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6月7日 原付西日本第3夜

藤村 | 2000. 6/ 9(FRI) 11:20

 「甘いもの早食い対決」・・・またしても、的外れなことになってきました。
「過酷なカブの旅」が「ボヤけてくるだろう」と大泉くんも言いました。

 しかし、窮地に追い込まれた時のミスターは、おもしろい。

 ここで、ミスターの戦いぶりを「魔神」の視点から振り返ってみたい。
 
 対決直前。

「なんでこんなバカバカしいことを・・・」という当然の疑問と、しかし「それでも男同士の真剣勝負」という不思議な緊張感が、あたりに漂う。

 そんな中、魔神は黙ってお茶をふたつ、テーブルに置く。そして、一方的にルールを設定する。
 
 挑戦者には、「この場はオレが仕切る」という意思をキッパリ伝えるためだ。決して挑戦者には主導権を与えない。魔神のセオリーである。

 そして、じっくり「戦法」を練る。あくまでも冷静に。

 今回の対決は「もなか」。全長16センチ。横に長く、山陰名産の「松葉がに」をかたどったものだ。
 
 しかし、このさい形は関係ない。重要なのは「もなか」という特徴的な菓子類ということ。乾いた皮の中に、あんこが詰まっている。ちなみに今回の「大かにもなか」は、小倉あん、白あん、抹茶あんという3色。豪華である。しかし、このさい味も関係ない。

 勝負のカギを握るのは、実は「皮」だ。

「大食い」なら当然「あんこ」の食いっぷりが勝負の分かれ目。しかし今回は「早食い」である。

 緊張感で乾ききった口中に、いきなり「もなか」をほおりこむと、あの「皮」がまとわりつき、唾液の分泌を著しく阻害することは容易に推測される。勝負をあせるあまり大量の「もなか」を一度に投入することだけは避けねばならない。

 さらに一回に限定された「お茶の摂取」も重要なポイントとなる。
 いくら細心の注意を払っても、勝負後半には「皮」がまとわりつくことも当然考えられる。どれだけ「お茶」を我慢し、後半に必ず訪れる「唾液分泌阻害症状の危機」に備えられるか。「お茶」を欲する己との戦いでもある。

 魔神は、これらのことに思考を巡らし、挑戦者と対峙したのである。

 しかし、「にわか甘党」の彼に、これほどの「戦略」があっただろうか。

 残念ながら皆無であったことは、皆さんにもおわかりであろう。 

 彼は気合充分、いきなり大量の「もなか」をほおばり、そして悶絶し、すぐに「お茶」に手を伸ばした。

 あの時点で、魔神は勝利を確信し、じっくり「ティータイム」に興じながら、「挑戦者をどう料理してやろうか」と考えたのである。
 
 そして、あっさり勝負をつけずに、「敵に最後の一口まで、2個の大かにもなかを食わせる」という苦痛を与え、挑戦者に、魔神の怖さをうえつけたのである。