「水曜どうでしょう」プロジェクト2000
ドラマ「四国R-14」全4話の放送が終りました。
最後まで勝ち残り、エンディングを見ていただいた方々、ありがとうございます。そして、数多くのご感想、読ませていただきました。しっかり読ませていただきました。
ラストシーンについては、実は、最後までもめておりました。何人かの方が「賛否両論あるでしょう」と言っているとおり、我々の中でも「賛否両論」ありました。
「感動させて終るってのは、ちょっと「らしく」ないなぁ。結局、自分たちの友情を謳い上げて、こっぱずかしくなるんじゃないの?」
「やっぱホラーなんだから、最後は不気味に終った方がいいよぉ」
「いや、最後はスカッとする終わり方が、オレは好きだ」
「いやどうだ?最後にもうひとひねりして、大大どんでん返しで終るほうがかっこいくないか?」
そんな意見が出るたんびに嬉野先生は「すべてのパターンの結末」を書いていたのです。その作業が、クランクアップの直前まで続いていました。
そして結局、「あのラストシーン」になりました。
正直なところ私の「こっぱずかしい」感は、撮影直前まで消えませんでした。
「どうでしょうさんが、泣かせるってか?感動させるってか?
いいんだろうか、そんなことして・・・
いや!しかし、不気味に終らせるのは好きじゃないな。
やっぱ、もっとひねって、大大どんでん返しで、スカッと終る方がいいな。
いや!待て!本当にそれはスカッとするか?ひねった結末は、結局分かりにくい結末になるだけじゃないのか?
うん。そうだな。
感動させる必要は無いけど、最後に、「見てよかった」と思わせるのが一番大事だな。そうしよう。」
そして、最後の撮影が始まりました。
大泉さんは、じっとあの椅子に座って出番を待っていました。
「じゃ、一回リハーサルやるぞ。大沼さんが、全てを思い出してしまった上島を振り返って、じっと見る・・・いいかい?」
「はい・・・。」
「じゃ、いくよ。よーい、ハイ!」
その時・・・
今までじっと下を見ていた大泉さんが、なんともいえない悲しそうな、切なそうな顔をして、ゆっくりこっちを振り返りました。
「あぁ・・・」
わたくし、不覚にも、その瞬間、つーんと鼻のあたりがあつくなって、
「あっ、やばい!泣いてしまう!いかん!いかんぞこれは。気づかれないようにしなければ。耐えるぞおれは・・・あーっとぉダメだ!おさまらん!くそっ!リハで泣くってか。うーん、かっこわるいぞぉ・・・」
などと、ひとり葛藤を繰り返し、やっとの思いで
「・・・はい。おっけーですよ・・・。じゃ、ほんばんいきますよ・・・」
と、全く覇気のない声で、ラストシーンへと臨んだのです。
そして思いました。
「いろいろ考えたけど、いいだろうこれで。」
そして、最後の嬉野くんの言葉。
あれは、ずいぶん前に、多分、1回目の四国八十八か所ロケの時に聞きました。
「嬉野くん、ぼくは一個一個の寺で、仏様に謝ってるよ。ごめんなさい。ふざけ半分みたいに、お寺を回ってます。でもこれ、ぼくの仕事なんですって。」
「そうかい。」
「うん。やっぱり恐いもの・・・」
「そうだねぇ。でも、理由はどうあれ八十八か所を全部回ってるんだから、ありがたいことだよ。ましてや、仏様がいるお寺に、幽霊が出るなんて、大きな誤解ですよ。仏様は、守ってくれてるわけなんだからさぁ。」
「いやぁ、さすがに実家がお寺だけあって、あなたの言葉には説得力があるなぁ。」
「それに、うちのカミさんも言ってたけどさぁ、幽霊ってのは、どうしても何か言いたかったり、どうしても誰かと会いたかったりするから出てくるんだってさ。死んだら、みんな、いつかはその人のこと忘れるでしょ?でも忘れてほしくないわけ。あんただって、娘さんたちがあんたのこと忘れたら、悲しいでしょ。」
「そりゃそうだ。そしたらおれ、絶対化けて出てやるもの。」
「だから、もし何か出たとしても、きっとその人は、あなたに思い出してほしいのさ。大事な人を忘れてないかい?って・・・」
「なるほどねぇ。そう考えれば、恐くないなぁ。」
まぁ、そうは言っても、当の嬉野くんも、私も相変わらずの「怖がり」ではあるけれど、今回の撮影にしても、そんな考え方がぼくらの間にはしっかりとあったので、会う人、会う人に「大丈夫?お祓いした?」と言われようが、「ぼくらのやろうとしてるドラマは、そういうのとは違う。」と強い信念がございました。
「ドラマとはいえ、大泉さん死んじゃうんだから、こっちだって、命がけでやらしてもらうよ。」
嬉野くんの最後の言葉は、そんな意味も込められていました。
そして、エンディングテーマ。
あれは全て、このラストシーンのためにあるようなものです。
あの大沼の顔に、「川」のイントロがかぶる。その瞬間が私は一番好きです。そして、3人の楽しげなロケの風景。「くさいやり方」ですが、素直に「このドラマは、これでいい」と、自分を納得させられるやり方であったと思っています。
最後に、3人プラスひとりが、走って消えて行く。
「サザエさん」のエンドみたいに、のどかで、ほのぼのとしたエンドです。
「また、あの人たちに会いたいなぁ。」
作ってる自分がそう思ってしまいました。
年明け、1月24日。またあの人たちと会えます。
チームナックスさん総出演で、「メーキングオブ・四国R-14」を放送予定です。
そのあと、「大事なあの人」が帰ってきて、「水曜どうでしょう」は、じわ~っと再開します。
「再開一発目の企画は、なんだ?」
予想してみる?
追伸。
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「どんなシーン」で「どんな役」で出ていたか?全部当ててください。