・・大泉くん。大泉くんのを発表してもらおう。」
大 「僕ですか?」
  「そう。どのくらい書けた?」
大 「・・・っていうか、僕はみなさんとはやり方が違うんです。いきなりペンを持って書き始めるとかっていう・・・」
  「紙は?キミなにも手に持ってないけど」
大 「全部頭の中に入ってます。」
  「じゃあ言えよ。」
大 「いいですよ。・・・ある若者たちが旅に出る。するとそこへ山賊が突然うわーっとあらわれて、若者たちと戦いを繰り広げるという・・・」

  「おまえ、今考えながら言ってるだろ」
大 「なにがですか?」
  「おまえ、なんにもやってなかっただろ、今まで」
大 「・・・・」
森 「あの・・・大泉くんは、ずっとベットに寝っころがってました。」
  「!!」
  「おまえ・・・立ってろ。」
大 「は?」
  「おまえ、そこに立ってろ。みんなの発表が終わるまで。そこで!」
大 「ほう、キミはこの僕に、立ってろって言ってるんだ・・・・」
  「言ってんだ。じゃあ次、安田くん。」 

安 「僕のはですねぇ・・・あるサラリーマンの男が朝、家を出て、そして帰ってくるまでの話です。」
  「ほぉー・・・なるほどあれだな、なんでもない日常生活の中、突然とんでもない事件に巻き込まれたりするような・・・」
安 「いや、事件とかは起きません。」
  「ほぉー・・・じゃあれだ、なんでもない日常生活そのものに潜む恐怖というか・・・」

安 「というか、なんでもない日常生活そのものです。」

  「ほぉー・・・」

安 「事件とか恐怖とか、無いですよ」
  「ほぉー・・・」
安 「はい。」
  「あ、そう。・・・で、とりあえずどのくらい書けたの?」
安 「朝起きて、今ゴミを出したところです。」
  「まだ出社してない?」
安 「まだです。」
  「そうか・・・どうなるんだろうねぇ、このあと。」
安 「そうですねぇ・・・電車に乗りますよ。このあと。」
  「でもあれだもんね。列車事故とか・・・ないもんね。」
安 「ないですねぇ」
  
  「・・・・じゃ、続き書いて。」

・・・で、このあと私藤村Dの作品は、ビルの一室に迷い込んだ男たちが、正体不明の何者かに追われる恐怖の一夜を描いたもの。

そして嬉野くんは、聞いている全員が言葉を失うほど、こわーい話。

 こうして途中経過の発表を終え、それぞれがまたシナリオ書きの作業に戻ったのが深夜12時。
 その後は、ものの一時間ほどで、僕が一番最初に眠ってしまい、その後のことは、よくわからないけど、結局安田くんだけが徹夜で、全部書き上げたのでした。
 安田くんのために言っておくと、その「ある男の日常生活」の話は、実はかなり凝っていて、改めて彼の才能を見直したのでした。

・・・そして、あの「シナリオ合宿」から2週間。

 結局、誰のシナリオが「水曜どうでしょうプロジェクト2000のドラマ」として採用されたと思いますか?

 嬉野くんのシナリオです。

 文句無しにおもしろかった。これは「どうでしょう」にふさわしい!と思った。

 そして、この2週間、我々は、着々と「ドラマ制作」に向けて動きだしています。
 みなさんの期待に添えるものであると、私は確信を持って言えます!
 すべては順調に進んでいます。ただひとつのことを除いて。

 それは・・・今だ嬉野くんのシナリオが完成していないということ。

「嬉野くん!ラストはどうなる!あの3人の主人公はいったいどうなるんだ!早く書け!ぼくはラストシーンも見ないでキミのシナリオにゴーサインを出してしまったぞぉ!」

「藤村くん、だけど僕は明日から佐賀に帰るぞ。だって夏休みだもん。」

いや大丈夫です!みなさん。秋か冬には「季節はずれのホラー」が堂々完成いたします!