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ストーリー

故郷ニージニタギール 北海道の旭川で幼少時代を過ごしたヴィクトル・スタルヒンはロシアのウラル山脈の東に位置するニージニタギールで生まれた。 1918年、ロシア革命に巻き込まれ、わずか、2歳で両親とともに故郷を追われる。 明日のあてもない放浪の旅の末、一度ハルビンに住み着くが、やがてそこも追われるようにして日本に渡り、旭川にたどり着いた時には9歳になっていた。 この放浪の旅の間に少年が身に付けたことは、何事にも決して逆らわず、何をされても微笑みを浮かべることであった。 そして旭川で心惹かれたのが、同じ年頃の子供たちが必死になってボールを追っている草野球だった。めきめきと投手として頭角を現していったスタルヒンは職業野球からの勧誘を受け入れる。 スタルヒンが所属した日本選抜は、来日した大リーガー、ベーブ・ルースとも試合を行い、アメリカに遠征。
スタルヒン その後、今の読売ジャイアンツに。そこでも毎年40勝前後の勝ち数をあげたスタルヒン。だが国籍がないため遠征すれば取り調べを受け、その風貌ゆえ国内でも街を歩けば憲兵に捕まり、意味もなく殴られた。 戦争が近づくと日本名で名乗ることを強いられた。スタルヒンをもじって「須田博(スダヒロシ)」。スタルヒンはこの名前が嫌いだった。 巨人軍に在籍したあと、太陽、金星、大映、トンボなど弱小球団を渡り歩くことになるスタルヒンは、303勝をあげ引退する。それからはラジオの司会者や俳優として活躍。 だが40歳の時に、運転していた車が路面電車に追突し、死亡。原因は飲酒運転とも自殺とも言われているが、今だに謎のままである。
スタルヒン家族 番組では、そんなスタルヒンの波乱万丈の人生を当時の写真や元同級生などの証言を元に克明に追っていく。 スタルヒンが少年期を過ごした北海道の旭川。母校である旧制の旭川中学(今の旭川東高校)の元チームメイトが当時のスタルヒンを語る。 また、現在東京で美容・健康のコンサルタントとして働くスタルヒンの愛娘ナターシャさんが、わずか5歳の時に亡くなった父の思い出を語る。そのナターシャさんはこれまで一度も父スタルヒンが生まれた故郷を訪れていない。
そこで取材班は、スタルヒンの生まれた街、ロシアのニージニタギールを訪れる。日本のカメラがスタルヒンの生まれた地区を訪れるのは初めて。モスクワから空路東に2時間半のエカテリンブルグから更に車で北に2時間のところにあるニージニタギールは、ウラル山脈の東側に位置する製鉄業が盛んな街で、古い街並みと団地が混在する。 取材班の訪れた11月上旬の気温はマイナス10度を下回り、凍っている湖で釣りを楽しむ人たちが目立った。この街に、スタルヒンと同じ名前を持つ人は住んでいたのだろうか?そして、スタルヒンが生まれた証は残っていたのだろうか?
 また、イチローや長谷川滋利、佐々木主浩ら日本人選手が活躍するアメリカ・シアトルを訪れ、この地に残された意外なスタルヒンの痕跡をみつけるのである・・・。
 
スタルヒン銅像前 ナビゲーターは、スタルヒンの剛速球を小学生の頃見て、今でも記憶に残っているという徳光和夫。 大のジャイアンツファンで知られる徳光だが、父親に連れられ初めて球場でみたプロ野球で、190センチの長身だった「スタルヒン」の姿や剛速球は忘れられないという。 その徳光とともにスタルヒンについて語るのは、シアトルマリナーズの佐々木主浩投手。 投手として異国の地でプレーをする気持ちは?ピッチャーがマウンドに立つときの気持ちは?何かスタルヒンと共感できるところがあるのでは? 徳光が聞かれることのなかった佐々木氏の本音を引き出しながら、プロ野球の礎となった「無国籍投手スタルヒン」の栄光と挫折の人生をみつめていく。

徳光和夫 ナビゲーター・出演 徳光和夫
1941年東京都生まれ。長嶋茂雄にあこがれ、立教大学に入学。巨人と競艇がライフワーク。1963年日本テレビ入社。「プロレス中継」「紅白歌のベストテン」など数多くの番組を担当。1989年独立してフリーに。「THE・サンデー(NTV)」「徳光和夫の情報スピリッツ(TX)」などレギュラー番組多数をもち活躍中。

佐々木主浩 ゲスト 佐々木主浩(ささきかずひろ)
宮城県出身。35歳。「ダイマジン(大魔神)」の愛称で親しまれている前アメリカ大リーグ、シアトルマリナーズの投手。1990年ドラフト1位で大洋(現横浜)に入団。98年にはセ・リーグ最優秀選手に。5度の最優秀救援投手のタイトルに輝く。2000年フリーエージェントでアメリカ大リーグ、マリナーズに移籍。新人記録37セーブをあげるなど、大リーグで活躍。2004年に入って、「子供たちと一緒に日本で暮らしたい」と日本野球界にもどることを希望し、5年ぶりに横浜ベイスターズに復帰することが決定。今後の活躍がますます期待される大投手である。


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